森岡孝二編著
『現代日本の企業と社会―人権ルールの確立をめざして』
法律文化社 1994年
目次
はしがき (森岡孝二 執筆)
第T部 現代日本の企業経営と労働の変容
第1章 日本型企業社会の仕組みと企業システム (十名直喜 執筆)
はじめに
1 日本型企業社会へのアプローチ
1 「タテ」社会のダイナミズムと負の側面―
2 企業社会への再編成
―日本型システムの「合理性」と「前近代性」
3 日本型企業社会のイメージと規定
2 日本型生産システムと「フレキシビリティ」
1 企業社会と生産システム
2 日本型生産システムとは何か
―トヨタシステムにみる「日本型フレキシビリティ」の原理的構造―
3 日本型企業社会の枠組みとその展開
1 企業内バックアップ・システム
2 社会的なバックアップ・システム
―企業間システムおよび国家と企業とのネットワーク―
おわりに
第2章 崩れゆく終身雇用制と非正規労働者 (高田好章 執筆)
はじめに
1 就業行動の変化と雇用形態の多様化
1 雇用形態の多様化と非正規労働者
2 若年労働力と学生アルバイト
2 くずれゆく終身雇用制と不安定就業者層
1 「日本型労使関係」と終身雇用制
2 終身雇用制の実態
3 くずれゆく終身雇用制
1 中途採用、出向・移籍、退職勧奨
2 揺らぐ就社意識・生きがい意識
3 日本経済の構造変化と雇用の再編成
おわりに
第3章 中小企業における生産システムの変容 (小野満 執筆)
―需要の多様化・個性化に対応して―
はじめに
1 需要の多様化・個性化とは何か
2 多様化に対応する生産システムの変容
3 個性化と企業の専門性の向上
第4章 NTTにみる民営化後の経営と労働 (西田達昭 執筆)
はじめに
1 電話事業における競争と技術革新
2 合理化推進の電気通信審議会・NTT「中期経営計画」
3 NTTにおける合理化と経営機構の再編成
おわりに
第U部 企業中心社会の変容と人権ルールの構築
第5章 残業およびサービス残業の実態と構造的誘因 (森岡孝二 執筆)
はじめに
1 2つの過労死事件と残業およびサービス残業
1 殺人的超長時間残業 ―平岡事件
2 ノルマ競争とサービス残業 ―亀井事件
2 最近の産業およびサービス産業をめぐる調査
1 労働者「所定外労働時間の削減に関する調査」
2 全労働省労働組合「労働基準法改定後の労働者の実態と問題点」
3 リクルートリサーチ『首都圏ビジネスマン転職実態調査』
4 大東京火災『現代ビジネスマンの「ゆとりの実感」』
5 サービス残業の実態把握の難しさ
おわりに
第6章 金融機関における「高生産性内勤体制」 (森井久美子 執筆)
はじめに
1 残業手当を請求できない労働者づくり
2 派遣スタッフの導入のOA化の推進
3 減量経営から少数精鋭体制の構築へ
おわりに
第7章 女性の社会的労働参加と企業社会の変革 (池田清 執筆)
はじめに
―生き方の選択を「強制」される女性―
1 日本的経営と女性労働者
2 女性労働者の「二重の負担」
3 女性の自立のための諸条件
1 経済のサービス化と女性労働者の発達
2 労働組合の改革と女性労働者
3 地方自治体の改革
第8章 日本における外国人労働者の流入過程と労働者派遣法 (仲野(菊地)組子 執筆)
―ヨーロッパ3か刻との比較をとおしてー
はじめに
1 外国人労働者の流入過程
1 マリクリス・シオン事件
2 人材派遣会社三協工業の「派遣法違反」事件
2 日本における労働者供給業の解禁過程と労働者派遣法
1 労働者供給業解禁への道
2 労働者派遣法の成立と問題性
3 ヨーロッパ3国の労働者派遣法と外国人労働者の流入問題
1 ドイツ(当時の西ドイツ)の場合
2 フランスの場合
3 イタリアの場合
第9章 「生活大国」論と土地・住宅問題 (高島嘉巳 執筆)
はじめに
―課題の設定―
1 進む法人優位の構造
1 土地所有者数(個人および法人)の推移
2 土地取引における個人と法人
3 小括―法人優位を支える諸条件
2 資産格差のなかでの土地・住宅取得
1 家計の資産構成における土地・住宅
2 稼得能力にのみ頼る住宅取得
3 持家取得への客観的諸条件
3 まとめ
―論点の整理をかねて―
1 まとめと付言
2 現状打開にむけての必要な視点