これまでの演奏会の紹介です。
◆日時
1993年5月21日(金) 7:00pm
◆場所
奈良カトリック教会
◆演奏者
オルガン 高田 富美
金管アンサンブル 「アルティスタ・ブラス」
トランペット 小川 浩司 トロンボーン 植村 光雄
山戸 進 益永 直枝
益永 昌枝
■プログラム
<金管アンサンブル>
ジャイルズ・ファーナビイ Giles Farnaby (1565?-1640)
「空想・おもちゃ・夢」 Fancies,Toys and Dreams
Arr. Elger Howart
<オルガン>
ジョン・スタンリー John Stanley (1713-1786)
ヴォランタリー V-\ ト長調 Voluntary V-\ G-major
ヴォランタリー V-Z ホ短調 Voluntary V-Z e-minor
<トロンボーン/オルガン> トロンボーンソロ:益永 昌枝
ジャン・バティスタ・ルイエ Jean Baptiste Loeillet (1680-1730)
トロンボーンの為のソナタ Sonate la b-majeur
fuer Euphonium & Orgel
Arr. Kurt Sturzenegger
<トランペット/オルガン> トランペットソロ:小川 浩司
ジャンバティスタ・マルティーニ Giambattista Martini (1706-1784)
ソナタ ニ長調 Sonata D-dur
<オルガン>
ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリンク Jan Pieterszoon Sweelinck (1562-1621)
「緑のぼだい樹の下」による変奏曲 Variations sur "Onder een Linde groen"
<トランペット/オルガン> トランペットソロ:小川 浩司
ギロラモ・ファンティーニ Girolamo Fantini (1600?-1670?)
トランペットとオルガンの為のソナタ ハ長調 Sonata No.8, detta del Nero
<オルガン>
ヨハン・アダム・ラインケン Johann Adam Reinken (1623-1722)
トッカータ ト長調 Toccata in G
<金管アンサンブル>
ザムエル・シャイト Samuel Scheidt (1587-1654)
戦いの組曲 Battle Suite
■プロフィール
<オルガン>
高田 富美
相愛女子大学音楽学部オルガン専攻卒業。その後、ドイツ・ウェストファーレン州立教会音楽学校に留学。ドイツ教会音楽家A資格・オルガン演奏試験に合格。久保田清二、広野嗣雄、A・シェーンシュテット、R・ヴリーゲン各氏に師事する。現在、独奏、オーケストラや合唱などとの共演など幅広く演奏活動を行っている。
<金管アンサンブル>
「アルティスタ・ブラス」
関西の音楽大学卒業者と、優秀なアマチュアの演奏者により1992年に結成され、同年、第一回の演奏会を開催した金管アンサンブル。通常は8人編成ですが、今回は5人編成です。
トランペット
小川 浩司 京都市立芸術大学音楽学部トランペット科卒業
山戸 進 関西学院大学卒業。アンサンブル・クレアシオン主宰。
トロンボーン
植村 光雄 大阪音楽大学トロンボーン科卒業。伊丹シティ・フィル トレーナー
益永 直枝 関西学院大学交響楽団OG。宝塚市交響楽団、伊丹シティ・フィル在籍。
益永 昌枝 関西学院大学交響楽団OG。宝塚市交響楽団、伊丹シティ・フィル在籍。
■曲目解説
◆G.ファーナビイ/「空想・おもちゃ・夢」
スペインの老婦人 - 彼の休憩 - トイ - ファーナビーの夢 - ザ・ニュー・サー・フー エリザベスT世時代のイギリスの作曲家、ジャイルズ・ファーナビーは、そのマドリガルとヴァージナル曲集で有名です。エルガー・ハワースがフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの為に編曲したこの舞曲集は、ファーナビーが本来、鍵盤楽器のために作った曲ばかりで構成されています。当時のヴァージナル楽派はヴァリエーション形式を発展させた最初の楽派であったようです。そして普通、その頃に流行した歌に基づいて主題を最低音部に置き、それに基づいてヴァリエーションをつける形と、ヘクサ・ヴァリエーションと呼ばれるもので、上昇、下降する音階の音に基づくものがあり、この曲もそれらの形式に基づいています。そして、やや夢想的と思われるタイトルはキラキラとして元気であり、荘重でしかも堂々とした舞踊の性格を反映しています。
◆J.スタンリー/ヴォランタリー ト長調・ホ短調
イギリスの作曲家スタンリーは、2才の時に事故で失明しましたが、彼の恵まれた才能により、11才の時より教会オルガニストを務め、後には王室宮廷楽団の指揮者に就き、ロンドンで73才で亡くなっています。ヴォランタリーは、イギリスの教会礼拝の時に弾かれるオルガン曲で、自由な形式によって作曲され、時々即興演奏もされていました。スタンリーが作曲した30曲の鍵盤楽器のためのヴォランタリーより、本日演奏するト長調は生き生きとした活発な曲で、ホ短調は美しいひびきと旋律を持った曲です。
◆ジャン・バティスタ・ルイエ/トロンボーンの為のソナタ
第T楽章 Cantabile, 第U楽章 Largo, 第V楽章 Allegro ジャン・バティスタ・ルイスは、幼少から、チェンバロ、フルートをよくし、フランスに数年過ごした後、1705-1711年、ロンドンのクィーンズ・シアターでオーボエ奏者をつとめました。以来、ロンドンに定住し、音楽教師、フルートの名手として活躍し、また、毎週自宅で催す愛好家の演奏会などを通してフルートをイギリスに広め、彼自身も優れた演奏家、多産な作曲家として名声を博しました。従兄弟に同じ作曲家のジョン・ルイスがいます。曲はオルガンの響きに最も似たトロンボーンの音色を表情豊かに表現しています。
◆G.マルティーニ/ソナタ ニ長調
ジャンバティスタ・マルティーニは、ボローニアのサン・フランチェスコ会堂の楽長を務め、主に宗教音楽を作曲したようです。また、当時最大の対位法の理論家でもあり、ヨーロッパ中から生徒が集まり、生徒にはグルック、W.A.モーツアルト、J.C.バッハ等の名もあります。この曲は、原曲がオルガン曲で、現代フランスのオルガン演奏の第一人者、マリー・クレール・アランが編曲したものです。短い「イントロダクション」と「アレグロ」から成っており、この対比が見事に決まっています。
◆J.P.スヴェーリンク/「緑のぼだい樹の下」による変奏曲
スヴェーリンクは、オランダ東部の町デーヴェンテルに生まれ、父の後を継いでアムステルダムの旧教会のオルガニストとなり、生涯をすごしました。彼の創作の中心となるのはオルガン・クラヴィーアのための作曲であり、イタリア・イギリスの同時代とそれ以前の作曲家の影響をうけています。また、一度も国外に出た事がないにもかかわらず、多くの外国人弟子達をもち、特にドイツ人の弟子達に与えた彼の影響力は強く「北ドイツ・オルガン奏者製造者」とも呼ばれています。この変奏曲は、4つの変奏からなり、イギリスの古い民謡「すべては緑の庭に」をもとにして作られ、かわいらしく親しみやすい曲です。
◆G.ファンティーニ/トランペットとオルガンの為のソナタ ハ長調
ギロラモ・ファンティーニは当時、イタリアでの高名なトランペット奏者であったらしく、1638年にトランペットのメソッドも残しています。また、作曲家としてもトランペットを主体に作曲し、何度も編集をしたようです。このハ長調のソナタは1楽章形式の彼の8曲のソナタの最後の曲で、当時のイタリアの形式とトランペットの技術や調性を示しています。
◆J.A.ラインケン/トッカータ ト長調
北ドイツのオルガニスト・ラインケンは、スヴェーリンクの弟子であるシャイデマンにオルガンを学びました。J.S.バッハも彼の演奏を聞きに行き、彼の前で即興演奏をした時、「この芸術はほろんでしまうだろう。しかし、あなたの中になおも生きている」と言った逸話は有名です。このトッカータは、5つの部分から成っています。輝かしい序奏・軽やかなフーガ・レシタティーヴォ・ジーグ・短いが華やかな走句で曲は終わります。
◆S.シャイト/戦いの組曲
ガリアルド:戦い ー クーラント:悲しみ ー カンツォーン:ベルガマスク ザミュエル・シャイトはドイツのハルレに生まれ、17世紀後半のドイツのオルガン作曲家として最も重要な人であると思われます。シャイトはコラール変奏曲にイギリスのヴァージナル演奏の技巧を取り入れたスヴェーリンクに学びました。この曲集は当時の有名な曲集からフイリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの為に編曲したもので、当時、サクソニーで絶頂期をむかえていたコルネットの妙技がいっそうの魅力をそなえています。
本日使用するオルガンはクラウス・セバスティアン氏(ドイツ)製作の4ストップからなるポ
ジティフオルガンです。
Disposition:
Holzgedackt 8'
Rohrflote 4'
Prinzipal 2'
Quinte 1 1/3'