これまでの演奏会の紹介です。
オルガンと弦楽アンサンブルの夕べ
◆日時 1994年4月25日(月) 7:00pm
◆場所 奈良カトリック教会
奈良市登大路町36ー1 Tel.0742-26-2094
近鉄奈良駅より徒歩3分
◆出演者
オルガン 高田 富美
ブルーメ弦楽四重奏団
ヴァイオリン:佐々木美帆、木下知子
ヴィオラ:伊藤あづさ チェロ:左納実子
◆プログラム
G.F.ヘンデル:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオソナタ
イ長調 作品5の1
Georg Friedrich Hundel(1685-1759):Triosonate A-dur fur zwei Violinen
und Basso continuo Op.5,Nr.1
J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ 第3番 ト短調
Johann Sebastian Bach(1685-1750):Sonate III g-moll
fuer Viola da Gamba BWV1029
G.F.ヘンデル:オルガン協奏曲 変ロ長調 作品4の6
Georg Friedrich Hundel: Orgelkonzert Nr.6 B-dur Op.4,Nr.6
C.Ph.E.バッハ:ソナタ 第4番 イ短調
Carl Phillipp Emanuel Bach(1714-1788):Sonate IV a-moll Wq70,4
J.ハイドン:「フルート時計のための小品集」より
Joseph Haydn(1732-1809):Flotenuhrstuke fur Klavier
W.A.モーツァルト:教会ソナタ ハ長調 KV336
Wolfgang Amadeus Mozart(1756-1791):Kirchensonate C-dur KV336
セレナード 第13番 ト長調 K.525
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
Serenade in G KV525 "Eine kleine Nachtmusik"
◆プロフィール
高田 富美/オルガン
相愛女子大学音楽学部オルガン専攻卒業。その後、ドイツ・ヴェストファーレン州立
教会音楽学校に留学。現在、オルガンとその他の楽器による演奏会を「音楽の散歩道」
シリーズで企画している他、独奏、室内楽・合唱などとの共演等、幅広く演奏活動を行
っている。
ブルーメ弦楽四重奏団
1992年 京都市交響楽団のメンバーを中心に女性4人で結成。同年京都国際音楽
祭、1993年津山国際総合音楽祭、同年京都芸術祭、その他数多くのサロンコンサー
ト等にも出演。1993年8月ウィーン芸術音楽大学学長ミハエル・フリッシェンシュ
ラーガー教授の招きにより奨学金を得て、ウィーン・ライヒエナウでの弦楽四重奏のサ
マーアカデミーに参加。プラハ、バルトークの両弦楽四重奏団の教えを受ける。
木下知子/ヴァイオリン
5才よりヴァイオリンを始める。1990年3月国立音楽大学器楽科卒業。同大学ソ
ロ室内楽定 期演奏会、卒業演奏会に出演。4月第12回読売中部新人演奏会に出演。
7月京都市交響楽団に 入団。1991年1月第5回読売推薦コンサートに出演。野上
紘子、野上阜三博、故井上武雄、 外山滋、沢和樹、堀伝各氏に師事。
佐々木美帆/ヴァイオリン
5才よりヴァイオリンを飯塚勉、渋谷由美子の両氏に師事。京都市立芸術大学音楽学
部にてヴァ イオインを林靖子、岩淵龍太郎、室内楽を岸辺百百雄の各氏に師事。同校
の定期演奏会、卒業演 奏会に出演。卒業の際、音楽学部賞を受賞。また、関西新人演
奏会、1991年京都芸術祭等に 出演。1990年12月在学中に京都市交響楽団に
入団。
伊藤あづさ/ヴィオラ
3才よりヴァイオリンを始める。高橋乙滋、平井誠各氏に師事。ヴィオラに転向し、
京都市立芸 術大学で永藤照夫氏に師事。室内楽を河野文昭、梅原ひまり、岸辺百百雄
各氏に師事。1992 年京都市交響楽団に入団。
左納実子/チェロ
11才よりチェロを始める。1991年京都市立芸術大学音楽学部卒業。チェロを上
村昇、河野 文昭、室内楽を岩崎勇、岩淵洋子、河野文昭各氏に師事。奈良市音楽協会
第3回新人演奏会、ド ンナホールコンサート推薦シリーズ等に出演。1991年北海
道中山高原ミュージックキャンプ 参加。1992年京都フランス音楽アカデミーにお
いて、パリ・コンセルヴァトワール教授フィ リップ・ミュレー氏に師事。
◆楽曲解説
今日のプログラムは、17世紀後半から18世紀全般にわたって活躍した5人の音楽
家の作品を聞いていただきます。彼らの生きた18世紀のヨーロッパは、全体に平和で
革命によって生活のリズムが乱される事はなく、芸術の上では最も大きな様式の移り変
わりがあった時代です。人々は理性を信じ、自然な感情の表現を求め、人間の開放を目
指しました。
18世紀半ばまでのバロック後期と呼ばれる時代に、対象的な人生を歩んだ2人の偉
大な音楽家、G.F.ヘンデルとJ.S.バッハはどちらも1685年に同じ中部ドイツで生ま
れ、現代に至るまでバロックの代表的な作曲家・オルガニストとして名を残しています
。
200年にわたり50人以上の音楽家を生みだしたバッハの家系に対し、ヘンデルは
宮廷で医者として仕えていた父方にも、ルター派の深い信仰をもった母方にも音楽家の
家系はありません。しかし、ヘンデルは音楽に対する強い情熱をもち、母国ドイツから
イギリス、イタリア等未知な場所への冒険的な旅の中で大いに活躍し、成功をおさめて
各国の音楽の中に自由に同化し、社会的にも力強く生きぬいていったと言えます。
バッハは一生をドイツ国内で過ごしましたが、ヘンデルと同様国際的な感覚において
は、イタリア・フランスの音楽をよく研究し、それを自分自身の中で消化し、ドイツに
おける伝統的な音楽芸術の中で独自のものを築き上げました。
ヘンデルの音楽は明るく、自由で、美しいメロディーをもち、バッハの音楽は素晴ら
しい構成力と理念の重み、心の底にしみ入るメロディーで、それぞれ聞く人を魅了して
います。
J.S.バッハの死によりバロックの時代は終わりを告げ、次のハイドン、モーツァルト
が活躍した古典派の時代に至るまでに、短い橋渡し役の時代があります。この時代は一
切の重苦しさ、力強さ、形式的厳格さを取り除き、優美さ、上品さ、軽快さ、世俗的・
社交的なロココ精神と言われる芸術が全体を支配します。
J.S.バッハの次男 C.Ph.エマヌエル・バッハは、今や古いと言われる父の音楽を尊敬
しながらも、新しい時代の流れの中で生きた音楽家です。そして、その精神は、彼が活
躍した時代に生まれたハイドン、モーツァルトの音楽の基盤になっています。
そして、古典派は調和と統一の時代あり、自然と人間的なものがつきつめられて、高
くそして深く音楽に反映した時代です。
ヘンデル、バッハ、バッハの息子達、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、そ
してロマン派の時代へと音楽の流れをたどっていくのも、楽しいものです。