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これまでの演奏会の紹介です。
バロックの彩りを集めて
リコーダーとオルガンによるコンサート
演奏者
リコーダー 中村洋彦
オルガン 高田富美
リハーサルより
日時
1999年4月9日(金)7:00pm
場所
奈良カトリック教会
奈良市登大路町36-1
近鉄奈良駅北徒歩2分
Tel:0742-26-2094
プログラム
Jan Pieterszoon Sweelinck (1562-1621)
: Echo Fantasia in C
J.P.スウェーリンク : エコーファンタジー
ハ調
Girolamo Frescobaldi (1583-1643)
: Canzona detta La Bernardinia
G.フレスコバルディ : カンツォーナ「ラ・ベルナルディーニャ」
Giovanni Battista Riccio (fl.1609-1621)
: Canzona “La Grimaneta”
G.B.リッチョ : カンツォーナ「ラ・グリマネータ」
Jacob van Eyck (1589/90-1657) : Engels
Nachtegaeltje
J.ファン・エイク : イギリスのナイチンゲール
Anonymous : Malle Symen
作者不詳 : 病のシモン
Girolamo Frescobaldi (1583-1643)
: Aria detta la Frescobalda
G.フレスコバルディ : アリア「ラ・フレスコバルダ」
Giovanni Battista Fontana ( ? - 1631?
): Sonata Seconda in D
G.B.フォンタナ:ソナタ 第2番 ニ調
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Willem de Fesch (1687 ? -c.1760)
: Sonata in G
W.ドゥ・フェッシュ:ソナタ ト長調
Domenico Zipoli (1688-1726) : Partite
in a
D.ツィポリ : パルティータ イ短調
Francesco Barsanti (1690-1772) :
Sonata No.1 in d
F.バルサンティ:ソナタ 第1番 ニ短調
Domenico Scarlatti (1685-1757) :
Sonata in C K308 K309
D.スカルラッティ : ソナタ ハ長調
K308 K309
Georg Philipp Telemann (1681-1767):
Konzert in c
G.Ph.テレマン:コンチェルト ハ短調
プロフィール
中村 洋彦/リコーダー
エリザベト音楽大学宗教音楽学科卒。第4回全日本リコーダーコンクールにおいて最優秀賞を受賞。1981年、82年、84年に渡欧、研鑚を積む。1987年第1回リコーダーリサイタルの成果に対して大阪文化祭奨励賞を受賞。リコーダーを花岡和生、フラウト・トラヴェルソを有田正広の各氏に師事。1993年より『笛の楽園』と題してリサイタルを開催。現在、相愛大学非常勤講師、セミナリオ・コンソート主宰、ダンスリー・ルネサンス合奏団所属。神戸音楽家協会会員。
高田 富美/オルガン
相愛女子大学音楽学部オルガン専攻卒業。その後、ドイツ・ヴェストファーレン州立教会音楽学校に留学。1992年よりチェンバロを長瀬節子氏に師事。1993年以来、オルガンとその他の楽器による演奏会を「音楽の散歩道」シリーズで企画している他、独奏、室内楽・合唱などとの共演等、演奏活動をしている。奈良YMCA音楽院講師。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。
ルネサンスからバロックの音楽へ
音楽の歴史の上から言うと、西暦1600年がバロック音楽の始まりの年とされています。いつの時代でもそうですが、世紀末にはそれまでになかった新しい大きな流れがそこに加わり、次の時代へと移り変わって行く力があります。そしてそれは、音楽にとっても例外ではありませんでした。
16世紀末、それまでのスペインの支配下にあったネーデルランド地方(今のオランダ)では、次第にスペインからの独立の気運が高まり、戦いの末、17世紀の初めには、独立国オランダとして、その勢力を内外に示し始めました。オランダ東インド会社を設立し、日本とも関係をもったのはこの頃の事です。音楽の面でも、それまでの宮廷中心の音楽から、広く市民のための音楽へと移って行き、楽譜の出版なども盛んに行われるようになります。ルネサンスの時代に、ヨーロッパの各地で活躍していたネーデルランド出身の音楽家たちは、次第に国内にその活動の中止を変えて行きました。
この頃の代表的な作曲家として知られているのが、J.P.スウェーリンクです。彼は、16世紀末から17世紀初めにかけてオランダで活躍したオルガニストで、作曲家としても当時から名声を博していました。数多くのオルガン曲と声楽曲を作曲し、同時代の音楽家たちにも大きな影響を与えています。J.ファン・エイクはスウェーリンクとほぼ同じ時代に活躍したオルガニストで、カリヨン(ネーデルランド地方でよく聞かれる鐘による鍵盤楽器)の奏者でもありました。また、同時に卓越したリコーダーの名手でもあり、当時人気のあった歌や器楽曲の旋律をもとに、「笛の楽園」と題したリコーダーの曲集を出版しています。
このように振興国家オランダでは、市民のための新しい音楽が紹介されて行ったのですが、その音楽的な要素は、多くがまだルネサンス的なものでした。この点で、早く、バロック的な要素を音楽の中に表現し始めたのが、イタリアです。特にヴェネツィアでは、聖マルコ大聖堂の空間を利用した二重合唱などの音楽上の新しい試みがはやくから行われていました。バロックの新しい動きは、ここから始まったと言っても過言ではないでしょう。1585年6月ここヴェネツィアを訪れた日本の4人の公子(天正遣欧使節)たちは、まさにこの時代の音楽を耳にしています。そして、当時の聖マルコ大聖堂の楽長であったJ.ツァルリーノは、多くの有能な楽士(A.ガブリエリ、G.ガブリエリ、G.パッサーノたち)をかかえ、次に来るべきバロック音楽を準備したのでした。1600年代に入ると、オペラやオラトリオなどの新しい音楽がイタリアで生まれます。また、それまでの古い音楽様式と新しい音楽様式がはっきりと区別され、ルネサンス時代のポリフォニーは、次第に姿を消して行きます。それに代わって、通奏低音によって和声が示されるモノディー様式が音楽の中心になっていました。この頃を代表する音楽家としては、C.モンテヴェルディ、そしてG.フレスコバルディが挙げられるでしょう。彼は、イタリアのフェラーラ出身の作曲家で、またオルガニストであった人ですが、後にローマの聖ピエトロ大聖堂のオルガニストになり、数多くの作品を残しています。特に、そのオルガン作品には初期バロックの精神が最も明白に表されており、次代に大きな影響を及ぼしています。G.B.リッチョとG.B.フォンタナは、共に同じ時期にイタリアで活躍した作曲家であり、また器楽奏者でした。
中村 洋彦