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これまでの演奏会の紹介です。

イタリア・ルネサンス〜バロック音楽の旅

演奏者
リコーダー 中村洋彦
リュート 高本一郎
オルガン 高田 富美

リハーサルより

日時
2001年04月27日(金) 7:00pm

場所
カトリック奈良教会
奈良市登大路町36-1
Tel.(0742)26-2094
(近鉄奈良駅北徒歩2分)

プログラム
第1部 イタリアのルネサンス〜初期バロック
Joan Ambrosio Dalza(fl.1508) : Padoana Veneziana & Saltarello Veneziana
J.A.ダルツァ : ヴェネツィア風パドゥアーナとサルタレロ
Simone Molinaro (c.1565-1615) : Ballo detto il conde Orland
S.モリナーロ : オルランド伯爵のバッロ
Giovanni Bassano (c.1558-1617?) : Ricercata Quarta
G.バッサーノ : リチェルカータ 第4番
Giovanni Gabrieli (1553〜56-1612) : Fuga del nono tono
G.カブリエリ : 第9旋法によるフーガ
Taquinio Merula (1594/95-1665) : Sonata No.2
T.メールラ : ソナタ 第2番
Girolamo Frescobaldi (1583-1643) : Ave maris stella
G.フレスコバルディ : 〈めでたし、海の星〉
Giovanni Paolo Cima (c.1570-c.1626) : Trio sonata in a
G.P.チーマ : トリオ・ソナタ イ調
第2部 イタリアの盛期
Domenico Zipoli (1688-1726) : Partita in C
D.ツィポリ : パルティータ ハ長調
Diogenio Bigaglia (c.1676-c.1745) : Sonata in a
D.ビガーリャ : ソナタ イ短調
Giovanni Zamboni (late17c-early18c) : Sonate di liuto in c
G.ザンボーニ : ソナタ ハ短調
Francesco Maria Veracini (1690-1768) : Sonata VI in a
F.M.ヴェラチーニ : ソナタ 第6番 イ短調



プロフィール
中村 洋彦/リコーダー
エリザベト音楽大学宗教音楽学科卒。第4回全日本リコーダーコンクールにおいて最優秀賞を受賞。1981年、82年、84年に渡欧、研鑚を積む。1987年第1回リコーダーリサイタルの成果に対して大阪文化祭奨励賞を受賞。リコーダーを花岡和生、フラウト・トラヴェルソを有田正広の各氏に師事。1993年より『笛の楽園』と題してリサイタルを開催。現在、相愛大学非常勤講師、16世紀セミナリオ・コンソート主宰、ダンスリー・ルネサンス合奏団所属。

高本 一郎/リュート
5歳からギターをはじめ、数多くのコンクールに入賞。1995年相愛大学音楽部卒業。1996〜97年フランス国立ストラスブール音楽院にてリュート演奏を学ぶ。1999年チェコで開かれた「国際ギターフェスティバル」に参加。その後度々渡仏してさらに研鑽を積み、昨秋マレーシアへ演奏旅行を行う。リュートを今村泰典、オイジェン・フェレ、ホプキンソン・スミスの各氏に師事。現在、ソリストおよびコンテイヌオ奏者として全国各地で多彩な演奏活動を展開。「日本テレマン協会」のリュート奏者、「ダンスリールネサンス合奏団」のメンバー。

高田 富美/オルガン
相愛女子大学音楽学部オルガン専攻卒業。その後、ドイツ・ヴェストファーレン州立教会音楽学校に留学。1993年以来、オルガンとその他の楽器・声楽による演奏会を「音楽の散歩道」シリーズで企画している。また、独奏、室内楽・合唱などとの共演等、演奏活動を続けている。奈良YMCA音楽院講師。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。

中西光彦さん製作のオルガンを使用いたしました(オルガンの仕様へ

中西光彦/オルガン製作
奈良市在住。教職勤務(国語科教員、奈良市立一条高校を経て現在東大寺学園)の傍ら、中世・ルネサンス音楽の研究・演奏団体アウル コンソートの一員として活動。その延長としてパイプオルガンに関心を持ち、オルガンビルダー草苅徹夫氏の指導・助言を得て、山辺郡山添村の工房でポルタティフオルガンやポジティフオルガンを製作している。日本オルガン研究会会員。


イタリア・ルネサンス〜バロック音楽の旅

 今回のこの旅は、イタリアのルネサンスからバロック時代の音楽と共に、イタリアの各都市を巡って行く旅です。ですが、プログラムの順番にこれらの都市を旅して行くとなると大変忙しいものになってしまいますので、ここでは曲順不同で、それぞれの都市を駆け足で旅していく事に致します。
旅の始まりは、イタリア・ロンバルディア地方の中心都市ミラノからです。ミラノは今、ファッション界をリードする町としてよく知られていますが、もう一つの魅力は、ミラノの中心部にそびえ立つ大聖堂ドゥオーモです。この大聖堂は、14世紀の後半に着工されて以来、実に500年近くもの歳月を費やして完成したミラノの象徴とも言える歴史的建造物です。この大聖堂には当時多くのすぐれた音楽家が集まり、スフォルツァ家が統治した1450年から1535年までの間は、宗教音楽、世俗音楽ともに、その最盛期を迎える事となりました。
J.A.ダルツァもおそらく、その中の一人であったと思われます。その後ミラノは2世紀に渡り、スペインの支配下に置かれることになりますが、音楽はミラノ独自の発展を続けて行きます。16世紀後半には、器楽(主にヴァイオリン)のための音楽が盛んになり17世紀に引き継がれていきますが、その指導者的な役割を果たしたのがG.P.チーマでした。彼の器楽の作品に名付けられた「ソナタ」は、その最も古い例の一つであると考えられています。
ミラノから南東に80Kmのところに位置する都市クレモナは、何と言ってもヴァイオリンの名器「ストラディヴァリウス」や「アマティ」を生んだ町として世界的に有名です。その伝統は16世紀以来、現在まで続いています。16世紀の後半、クレモナの音楽活動は大聖堂を中心に活発になり、ちょうどこの時期、若きモンテヴェルディが、大聖堂の楽長であったM.A.インジェニェーリに師事し、ここクレモナで音楽を学んでいました。T.メールラはその少し後、クレモナに生まれ、大聖堂の楽長となって活躍した音楽家です。
ロンバルディアの南、イタリアの「足のつけね」にあたる場所には港町ジェノヴァがあります。ルネサンス期に、ジェノヴァ共和国の首都として栄えたジェノヴァの中心には、当時の総督(ドージェ)の公邸であったドゥカーレ宮殿と、聖ロレンツォ教会が現在でも並んで建っています。この聖ロレンツォ教会の楽長として活躍した、当時のジェノヴァを代表する作曲家にS.モリナーロの名を挙げることができます。
トスカーナ地方に入ると、観光地として名高い都市、ピサとフィレンツェがあります。ピサは16世紀、トスカーナ大公国第二の都市として首都フィレンツェと共に、メディチ家が統治するところとなりました。これまでの都市と同様に、ピサにおける音楽も大聖堂がその中心でした。かの有名な「ピサの斜塔」はもともと大聖堂付属の鐘塔として建てられたものです。17世紀後半には、作曲家でありリュート、チェンバロ、マンドリンの名手でもあったG.ザンボーニが、このピサ大聖堂に奉職しています。さて首都フィレンツェでは、どのような状況だったのでしょうか。ルネサンス期のフィレンツェは、まさに「花の都」の名前に相応しく、音楽をはじめとする、あらゆる芸術の花が咲き誇っていました。メディチ家の宮廷には数多くの有能な音楽家が集まり、宮廷での祝祭や婚礼のための音楽を作曲し、又演奏していました。16世紀後半には、これらの音楽が、やがて「オペラ」を誕生させることになっていくわけです。17世紀バロックの時代には、このオペラがフィレンツェの劇場でさかんに上演されました。また、現在のピアノの原型となる「ピアノフォルテ」が最初に製作されたのも、このフィレンツェにおいてでした(1698〜1700年頃、クリストーフォリによる製作)。18世紀に入ると、定期的に行われる室内楽の演奏会も開催されることになり、F.M.ヴェラチーニらの作品が演奏されました。
さて旅はローマヘと向かいます。多少、時代が前後することをお許し下さい。ローマは中世以来、キリスト教の聖地として栄えてきた所ですが、ルネサンスの時代には教会内部の世俗化が進み、16世紀初めのルターによる宗教改革を機に、ローマ教会全体の改革が行われていました。そのような中、音楽の面でも、聖ピエトロ大聖堂とヴァティカン宮殿の礼拝堂(システィーナ礼拝堂)を中心に理想的な宗教音楽が見直されていきました。この時期に活躍した代表的な作曲家には、パレストリーナがいます。また17世紀の初め、聖ピエトロ大聖堂のオルガニストとして活躍したG.フレスコバルディは、初期バロックを代表する優れた音楽家として知られています。
 旅の終わりは「アドリア海の女王」とも呼ばれた、水の都ヴェネツィアです。ルネサンスからバロックを通じてヴェネツィアでの音楽の中心となったのは、内部の美しいモザイク画で有名な聖マルコ大聖堂です。この聖マルコ大聖堂の聖歌隊は、ローマ教皇庁聖歌隊とならんで16、17世紀イタリアの最も重要な音楽機関でした。16世紀後半に日本からの使節団(天正遣欧使節)がヴェネツィアを訪れた際には、ここ聖マルコ大聖堂で、聖歌隊と器楽奏者たちの演奏する音楽を実際に耳にしたことが記録に残されています。その当時の聖マルコの代表的な音楽家としては、楽長ツァルリーノをはじめとして、器楽奏者のG.バッサーノや、オルガニストのG.ガブリエリらがいました。

中村洋彦

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