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これまでの演奏会の紹介です。
演奏者
リュート 高本一郎
オルガン 高田 富美
日時
2000年9月22日(金) 7:00pm
場所
カトリック奈良教会
奈良市登大路町36-1
Tel.(0742)26-2094
「第31回奈良県芸術祭参加」
プログラム
Ernst Gottlieb Baron (1696-1760) E.G.バロン |
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Konzerte in C コンチェルト ハ長調 |
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Sylvius Leopold Weiss (1686-1750) S. L. ヴァイス |
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Pertita in d パルティータ ニ短調 |
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Johan Pachelbel (1653-1706) J.パッヒェルベル |
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Ciacona in F チャコーナ ヘ長調 |
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Johann Sigismund Weiss (1690-1737) J.S.ヴァイス |
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Lute Concerto in d リュート協奏曲 ニ短調 |
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Johann Sebastian Bach (1685-1750) J.S.バッハ |
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Praeludium und Fuge in d BWV539 前奏曲とフーガ ニ短調 |
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Trio Sonata in A BWV1025 トリオソナタ イ長調 |
プロフィール
高本 一郎/リュート
1995年相愛大学音楽学部音楽学専攻卒業。早くから父の指導のもとでギターをはじめる。「第3回読売ギターコンクール」銀賞受賞。その後大学在学中に古楽に興味を抱いたことからリュートに取り組む。1996〜1997年フランスに留学し、ストラスブール国立音楽院にて研鑚を積む。1999年夏チェコで開かれた「国際ギターフェスティバル」に参加。今春再び渡仏しE.フェーレ氏に師事。これまでに大阪で2度リサイタルを開催。ソロおよび通奏低音奏者として関西を中心に全国各地で精力的に演奏活動を展開。現在「日本テレマン協会」のリュート奏者、「ダンスリールネサンス合奏団」メンバー。
高田 富美/オルガン、チェンバロ
相愛女子大学音楽学部オルガン専攻卒業。その後、ドイツ・ヴェストファーレン州立教会音楽学校に留学。1993年以来、オルガンとその他の楽器・声楽による演奏会を「音楽の散歩道」シリーズで企画している。また、独奏、室内楽・合唱などとの共演等、演奏活動を続けている。奈良YMCA音楽院講師。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。
『リュートについて』
ルネサンスからバロック時代にかけて「楽器の女王」と賞せられ、当時のヨーロッパの人々に最も愛された楽器、その名はリュートでした。そしてその美しく魅力的なフォルムは、絵画や彫刻さらに詩などの題材として多くの芸術家達によって、彼等の作品の中に数多く残されています。
リュートはソロの曲はもとより歌の伴奏やまた器楽曲・声楽曲のどのパートでも演奏できる万能な楽器として、当時のヨーロッパ全土において音楽を愛する人々にたいそうもてはやされました。
シェークスピアが活躍した英国のエリザベス王朝の時代では、詩が書けて歌をうたえてリュートが弾けることが紳士の条件であり、またある貴族は思い焦がれる貴婦人の気を惹こうとリュートを爪弾き、かのエリザベス女王(1世)は眠れぬ夜などにお抱えのリュート奏者の紡ぎ出す音色によって眠りについたといわれています。
高本一郎
今夜のプログラムは、ドイツバロック時代の終わりに活躍した作曲家の作品を集めました。特に、J.S.バッハとS.L.ヴァイスは1歳ちがいの同時代人で、バッハが54歳の時ライプツィッヒで、当時もっともすぐれたリュート奏者といわれたヴァイスに会い、名匠の演奏に触れて感動したという記録が残されているようです。
プログラムの最後に演奏するJ.S.バッハの「組曲 イ長調 BWV1025」は、ヴァイオリンとチェンバロのためのものであり、ファンタジア以外はそっくりそのままS.L.ヴァイスのリュートソナタです。オルガン曲の「前奏曲とフーガ
ニ長調」のフーガも「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 BWV1001」の第2楽章をバッハがオルガン用に編曲したものです。
このように、他の作曲家の作品や自ら作曲した作品を、楽器をかえて編曲したり改訂する事が多くなされていました。あらゆる楽器の性能に熟知していたバッハの音楽が、特定の楽器に制約されない抽象的な性格をもっているという事がうかがえます。彼のこのような一面が時代をこえて、今ジャズやポピュラー音楽に編曲され、耳ざわりの良い音楽になっているのかもしれません。
彼らの生きたバロック時代の夕映えにうつる音楽を、リュートとオルガンで奏でる響きは、私にとってとても新鮮です。
高田 富美