これまでの演奏会の紹介です。
◆日時
1995年5月12日(金) 7:00pm
◆場所
奈良カトリック教会 奈良市登大路町36ー1 Tel.(0742)26-2094
◆演奏者
男声合唱 テノールT 橋上 純二
テノールU 久貝 克弥
バスT 山本 明
バスU 横山 雄次
オルガン 高田 富美
◆プログラム
J.S.バッハ
クラヴィーア練習曲集第3巻(オルガンミサ)
10曲の小オルガンコラール曲集
J.ブラームス
コラール前奏曲「装いせよ、わが魂よ」
H.ウェルナー
野ばら
H.A.マルシュナー
小夜曲
ドイツ民謡(シュヴァーベン地方)
別れ
M.レーガー
ささやかなたわむれ
黒人霊歌より
主よ、私はクリスチャンになりたい
漕げよマイケル
Johann Sebastian Bach(1685-1750)
Dritter Teil der Klavierubung (Orgelmesse)
Zehn kleine Orgelchorale
Johannes Brahms(1833-1897)
Choralvorspiel "Schmucke dich, o liebe Seele"
Heinrich Werner(1800-1833)
Heidenroslein
Heinrich August Marschner(1795-1861)
Standchen
Deutches Volkslied (Schwaben)
Abschied
Max Reger(1873-1916)
Ein Spielchen
Negro Spirituals
Lord, I Want To Be A Christian
Michael
◆プロフィール
男声合唱
橋上純二・久貝克弥・山本明・横山雄次
4名共、男声合唱団「コール・シャンテ」のメンバーです。「コール・シャンテ」は、
大阪を拠点に活動している男声合唱団で、今年で創立23年目になります。現在団員は
25名。
オルガン
高田富美
相愛女子大学音楽学部オルガン専攻卒業。その後、ドイツ・ヴェストファーレン州立教
会音楽学校に留学。現在、オルガンとその他の楽器による演奏会を「音楽の散歩道」シ
リーズで企画している他、独奏、室内楽・合唱などとの共演等、演奏活動を行ってい
る。奈良YMCA音楽院講師。
◆曲目解説
今日のプログラムは、前半がJ.S.バッハの「オルガンミサ」で、少し緊張感があります
が、後半はロマン派の合唱曲とオルガンの小品で楽しんでいただければ、うれしく思い
ます。
前半の「オルガンミサ」については、別紙の解説・対訳をご覧下さい。
男声合唱曲の「ふるさと」
戦前の日本の合唱運動は、キリスト教会の聖歌隊と旧制女学校での音楽教育によって支
えられてきたが、これとは別に、幾つかの大学で、合唱を愛好する学生達が既に明治の
中頃から活動を開始していた。軍国主義へ急速に傾斜していく社会風潮の中で、ともす
れが蔑視されがちな男子学生の合唱活動は、着実にその歴史を積み重ねていった。しか
し、この時代に、男声合唱曲集が国内で出版されている筈もなく、学生達は、曲探しに
苦労を重ねながら、自分たちの合唱団が得意とするレパートリーを蓄積し、それが他の
合唱団に伝播するという形が繰り返された。このようにして、かなりの数の曲目が現在
も各男声合唱団共通の持ち歌となっている。
先ず、日本の西欧化に最も大きな影響をもったのはドイツ文化であったため、学生達
が一世紀前に歌い始め、また今日まで歌い継がれている曲にはドイツの合唱曲が非常に
多い。本日演奏するヴェルナーの「野ばら」、マルシュナーの「小夜曲」、Muss i
denn (ムシデン)という歌詞で親しまれているドイツ民謡の「別れ」などは、その代
表的なものである。
キリスト教系の大学合唱団は、聖歌隊として礼拝に奉仕するので、ミサ曲を伝統的に
得意とするが、堅苦しい宗教曲とは別に、独特のレパートリーを育ててきた。グラナハ
ム作曲の「いざ起て戦人よ」は特に有名であるが、戦後の各男声合唱団が演奏を競いあ
い、男声合唱曲の一大ジャンルを構成している黒人霊歌は、キリスト教系の大学合唱団
を通して日本へ紹介されたものである。本日のプログラムでも、僅かであるが、この領
域「ソール・ミュージック」の原点にふれることにした。
横山 雄次
今回の演奏会のチケット売上金は、阪神大震災の義援金とさせていだだきます。
◆別紙 楽曲解説・対訳
ヨハン・セバスティアン・バッハ (1685-1750)
〈クラヴィーア練習曲集〉第3巻
「クラヴィーア練習曲集・第3巻。教理問答歌およびその他の歌に基づく、オルガンの
ため種々の前奏曲よりなる。この種の曲の愛好家と特に専門家の心を慰めるために、ポ
ーランド国王兼ザクセン選帝侯付宮廷作曲家、楽長、およびライプツィヒ音楽監督たる
ヨハン・セバスティアン・バッハがこれを著す。
著者出版」
【キリエ】
コラール「キリエ、永遠の父なる神よ」
「すべての世のなぐさめなるキリストよ」
「キリエ、聖霊なる神よ」による3曲のコラール前奏曲
〈EKG(ドイツ福音主義教会賛美歌)130〉
Kyrie, Gott Vater in Ewigkeit,
gross ist dein Barmherzigkeit,
aller Ding ein Sch pfer und Regierer:
eleison.
Christe, aller Welt Trost,
uns Suender allein hast erloest,
O Jesu Gottes Sohn,
unser Mittler bist in dem hoechsten Thron,
zu dir schreien wir aus Herzensbegier:
eleison.
Kyrie, Gott Heiliger Geist,
troest, st rkaeuns im Glauben aller meist,
dass wir am letzten End
froehlich abscheiden aus diesem Elend:
eleison.
主よ、永遠の父なる神よ
あなたは恵み深く
万物の創造者、すべてを治めたもう、
あわれみたまえ。
キリストよ、あなたは全ての世のなぐさめ、
あなただけが我々を罪から救いだされた、
ああ、神の子イエスよ、
我らの仲保者はいと高き王であり、
我らはあなたを心からほめたたえます、
あわれみたまえ。
主よ、聖霊なる神よ、
我らを信仰によってなぐさめ、強くして下さい、
我らの終わりの時に、
この不幸から喜びをもって、救いだされるよう、
あわれみたまえ。
【グローリア】
コラール「いと高きところにいます神にのみ栄光あれ」によるコラール・トリオ
〈EKG131〉
Allein Gott in der Hoeh sei Ehr
und Dank fuer seine Gnade,
darum dass nun und nimmermehr
uns r hren kann kein Schade.
Ein Wohlgefallen Gott an uns hat;
nun ist gross Fried ohn Unterlass,
all Fehd hat nun ein Ende.
いと高きところにいます神にのみ栄光あれ、
恵みに感謝します、
その恵みはいかなるものも
我らを決してゆり動かしえないから、
神は我らの許にいまし、
平和をみだすものは終わりをつげ、
今やたえざる豊かな平和がある。
【十戒】
コラール「これぞ聖なる十戒なり」によるコラール前奏曲
〈EKG240〉
Dies sind die heilgen zehn Gebot,
die uns gab unser Herre Gott durch Mose,
seinen Diener treu,
hoch auf dem Berg Sinai,
Kyrieleis.
聖なる十戒は、
シナイ山上で、忠実に神に仕えるモーセにより、
我らの主なる神が、
与えられたものである、
主よ、あわれみたまえ。
【信仰告白】
コラール「我らはみな唯一なる神を信ず」によるコラール・フーガ
〈EKG132〉
Wir glauben all an einen Gott,
Schoepher Himmels und der Erden,
der sich zum Vater geben hat,
dass wir seine Kinder werden.
Er will uns allzeit ern hren,
Leib und Seel auch wohl bewahren;
allem Unfall will er wehren,
kein Leid soll uns widerfahren.
Er sorget fuer uns, huet' und wacht;
es steht alles in seiner Macht.
我らはみな唯一なる神を信ず、
天と地の創造者、
我らが彼の子になる事を、
父から与えられた。
神は我らを常に養いたもう、
魂と肉体が良くまもられるように、
神はすべての不幸を防いで下さる、
我らはいかなる悲しみにも出会わない。
神は我らを導き守りたもう、
すべては神の力のうちにある。
【主の祈り】
コラール「天にいます我らの父よ」によるコラール前奏曲
〈EKG241〉
Vater unser im Himmelreich,
der du uns alle heissest gleich
Br der sein und dich rufen an
und willst das Beten von uns han,
gib, dass nicht bet allein der Mund,
hilf, dass es geh von herzensgrund.
天にいます我らの父よ、
あなたは皆ひとしく兄弟とよび、
そして、あなたによびかけよと命じます、
そして、我らに祈りなさいと、
口だけで祈らないようにして下さい、
祈りが心底からはなれないように助けて下さい。
【洗礼】
コラール「我らの主キリスト、ヨルダン川に来たり」によるコラール前奏曲
〈EKG146〉
Christ unser Herr zum Jordan kam
nach seines Vaters Willen,
von Sankt Johann die Taufe nahm,
sein Werk und Amt zu erfuellen.
Da wollt er stiften uns ein Bad,
zu waschen uns von Suenden,
ersaeufen auch den bittern Tod
durch sein selbst Blut und Wunden,
es galt ein neues Leben.
我らの主キリストがヨルダン川に来たり、
父なる神の意思により、
聖ヨハネの洗礼を受けたまえり、
神の職務を果たすために。
そこで神は、我らの罪を洗うために、
我らに洗礼をさずけたもう、
主は、彼自身の血と傷によって、
苦しい死にあわれた、
新たな生命をもたらすために。
【悔改め】
コラール「深き淵より、我汝に呼ばわる」によるコラール前奏曲
〈EKG195〉
Aus tiefer Not schrei ich zu dir,
Herr Gott, erhoer mein Rufen.
Dein gn dig Ohren kehr zu mir
und meiner Bitt sie oeffne;
denn so du willst das sehen an,
was Suend und Unrecht ist getan,
wer kann, Herr, vor dir bleiben?
深き淵より私はあなたにむかって呼ぶ、
主なる神よ、私の叫びを聞いて下さい。
あなたの恵み深い耳を私にむけ、
そして、わたしの願いに耳を開いて下さい、
あなたが次の事をよく見るために、
何が罪と不正であるのか、
主よ、誰があなたのために生きていくのか、を。
【聖餐】
コラール「我らの救い主、イエス・キリストよ」によるコラール前奏曲
〈EKG154〉
Jesus Christus, unser Heiland,
der von uns den Gotteszorn wandt,
durch das bitter Leiden sein
half er uns aus der Hoellen Pein.
イエス・キリスト、我らの救い主、
我らから神の怒りを取り去り、
にがき苦しみにより、
神は我らを地獄の苦しみより救われた。
※コラールの大意については、日本キリスト教団浪花教会牧師・三好博先生の御
助力を頂きました。
1995.5.12
高田 富美
今回の演奏会のチケット売上金を、阪神大震災の義援金とさせていただきました。