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大阪第三学科たより
2011年
ゼミ参加者用


2011年12月23日号
2011年12月9日号
2011年11月18日号
2011年11月4日号
2011年10月21日号
2011年10月7日号
2011年9月23日号
2011年9月9日号
2011年7月22日号
2011年7月8日号
2011年6月17日号
2011年6月3日号
2011年5月20日号
2011年5月6日号
2011年4月22日号
2011年4月8日号
2011年3月18日号
2011年3月4日号
2011年2月25日号
2011年2月4日号
2011年1月21日号
2011年1月7日号


2011年12月23日号

独裁者の死が報じられた日に、「独裁者」が初登庁。新聞の一面を飾ったのはもちろん独裁者の死だが、民主主義が「独裁者」を選ぶシステムとは。

[第629回ゼミ報告]
12月14日のゼミは、有井行夫『株式会社の正当性と所有理論』の序章「株式会社から所有理論へ」を高島さんの報告で行いました。資本システムにおける「所有という社会的な関係」について理論的に把握する試みで、所有とは物のシステムを人のシステムに変換するパラメーターで、人々に対して正当化する資本のシステムの自己形態である。現代的な所有問題の特徴的は、私的所有という正当化形態と無媒介に公共性の論理が露出し、「企業はだれのものか」という声により「株式会社の正当性」が現代所有問題の中心に位置している。そこで本書が対置する2つのマルクス主義的通念、第一に生産手段の所有に歴史的生産関係を規定する「生産関係の基礎論」と、第二に物象化の外面的形態とする「たんなる物象化論」があり、これが認識的障害物である。これら通念への対置は、客観的社会発生、労働行為による発生である。現代巨大株式会社における所有問題を前にして人格のシステムと物象のシステムの疎遠な分離の基礎に労働のシステムを堅持することが必要である。
討論では、労働を非常に強調している。2つの通念を批判しているが、これまで見たところ、批判された人達からの反論はなく無視されている。しかし20年後に再版されるのはこの指摘の重みのためである。生産関係を生産手段の所有から説くことへの批判は非常に重要で、所有を変えても生産関係が変わらないのは、ソ連崩壊を見据えている。特にツァガロフへの共感と批判は興味深い。「システム」という言葉は有機的なものをいって、単に体制、組織としていない。初期マルクスと後期マルクスを貫くものがあると主張するが、マルクスも自ら発達していて、資本論にそれが結実されて、変わってきているのではないか。法的概念ははずせないのではないか。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、久しぶりの大辺さんと松村さん、初参加の濱田隆次さん、高田の9名でした。

*恒例秋のハイキングが12月10日に京都・嵯峨野へ行きました。まずバスで愛宕念仏寺に行き、鳥居本の町並、化野念仏寺、祇王寺、二尊院、落柿舎等に寄り、渡月橋まで歩いて下って来ました。参加は案内の高橋さん以下、小野さん、川口さん、高田。もう紅葉も散りかけで、寒かった!
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
12月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻23章 蓄積の一般的法則5節 e〜f 報告高田

1月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章の1〜2    報告川口さん

1月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積1〜3節 報告者未定

2月8日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章の3〜4    報告者未定

その後は 2012年2/22, 3/14, 3/28, 4/18(3章川口さん), 4/25, 5/9 (全て天六)

[一番上に]


2011年12月9日号

日本と気温差15度以上、ほとんど冬のドイツを北のキールから中部ケルンまで巡りました。北の人の顔はニコリとせず厳しく、中部の人は少し朗らか。

[第628回ゼミ報告]
11月30日のゼミは、マルクス『資本論』1巻23章「資本主義的蓄積の一般的法則」の第5節「資本主義的蓄積の一般法則の例証」からa「1846−1866年のイギリス」、b「イギリスの工業労働者階級の薄給層」、c「移動民」、d「労働者階級中の最高給部分におよぼす恐慌の影響」を高橋さんの報告で行いました。資本主義的生産様式が十分に発達しているのはイギリスだけで、この20年間生産の巨大な前進の時期であった。その間富の増加率は人口増加率を上回っているが、労働者階級の過半が最悪の支払いを受ける部分になっている。都市の工業労働者の食物摂取と栄養状態は最低限をわずかに超えるだけで食物は非常な不足となり、住宅事情は悪化しスラムを形成し、過度の密集と住居の不潔で衛生状態が悪い。労働貴族と呼ばれる最高給部分も恐慌で失業すれば貧民名簿へと登録される。
討論では、当時すでに限界学説が出ていたが資本論にはそれへの言及がない。鉄道の敷設が資本主義の進展を示し、インドまでそれが続いた。この間(1840〜60年)はイギリスの高度成長期にあたる。移動民とは鉱山労働者のことで、アメリカの金鉱を思い起こす、また現代の中国の炭鉱も当てはまる。ベルギーが出ているが商業資本では先を走っていて、イギリスに投資していく。労働者が社会でどう暮らしているかを問題にしていて、この視点は現代にも通じる。特に住宅問題への論及が重要であり、現代日本で言えば、高度成長期に社宅からマイハウスへとローンが組まれた。なお、ゼミの始まりに山田さんから11月27日の大阪市長選候補者別の各区別投票数・率が示され、周辺区で差が小さいが中央部で差が大きく、新住民・若者層が橋下に投じたと分析を話され、議論しました。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、服部さん、高田の7名でした。

*恒例秋のハイキング:京都・嵐山へ。紅葉を満喫しよう!
12月10日(土)午前10時30分に阪急嵐山駅に集合、訂正:10時半集合し、バスで北に上がってから徒歩で南に下ってきます。
*次回ゼミからの新しいテキストは、有井行夫『株式会社の正当性と所有理論 新版』桜井書店2011年(旧版もOK)です。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
12月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』序章「株式会社から・」報告高島さん

12月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻23章 蓄積の一般的法則5節 e〜f 報告高田

1月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章「所有と機能・」報告者未定

1月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積1〜3節 報告者未定

その後は 2012年2/8, 2/22, 3/14, 3/28, 4/18, 4/25, 5/9 (全て天六)

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2011年11月18日号

ギリシャの多額債務、貸付けた側に問題はないのか、その金はどこに行ったのか。そのように債務を調べ最終的に大幅に減らしたエクアドルがあるぞ。

[第627回ゼミ報告]
11月9日のゼミは、村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』の第5章「グローバリゼーション下の世界同時不況−マルクスの「世界市場と恐慌」によせて」を高島さんの報告で行いました。マルクス恐慌論は生産と消費の矛盾に究極的原因を求め、現実資本面から恐慌を資本の過剰という質的規定から説明する。貨幣資本面からは銀行信用を主とする現実資本の蓄積とは異なる独自の貨幣資本の蓄積がある。恐慌は現実資本の過剰蓄積に伴う過剰資本の形成に由来し、貨幣資本の不足という要因が加わって、貨幣恐慌となる。世界市場では労働市場が国境を越える移動を禁止している。世界市場恐慌にも生産と消費の矛盾の規定がそのままあてはまる。現実資本の世界的なスケールで資本過剰が起こり、金の流出入がおこる。変動相場制下の世界市場恐慌を現実資本面の資本過剰と、貨幣資本面でのアメリカ金融市場の肥大化により世界へ一挙に恐慌に至る。
討論では、恐慌の原因を現実資本が先との論であるが、この間実際に起こったのは貨幣資本(金融)が先で、それが現実資本にも広がったのではないか。60年代はグローバリゼーションの用語はない。労働者が国境を越えないとあるが、最近は海外で働く人が増えている。労働の問題をどうするのか。後半体系を言っているが、国家の問題が論じられていない。後半体系から恐慌を説くのであるが理論から具体化になっていない。マルクスは恐慌の原因を「生産と消費の矛盾」だけではなく、もっといろいろなものに求めている。賃金の上昇による利潤率の低下で恐慌を説くのは、賃金を抑えろとの説明に聞こえてしまう。今は賃金が上がらずに恐慌になっている。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、高田の5名でした。

*次回のゼミは、11月30日です。第4週が休日のため。制作者が渡独のため「たより」を一週間早く送付いたします。お間違いないように。
*次々回のゼミからの新しいテキストが決まりました。有井行夫『株式会社の正当性と所有理論 新版』桜井書店2011年(旧版もOK)です。
*恒例秋のハイキング:京都・嵐山へ。紅葉を満喫しよう!
12月10日(土)午前10時に阪急嵐山駅に集合です。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
11月30日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻23章 蓄積の一般的法則5節 a〜d 報告高橋さん

12月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』序章「株式会社から・」報告高島さん

12月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻23章 蓄積の一般的法則5節 e〜f 報告者未定

1月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章「所有と機能・」報告者未定

その後は 2012年1/25, 2/8, 2/22, 3/14, 3/28, 4/18, 4/25, 5/9 (全て天六)

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2011年11月4日号

ユーロ危機がやっと解決かと思ったらまた振出、そりゃ自国民の意思を無視はできないでしょう。おっと、自国民の意思など関係なく進むの、TPP。

[第626回ゼミ報告]
10月26日のゼミはマルクス『資本論』第1巻第23章「資本主義的蓄積の一般的法則」の第3節「相対的過剰人口または産業予備軍の累進的生産」、第4節「相対的過剰人口のさまざまな実存形態。資本主義的蓄積の一般的法則」を小野さんの報告で行いました。資本主義は上昇期でも蓄積に比して相対的に過剰人口を生み出しながら進む。有機的構成は資本の集中によってはるかに急速に進む。資本主義的生産様式に固有な人口法則として、資本の蓄積により労働者人口が相対的に過剰となり、それが逆に蓄積の梃子となる。蓄積には労働需要が対応し、労働者人口の一部での失業者または半失業者への不断の転化が必要となる。産業循環によって労働者人口の吸引と反発が行われる。不熟練労働者、女子労働者、児童労働力の採用、蓄積が進むにつれて同じ大きさの可変資本がより多くの労働を、より低級の労働力を流動させる。相対的過剰人口は、半就業・未就業など恐慌期には急性的に、不況期には慢性的に3つの形態で出現する。流動的形態、潜在的形態、停滞的形態。そのほかに受給貧民など最深の沈殿物。資本が蓄積されるにつれて労働者の状態は悪化せざるをえない。貧困化論について。
討論では、ここで資本主義に「特殊な」人口法則とは。「移出資本」とは国外へか、国内へか。「突発的」とはバブル、朝鮮戦争の時戦況により価格が上下した。「反発」とは労働者をはじき出すこと。ここでの例示は機械工業も出てくるが軽工業中心である。「労働が合理的に制限されるなら労働者人口が足りない」、とは現在では労働基準法か。人口法則は独立していず蓄積法則が人口法則を規定しているとの主張がある。論述で循環の始まりはいつも中位の活況からか、そうとは限らない。現代日本では農村にとどまれないので潜在的形態はないのでは。半失業という言葉がパラサイト、不安定就業にあたる。ここでは貧困はメインテーマになっていないのではないか。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、服部さん、高田の7名でした。

*次回ゼミで村岡本が終わります。次のテキスト候補をお持ちよりください。一部で、理論問題ではなく現状分析を、という声が出ています。
*11月後半のゼミは、第4週が休日のため、翌週の30日となります。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
11月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第5章  報告高島さん

11月30日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻23章 蓄積の一般的法則5節 a〜d 報告高橋さん

12月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
次期テキスト未定                  報告者未定

12月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻23章 蓄積の一般的法則5節 e〜f 報告者未定

その後は 2012年01/11, 1/25, 2/8, 2/22, 3/14, 3/28, 4/18, 4/25 (全て天六)

[一番上に]


2011年10月21日号

基礎研研究大会、福島で被災し放射能汚染から逃れてきた青年の話を聴く。話された避難の実体験とその後の家族の離散、我々は原発の罪深さを問う。

[第625回ゼミ報告]
10月12日のゼミは、村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で解く』第4章「金融グローバリゼーションと「国際通貨」制度−世界市場における貨幣資本の蓄積と貨幣流通」を高田の報告で行いました。金融グローバリゼーションをマルクスの後半体系に則り、商業信用・貨幣流通・銀行信用・利子生み資本を世界市場との関係で見て、その論理を「流通時間のない流通」に基づくとした。現実資本と貨幣資本との蓄積が一致せず、貸付資本の量と通貨の量とは後半体系でも全く別であることをしめし、現実資本の蓄積は比較生産費原理で一定の国際分業関係になるが、貨幣資本の蓄積では架空な貨幣資本=金融資産の世界的なスケールでの分散が金融グローバリゼーションとし、中心国での金融不安が全世界に広がるが、それは貴金属と為替相場による商業手形と銀行手形の混合流通であった。「国際通貨」というタームは必要ないとする。制度論として変動相場制は対米為替平価の「民営化」で、現代は貨幣資本と現実資本の蓄積には一切の制約がなく、金融の証券化が無秩序の極みであるという。
討論では、ここの流通は物流ではなく支払いのことであり、金融を売買期間の短縮という軸で、商業信用と銀行信用の区別が重要と説く。ドルは国際通貨ではなく金だけが国際通貨であると主張している。中心国にとっては国内通貨であって国際通貨ではない、しかし非中心国にとっては決済・為替が必要となる。「国際通貨」論を主張しているのは誰か、信用論の人。一般的に国際通貨という用語を使っている。それへの批判はマルクスの後半体系に立ち返ればという主張となっている。ドルを自国通貨に使っている国はあるのか。証券信用との関連付けが十分ではない、「従」としているため。しかし現実は手形流通分よりも証券信用分の方が多いのではないか。それが世界的な金融の肥大化の原因となっている。19世紀のグローバリゼーションと現代のそれは規模が違う。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、松村さん、高田の7名でした。

*11月後半のゼミは、第4週が休日のため、翌週の30日となります。
*11月のゼミで村岡本が終わります。次のテキスト候補の準備を。理論問題ではなく現状分析を、という声が出ています。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
10月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1第23章 蓄積の一般的法則3・4節 報告小野さん

11月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第5章  報告高島さん

11月30日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第23章 蓄積の一般的法則 5節  報告者未定

12月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
次期テキスト未定                  報告者未定

その後は 12/28, 2012年01/11, 1/25, 2/8, 2/22, 3/14, 3/28 (全て天六), 4/18

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2011年10月7日号

基礎研事務所最寄り駅にはホームドアがあるが、まだ駅全体の5%しか設けらず、全盲の3分2の人が転落経験有りと。先日も事故がまた起こった。

[第624回ゼミ報告]
9月28日のゼミは、マルクス『資本論』1巻第23章「資本主義的蓄積の一般的法則」の第1節「資本の構成が不変な場合における、蓄積にともなう労働力需要の増大」、第2節「蓄積とそれにともなう集積との進行中における可変資本部分の相対的減少」を高橋さんの報告で行いました。この章では資本の増大が労働者階級の運命に及ぼす影響を扱う。第1節では、素材からの技術的構成によって規定された変化を反映する価値の構成を資本の有機的構成と呼ぶ。部門の構成の平均による総平均が一国の社会的資本の構成を与える。Cが増大したらVも同量増大し労賃も上がる。労働力は資本の価値増殖手段として資本から離れられず、労働力の再生産は資本の再生産の一契機をなし、資本の蓄積はプロレタリアートの増殖である。資本主義的蓄積一般的法則として、資本、蓄積、賃金率の関係は資本に転化した不払労働と追加労働の関係であり、同じ労働者人口の不払労働と支払労働の関係である。第2節では、資本の技術的構成の変化により不変部分が段々と増大し、生産規模の拡大と労働の生産力の増大が剰余価値の加速的生産の基礎となる。個別資本が集積されて生産手段と労働指揮の集積の増大が行われ、競争と信用制度が資本の集中に対する二つの槓杆となる。集中は手荒な合併により、また円滑な株式会社による。それにより資本の構成が高度化し労働者を減少させる。
討論では、補説でフランス語版での「独自な資本主義的生産様式」について「生産様式」とは労働過程の面でとらえた生産の仕方・様式という意味で用いられた。資本論では「生産様式」とは言っていないという説もある。有機的構成の用語の初出はここであるのか、それまでは関連項目はあるがここが初出である。2節の原文は名文という。マルサスの人口論が当時よく読まれたのは何故なのか。古典派批判が鋭い、特にプルードンに対して。第2節で集積と集中を帝国主義論による独占の問題との関心から読んでいたが、今回可変資本の問題提起であることを再認識した。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、服部さん、高田の7名でした。

*11月後半のゼミは、第4週が休日のため、翌週30日となります。
*11月のゼミで村岡本が終わります。次のテキスト候補の準備を。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
10月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第4章  報告高田

10月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1第23章 蓄積の一般的法則3・4節 報告小野さん

11月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第5章  報告高島さん

11月30日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第23章 蓄積の一般的法則 5節  報告者未定

その後は 12/14, 12/28, 2012年01/11, 1/25, 2/8, 2/22, 3/14, 3/28 (全て天六)

[一番上に]


2011年9月23日号

またまた台風の被害が報じられている。前号も台風であり、その時テレビで被害を見ていた人が今度は自らが被害にあっているかも、人事ではない。

[第623回ゼミ報告]
9月14日のゼミは村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第3章「変動相場制は金を「廃貨」したのか?−マルクス経済学と変動相場制」を小野さんの報告で行いました。変動相場制は金を「廃貨」にしたといわれるが、そうであろうか?諸商品が一般的等価物として選ばれた一商品・金によって自身の価値を表現することは、商品生産社会の鉄則であり、一片の法律で変えることは不可能である。金ドル交換停止は通貨当局による公的な交換を民間金市場に委ねただけで、ニューヨーク外国為替市場での各国通貨とドルの交換比率をみればわかる。金市場価格変動の原理的な規定はインフレーションと金生産費の高騰による。世界市場では国民的労働の生産性格差による各国通貨建て金市場価格の上昇率の不均衡が加わる。金は「価格の尺度」機能を失ったとはいえ、今でも貨幣=価値の尺度である。各国通貨建ての市場価格の比が事実上の為替平価=適正為替レートなり、金は変動する市場価格を持った一般的等価物として「価値の尺度」機能を営んでいる。現代のグローバリゼーションは正常な貨幣流通とは異なったものになり、通貨流通の「無政府性」と各国資本の行動に激烈な競争と投機性を持ち込んだ。
討論では、「廃貨」とは、誰が言っているのか。NY金と東京金は為替から計算すると同じになる。2007年執筆時よる今のほうが大変である。ドル体制は崩壊するのか。基軸をドルにしなくても、むしろドルの横暴がなくなれば為替は正常になるのではないか。今の情勢ではユーロ体制が崩壊するのではないか、いやこのままなんとかユーロ体制を続けていくと思う。エネルギー価格・食料価格は上昇している。外国為替を商業信用の問題というのは、どういうことか、論争があり、商業信用はG−W−G'、銀行信用はG−G'であり、貿易を介することになる。この問題の背景に「国家」の問題が横たわっている。地域通貨に対して強制力があるということになる。地域通貨は結局その国の通貨を背景に持っている。世界銀行のゼーリック総裁は金を基盤に置く国際通貨体制を提唱している。変動相場制になった頃よりも2000年代以降の急激な金地金価格の上昇とドル安のほうが問題である。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、高田の6名でした。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
9月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第23章 蓄積の一般的法則1・2節 報告高橋さん

10月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第4章  報告高田

10月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1第23章 蓄積の一般的法則3・4節 報告者未定

11月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第5章  報告高島さん

その後は 11/30,12/14,12/28,2012/01/11,1/25,2/8,2/22,3/14,3/28 (全て天六)

[一番上に]


2011年9月9日号

2日間、3日間もゆっくりと進む台風。今年は春の初め、秋の初めと、何と災害が多いことか、それもどちらも水に家もろとも流される。

[第622回ゼミ報告]
7月27日のゼミはマルクス『資本論』1巻第22章「剰余価値の資本への転化」の第4節「剰余価値の資本と収入とへの比例的分割から独立して蓄積の規模を規定する諸事情−労働力の搾取度、労働の生産力、充用される資本と消費される資本との差額の増大、前貸資本の大きさ」、第5節「いわゆる労働元本」を高島さんの報告で行いました。剰余価値を蓄積にかんして新たな観点から概括する。労働力の搾取度では労賃が価値以下へ引き下げ、資本は労働者の必要消費元本を資本の蓄積元本に転化する。実際イギリスの借地農場経営者における日雇い農業労働者ではそうであったし、労働力の高度な緊張による追加労働からも資本に転化される。社会的労働の生産性により剰余価値部分が増大し、労働手段も更新され、資本は古い形態の背後で社会的進歩を無償で自らに合体する。さらに建物・機械などの充用される資本と消費される資本との差額が増大し、充用される資本の全部が部分的にしか消費されない、というこの資本部分が無償の役立ちを行う。こうして前貸資本の総量が大きくなる。古典派経済学では、労働者のための生活手段の総量、いわゆる労働元本は超えることのできない特殊部分とした。しかしそれは搾取度におうじて変動し、その労働力の価格の最低限度は弾力性のものである。古典派経済学は社会的資本を固定した大きさのものとして把握したのである。
討論では、剰余価値率と労働の搾取度はおなじものかどうか。ここでは農業労働者を取り上げている。かつてのイギリスのように、中国が農業国から現在一大工業国になっている。資本の蓄積のはじめから分析しているのは、限界を超えた蓄積に関して労働力と同時に土地も論じている。ここで工場労働者ではなく農業労働者を分析しているのは、資本主義の初期から資本の蓄積を分析しているからである。労働元本説は労働基金説と同様に、当時の俗流経済学でドクマとなっていて、JSミルとは分けることができる。ベンサムの評価はどうか、功利主義が工場法に影響を及ぼしている。穀物法と工場法の関係はどうなのか。労働の自然力、労働の天分として、労働が資本の力であることを説いている。無償性には自然エネルギーにも当てはめることができるか。元本と財源というタームの区別はどうか。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、服部さん、高田の6名でした。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
9月14日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第3章  報告小野さん

9月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第23章 蓄積の一般的法則1・2節 報告高橋さん

10月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第4章  報告者未定

10月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1第23章 蓄積の一般的法則3・4節 報告者未定

その後は 11/9、11/30, 12/14, 12/28, 2012/01/11 (いずれも天六)

[一番上に]


2011年7月22日号

秋の七草のひとつ「なでしこ」は雑草、山野に自生する。「やまとなでしこ」は一歩引く女性像。さて世界一になった彼女らは、後者ではなさそうだ。

[第621回ゼミ報告]
7月13日のゼミは 村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』の第2章「マルクス後半体系と帝国主義」を高橋さんの報告で行いました。後半体系は具体的な諸形態を世界市場から論じていく。複数の国民的利潤率の並存という事態が出現する。特に世界市場を前提とした「原蓄論」を主眼に、世界貿易の発展、資本輸出=資本輸入という後進国での原蓄を論じ、各国・各地域で共同体的規制の弛緩の程度が原蓄にとって決定的に重要な論点であるとする。古典的形態であるイギリスに特殊性を認識して各国の原蓄の進行と、金融資本成立下での植民地での原蓄をみる。『帝国主義論』は後進国での原蓄としてグローバリゼーションの前史段階であるという。不均等発展している現段階では世界市場の中でアメリカ帝国主義を見ることが必要であり、マルクス後半体系をベースにして『帝国主義論』の論理を生かした現代帝国主義論の構築が必要とされる。
討論では、イギリスの原蓄期は重商主義の時代であり、その言及がない、重商主義国家である。後半体系の構成を前半体系の各編章に対応させているが、それでは土台と上部構造の問題はどうなるのか、後半体系は国家という上部構造を含んでいる。具体的形態の解明として「独占」の具体的諸形態の解明ではないか。問題の視点で、何故帝国主義であって、独占ではないのか。イギリスの原蓄に対してスペイン・ポルトガル・オランダはどうであったのか。労働の問題が出てこないが、その論点は重要だ。資本の問題の背後に労働の問題があり、それを抜きにできない。村岡氏の以前の著書『世界経済論』では原蓄は出てこないが、同じ体系で書かれている。この論点に原蓄の主体が書かれていない、つまり多国籍企業、現地特権階級、現地ブルジョアジー、民族独立運動など。現在も原蓄は続いている、現地ブルジョアジーの形成として、韓国・台湾・インドネシアの例。土地制度・農村革命が重要でそれができているかどうか。独占の位置づけとともに、資本の過剰の問題として利潤率の相違はどうなのか。社会主義と後半体系という問いかけはどうか。用語で征服植民地とは被征服植民地とすべき。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、久しぶりの松村さん、高田の7名でした。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
7月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化 4・5節 報告高島さん

9月14日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第3章  報告小野さん

9月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第23章 資本への転化 1・2節 報告者未定

10月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第4章  報告者未定

その後は 10/12, 11/9, 11/30, 12/14, 12/28, 2012/01/11 (いずれも天六)

[一番上に]


2011年7月8日号

節電、節電と業界団体を通して政府からの通達が次から次へと送られてくる。蛍光灯を間引き、エアコンの温度をあげ、扇風機を買いに走る夏となった。

[第620回ゼミ報告]
6月22日のゼミはマルクス『資本論』1巻第22章「剰余価値の資本への転化」の第1節「拡大された規模での資本主義的生産過程」、第2節「拡大された規模での再生産にかんする経済学上の誤った見解」、第3節「剰余価値の資本と収入とへの分割。節欲説」を高田の報告で行いました。剰余価値を資本に用いることによって資本への再転化・資本の蓄積が行われるが、そこには新しい資本の物的構成部分を含んでいることが必要である。労働者階級を労賃に依存する階級として再生産するとともに、資本によって資本が産み出される。過去の不払い労働を所有することが生きた不払い労働を増大させる条件となる。ここで商品生産に基づく所有の法則は内的な不可避な弁証法によってその対立物に転換する。所有と労働の分離、資本主義的取得様式は商品生産の侵害ではなく、その法則の適用から生じた。商品生産の内的法則により資本主義的生産が成長するのと同時に、商品生産の所有法則は資本主義的取得の法則に転換する。最初に前貸しした資本は次第に無限小となる。古典派経済学では資本に転化される剰余価値はすべて可変資本であるという誤りを犯した。近代化された資本家は蓄積のために享楽衝動への「禁欲」を行い、社会が進歩するほど節欲を要求するという俗流経済学が見られる。
討論では、所有と労働は最初一体であったが、労働に基づく所有が分離されることで、個人的所有が否定される。古典派ではV+Mのドクマといわれるが、内田義彦によるとスミスは資本主義が始まったばかりで、重商主義批判であり、Cまでいかないのは時代の制約であるという。新しい生産の契機における物的構成の問題については、回転期間の数量的問題から第2部・3部での考察が必要である。追加の労働力・労働力の再生産について賃金にその費用が入っているのか、親に比べ子供がいい生活できなくなっている、人口減少も問題である。翻訳で取得法則の「矛盾」とあるが「傷つける」である。プルードンが批判されているが、資本主義を廃止すれば商品生産がどうなるかマルクスははっきり述べていない。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、服部さん、高田の6名でした。

*出版プロジェクト、ようやく全ての原稿が出版社に送られました。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
7月13日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第2章  報告高橋さん

7月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化 4・5節 報告高島さん

9月14日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第3章  報告者未定

9月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第23章 資本への転化 1・2節 報告者未定

その後は 10/12, 10/26, 11/9, 11/30 (いずれも天六)

[一番上に]


2011年6月17日号

イタリアから脱原発の報、ドイツに続く。アジアの中国は推進を表明。日本では根拠不明な15%の節電を呼びかけ、原発再運転をせまるように。

[第619回ゼミ報告]
6月8日のゼミは村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』の序論と第1章「マルクス経済学と現代のグローバリゼーション」を小野さんの報告で行いました。グローバリゼーションとその周辺の諸問題をマルクス経済学の立場から整理するにあたり、『資本論』には必須な諸範疇・諸命題が遺されている。著述のプランとしての経済学批判体系の後半体系がマルクスのグローバリゼーション論であり、『資本論』の示唆によりそれを構築し現代のグローバリゼーションに接近する。マルクスは『資本論』→後半体系→現状分析と考えたが、レーニンの『帝国主義論』の偉大さに後半体系への関心が低くなった。世界市場とは生産物市場と労働市場が一致しない市場であるが、無差別な抽象的人間労働が措定され比較生産費の原理が出る市場である。各国資本の蓄積は、比較優位部門へ集中し、比較劣位部門・不採算部門の対外直接投資の選択という国際分業をもたらし、各国通貨建ての貨幣資本取引とともに、貨幣資本と現実資本の蓄積の乖離現象が国別・通貨別に生じる。地域ごとに資本・土地所有・賃労働を総括する近代国民国家を成立させる。先進国と途上国の格差が顕在化し、海外直接投資が促進される。変動相場制は国民国家が取引の安全と公正を維持するという価格の度量標準機能を放棄した通貨制度であり国民国家を空洞化する。
討論では、先進国は給料が高くても生産性が高いから売れていたがユニクロにみるように今日中国では賃金が安いが生産性が高い。後半体系は上向過程なので理論ではなく現実への過程であり、理論化することに疑問がある。後半体系の一般理論はできないのではないか。現代資本主義に一般理論はあるのか。ここでの後半体系には労働問題がなく、生産性の問題だけでなく移民の問題にみられるように労働力移動の視点が必要であり、そこに貧困と国家圧力による難民がある。比較生産費説を出したことに意義があり、土地所有に国家の保障を見ている。国民経済とEU,国連など国家概念が拡大する。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、藤本さん、山田さん、高田の7名でした。

*6月15日、エルシアターでの働き方ネットで、森岡先生の講演を聴く。原発事故ではなく「核災害」と呼ぶことで、事の重大さが見えてくる。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******

6月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化1・2・3節 報告高田

7月13日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第2章  報告高橋さん

7月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化 4・5節 報告者未定

9月14日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第3章  報告者未定

その後は 9/28, 10/12, 10/26, 11/9, 11/30 (いずれも天六)

[一番上に]


2011年6月3日号

原発から脱却を発表したドイツ、足らない分はフランスからとは。世界の原発の発電量合計と自然エネルギーの発電量合計が同じとも、希望の数字。

[第618回ゼミ報告]
5月25日のゼミはマルクス『資本論』第1巻第21章「単純再生産」を高橋さんの報告で行いました。資本の蓄積を抽象的に、直接的生産過程の一契機として考察する。単純再生産は再生産の一般理論であり拡大再生産は特殊理論である。生産過程は連続的に周期的に同じ段階を通る。どの社会的生産過程も同時に再生産過程である。資本主義的な再生産により剰余価値は資本から生ずる収入という形態を受け取る。単純再生産は同じ規模での生産過程の単なる繰り返しであるが、この連続は新しい性格を押印する。労働者は労賃の形で還流する前に生産していて、可変資本は一つの特殊歴史的な現象形態でしかない。投下資本はある年数で剰余価値の総額に等しく、元の資本価値はひとかけらも存在しない。搾取の関係を再生産し、労働者の不断の再生産・永久化が資本主義的生産の不可欠な条件となり、労働者階級は生命のない労働用具と同じ資本の付属物となる。労働力と労働条件との分離を、搾取条件を再生産し永久化する。再生産過程は資本関係そのものを、一方に資本家を、他方に賃労働者を、労働力を商品として、社会的関係を再生産する。
討論では、一定期間の後には元の価値をひとかけらも含んでいないという事に疑問を投げかけている富塚良三氏の説、つまり投下資本をすべて消費尽くされるわけではない、ということについて、議論が繰り広げられた。ここでは純粋に資本の価値のレベルであり、物質的構成部分ではないとの意見が出された。自己労働論としてロックの私的所有論にも通じる問題である。またこの章で本源的蓄積が24章と違う論点、不払い労働から言及している。この章ではマルクス的でない言葉が出てくる、消費元本・消費ファンドなど。また、資本について「人身を買う生活手段」と書いていることについて、ここの生活手段は誰の生活手段か、資本の生活手段ととるのか、労働者の生活手段ととるのか、可変資本部分とみるのか、議論の中で見解が分かれた。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、中野さん、服部さん、山田さん、高田の8名でした。

*次回のゼミは、村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』(新日本出版社、2010)です。先頭バッターはいつもの小野さんです。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******

6月8日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第1章  報告小野さん

6月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化1・2・3節 報告高田

7月13日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第2章  報告者未定

7月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化 4・5節 報告者未定

その後は 9/14, 9/28, 10/12, 10/26, 11/9, 11/30 (いずれも天六)

[一番上に]


2011年5月20日号

マンポを知っていますか、方言でトンネル。ハイキング途中で偶然出会ったマンポの写真展。石造トンネルや橋が盛り沢山、その熱意が伝わる話を聴く。

[第617回ゼミ報告]
5月11日のゼミは涌井『戦後日本資本主義の根本問題』第7章「アジア「工業化」の歴史的意味と人類の未来」を高島さんの報告で行いました。工業生産の歴史を持たない国が急速な工業化をなしたのは外生循環構造でありコピー生産の工業化である。労働手段が人間の手の直接関与が不可能な新しいものになり、この革命はポスト資本主義(21世紀社会主義)へのパラダイム変換を意味している。スミスの分業論からマルクスの機械論、さらにT.クサマの自動制御装置という新しい機械体系とそれを操作するコンピュータとソフト労働で労働価値説は社会的根拠を失い、ここに今日の価格破壊の淵源がある。工業製品の基本概念が大転換し熟練が不要となり、労働時間で計測されず価値法則が作用しなくなるほどにポジティブな生産力が展開し、行く手に前史(階級社会)が終わり正史(無階級社会)の始まる大きな曲がり角が見えてくる。
討論では、労働過程を着目しているが視野狭窄的で生産関係へは等閑視し、労働価値説不適用の根拠に疑義がある。これは科学技術と労働に関する問題である。コピー生産・複製で価値法則がゆらぐというが、むしろソフト作成労働が膨大な規模になり人間労働は増える。「一般的労働」とは何か、科学的労働か。これまでは「基軸・代位・補完」を使ってきたが7章では出てこない。また冷戦体制がこの章では出てこず6章の続きとなっていない。むしろアジア工業化を冷戦体制との関連で見ることが必要だ。この本の最初に問題とした土地問題はどこにいったのか、共同体ということか。共同体しか考えないので日本も中国も国民経済の発展が描けず、またグローバリゼーションの問題も解けない。この本は「はしがき」も「あとがき」もなく、非常に読みにくいし意味がとりにくかった。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、藤本さん、山田さん、高田の7名でした。

*涌井本が今回で終わり、6月8日ゼミからの新テキストが決まりました。村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』(新日本出版社、2010)です。先頭バッターはいつもの小野さんです。

*新緑ハイキングを5月14日に行いました。湖南三山の常楽寺から長寿寺を歩きました。参加は高橋さん、川口さん、高田の3名でした。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
5月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第21章 単純再生産      報告高橋さん

6月8日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第1章  報告小野さん

6月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化 1・2節 報告者未定

7月13日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
村岡『グローバリゼーションをマルクスの目で・』第2章  報告者未定

その後は 7/27, 9/14, 9/28, 10/12, 10/26, 11/9, 11/30 (いずれも天六)

[一番上に]


2011年5月6日号

そうか、安全な生肉など流通していないことになっていたのか。ないことが現実には流通し事故は起こる。賢い消費者・国民でいよう、どんな時も。

[第616回ゼミ報告]
4月27日のゼミは、マルクス『資本論』第1巻第20章「労賃の国民的相違」を小野さんの報告で行いました。まず20章の位置づけとして「経済学批判体系」の後半体系が『資本論』に組み込まれたものである。労賃の運動は多様な組み合わせの変動として異なる国で同時的な相違として現れる。時間賃銀は労働の生産性・内包的大きさの測定器として出来高賃銀に置き換えられる。世界市場こそ資本主義的生産様式の基礎と生活環境を成している。そこでは中位の労働強度が国々によって変動し、国民的諸平均は段階状になり、その度量単位は世界的労働の平均単位である。価値法則はさらに生産的な国民労働が強度の高い労働として計算されることで修正される。異なる国々では不等な国際的価値をもち異なる貨幣額で表現される。これを度外視してもある国民の相対的労働価格は別の国よりも高いということがある。ここから報告者は、以前は先進国に比べ途上国は高い相対的労働価格であったが、現代では新興国でさらに低い相対的労働価格になるとの見解を述べた。
討論では、不等な国際的価値と相対的労働価格に関して議論が集中した。労働の強度、生活手段、名目賃金、実質賃金が国際的な関係ではどのようになるのか、競争による影響は国際間ではどうなのか。特に段階状になるということは、国際的には労働の価値がそこから平均されると想定するのかどうか、見解は分かれた。ここに書かれていることは現代に通用するのであろうか、商品は生産において自由に歩き回ることができないが、労働者がサービス分野で国際的に歩き回る場合は不等な国際的価値はどうなるのか、国際的収奪の問題である。ヨーロッパ各国の比較が出てくるが、歴史的フードバックとしてEU間での労働の移動という現実の姿が浮かび上がる。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、服部さん、高島さん、高田の6名でした。

*次回のゼミで涌井本が終了します。新テキストの推薦候補を持ち寄りください。現在出ている候補は、村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』(新日本出版社、2010)です。

*新緑ハイキング実施!5月14日(土)恒例の新緑ハイキングを行います。行先は湖南・草津方面等への候補が続出、次回ゼミで決めます。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
5月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』7章・アジア工業化 報告高島さん

5月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第21章 単純再生産      報告高橋さん

6月8日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
新テキスト(未定)                 報告者未定

6月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第22章 資本への転化 1・2節 報告者未定

その後は7/13, 7/27, 9/14, 9/28, 10/12 10/26 (いずれも天六)

[一番上に]


2011年4月22日号

おさまらぬ地震の連鎖。余震というにはあまりに大きな揺れと恐怖。いつまで続くのか。FUKUSHIMAは3か月、6カ月、9カ月、それとも。

[第615回ゼミ報告]
4月13日のゼミは涌井秀行『戦後日本資本主義の根本問題』の第6章「冷戦体制とアジア資本主義の生成」を小野さんの報告で行いました。グローバリゼーションは資本の一般的本性に根ざし、国内政策が世界的な政策と関係を持ち、主役は多国籍企業あり、その活動を通じた世界経済の融合である。その1幕1場は第2次大戦後、帝国主義が終焉し資本主義と「社会主義」の対抗が主要矛盾となった。冷戦構造の中でヨーロッパ独占資本はアメリカの軍産複合体の国際分業に組み込まれ、アメリカ多国籍企業の支配下に入った。その1幕2場は対ソ戦略をアジアに移し、日本を戦略物資供給工業国として米欧枢軸を補完するものとされ、欧米企業の凋落と日本企業の大躍進があった。その2幕1場は金ドル停止と円高で生産拠点をアジア各地に移していった。それは企業内分業によるもので、外生循環構造として、担い手は日・米・欧の多国籍企業であり、低賃金労働力をもつ東アジアは世界の工場となった。アジアは国民経済の形成以前に世界経済に飲み込まれたが、賃金上昇で水準の低い所へ移動する。
討論では、グローバリゼーションの始まりはいつか、特殊と一般として現代の問題としては特殊の分析になる。冷戦構造から説いているが、IT化を軽視している。アジアの自立化はアメリカの問題だけでなくASEANの意味が重要である。生産体系のグローバル化が問題であり、アメリカの巨大な軍事力と国務省・ウォール街・ペンタゴンが関わっている。国民経済は世界経済とのつながりがあって形成される。外生循環構造という用語はマネタリストからではないか。ソ連形成期に封じ込めで困難になったがそこでの世界経済との関係が参考になる。中国経済を一括りにできるのか、あまりに大きな市場で地域に特徴があるが、まだ貨幣・土地・国営企業などで管制高地ができている。開発独裁と資本主義化の関連をどう考えるのか。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、藤本さん、高田の5名でした。

*出版プロジェクトの経過報告:出版社への入稿原稿が執筆者から続々と森岡先生に送られ、執筆の最終段階に入っています。乞うご期待!

*5月最初のゼミで涌井本が終了します。新テキストの候補推薦をお願いします。次回のゼミで話し合いをし、次々回のゼミで決めます。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
4月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第20章 労賃の国民的相違   報告小野さん

5月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』7章・アジア工業化 報告高島さん

5月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第21章 単純再生産      報告者未定

6月8日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
新テキスト(未定)                 報告者未定

その後は6/22(天六)、7/13, 7/27, 9/14, 9/28, 10/12 10/26

[一番上に]


2011年4月8日号

復興という言葉は前に進んでいる。さて福島第一は良い方向に向かっているのか、深刻な方向に行っているのか。確かなのは想定外といった言葉のみ。

[第614回ゼミ報告]
3月23日のゼミはマルクス『資本論』1巻第19章「出来高賃銀」を高橋さんの報告で行いました。時間賃銀は労働力の価値・価格の転化形態であり、出来高賃銀は時間賃銀の転化形態である。出来高賃金では労働の価格は生産者の作業能力によって規定されるように見える。出来高賃金の資本家にとっての「効用」は、平均的な品質を持っている製品、労働の強度を図る明確な尺度、労働監督の節約、労働の標準強度を引き上げと労働日の延長、労働者同士の競争であり、資本主義的生産様式に最もふさわしい労賃形態である。同じ時間で生産される個数の増加と1個に充用される労働時間の減少と同じ割合で出来高賃金は引き下げられる。
討論では、ハルシー割増賃金、ローワン割増賃金、時間研究、動作研究、テーラーシステム、職能給、職務給などの近代的能率給との関係はどうか。競争の強化が労働者の個性・独立心・自制心を発達させるということと労働組合のあり方、新自由主義下の競争の激化にどう対応するか。出来高賃銀のほうか歴史的には古いのではないか。時間概念はどの時代から賃金の要素として役割を担うようになったのか。論理的には時間賃銀から出来高賃銀となる。ノルマ制度でのベルトコンベアによる個数管理が、出来高制に通じる。能力給ということは給料に個人差が出る。それが労働者の自由感、自立性につながる。戦後の労働運動では賃金は電産型の生活給で始まったが、職務給がそれを壊していった。民間では日産争議が大きな分かれ目となった。労働者の自立ではQCサークルがそれを取り込んでいった。マルクスの時代は物的生産の時代であった。それで生産個数が重要な要素となった。が、現代は教育の評価をどうするのか、評価の基準が問題となる。たとえば画家の評価はどうか。
出席は小野さん、高橋さん、高島さん、高田と、遅れてこられた川口さんの5名でした。

*出版プロジェクトの一日合宿が、4月2日(土)午前10時から森岡先生の関大研究室で行ない、最終稿を持ち寄り議論をしました。4月10日頃に出版社への入稿原稿を森岡先生に送付することとなりました。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
4月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』6章・冷戦・アジア 報告小野さん

4月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第20章 労賃の国民的相違   報告小野さん

5月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』7章・アジア工業化 報告者未定

5月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第21章 単純再生産      報告者未定

その後は6/8(天六)、6/22, 7/13, 7/27, 9/14, 9/28

[一番上に]


2011年3月18日号

この一週間の変化のなんと大きな落差。それまであったものがなくなり、大きな悲しみと失望だけでなく、先の見えない不安がこの日本に覆っている。

[第613回ゼミ報告]
3月9日のゼミは予定を替えて、出版プロジェクトの検討会を行ないました。それまでに、森岡先生に原稿を提出し、その原稿に対するコメントをいただき、それへの対応策をこの検討会で報告することにしました。まず、森岡先生から執筆にあたっての留意事項のメモを配られ、続いて章の順に5名が報告しました。まず、高田が「派遣会社の経営戦略と労働実態」のテーマで森岡先生のコメントに従い章の構成をやり直し、論点が散漫に成っているのを改め、新たに派遣切りの実態を書き加え、注が長すぎるのを改めることにします。続いて小野さんは「グローバル化と中小企業の雇用激変」で、肝心の雇用変化の考察が不十分には、09年の派遣労働での変化を加え、主題が一般論になっているとの指摘には開業率と廃業率に注目し起業を支えるシステムの考察を考えているが、企業と雇用にどちらに重点を置くかが残る。次に高島さんが「「持家社会」の居住貧困と住宅ローン問題」では、住宅ローン問題への掘り下げが必要との指摘には、実証データが少ないので非常にむずかしいが、金融機関の動きを見たい。川口さんが「生活保護制度の現状と最低生活」で、構成がわかりにくい、生活保護制度の問題点と制度課題に論点を絞り、政府の福祉政策と行政施策を中心にまとめるという指摘には、国民には分かりにくい制度になっていること、自立支援プログラムについての問題点を現状から明らかにし、特に30代の生活保護が増えているのは失業に関連している。最後に高橋さんが「労働CSRと格差・貧困」で、労働CSRの限界を書くこと、それが新自由主義と規制緩和から来たことを書くと言う指摘には、自分では書いていると思うが。政府と財界を同列に論ぜず、政府批判を徹底するとのことには、雇用悪化の原因には財界の方にも問題があると思う。以上、全部をまとめることは出来ませんでした。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、高田の6名でした。

*3月19日・20日の専修大学での春季研究交流集会は震災で中止。

*出版プロジェクトの一日合宿は、4月2日(土)午前10時から森岡先生の関大研究室で行ないます。9月に桜井書店からの出版に決まりました。桜井書店さんのホームページに予告が載っています。ご覧ください。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******

3月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第19章 出来高賃銀      報告高橋さん

4月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』6章・冷戦・アジア 報告小野さん

4月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第20章 労賃の国民的相違   報告小野さん

5月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』7章・アジア工業化 報告者未定

その後は5/25(天六), 5/25, 6/8, 6/22, 7/13, 7/27

[一番上に]


2011年3月4日号

とうとう内戦状態になったリビア。国民を空爆するニュースで、軍隊は自国民を守るのではなく体制を守るための暴力装置である、との言葉を思い出す。

[第612回ゼミ報告]
3月2日のゼミは、マルクス『資本論』第1巻第18章「時間賃銀」を高田の報告で行ないました。賃銀の多様な形態は賃労働の特殊理論に属しているが、ここでは2つの支配的な形態:時間賃銀と出来高賃銀を取り上げる。労働力の日価値の転化形態が時間賃銀・日賃銀・週賃銀と呼ばれるものである。労働の価格は労働の貨幣価値として日価値を労働時間数で割ったものである。労働の価格が下落し日賃金が同じ場合、労働の価格が不変・下落し日賃銀が騰貴する場合があり、労働の価格切り下げの諸方法が存在する。過少就業で日賃銀が下落し労働者が苦しむ。長時間働かして時間賃銀が下落する。特に労働日が長ければ労賃が低いという周知の事実があり、労働時間の延長が労働の価格の低落を招いている。長時間労働による安売り競争へとはいっていく。
討論では、前の章(17章)の続きとして、その外観しか見ない資本家を描いている。これまでは章では労働力価値を時間で表現していたが、ここではお金という現象で表現している。この時代の労働者に正規・非正規はあったのか。現代は非正規は短時間労働で正規は長時間労働になっている。賃銀を科学的に計算できるのか、満足できる賃銀はあるのか。最低賃金と生活保護の問題、北欧をみていると自由になる時間が大切、脱商品化へ。価格破壊といわれるが賃銀破壊でもある。安売り競争に外国人・若者をとりあげ、彼らはどんな賃銀でもがまんするとの記述は、現代も同じだ。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、服部さん、高田、そして初参加ですが40年以上所員の山田正明さんの6名でした。

*3月9日のゼミは、予定を替えて出版プロジェクトの検討会とします。提出原稿への森岡先生からのコメントと、その対応を報告します。
*上記日程に合わせて、2月21日から25日にかけて森岡先生に原稿を提出し、3月8日までに森岡先生にコメントをいただき、3月9日の出版プロジェクト検討会に臨むという日程になりました。
*出版プロジェクトの一日合宿は、4月2日(土)午前10時から森岡先生の関大研究室で行ないます。9月に桜井書店からの出版に決まりました。桜井書店さんのホームページに予告が載っています。ご覧ください。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
3月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
出版プロジェクト・コメント検討会       報告:執筆者全員
3月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第19章 出来高賃銀      報告高橋さん
4月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』6章・冷戦・アジア 報告小野さん
4月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第20章 労賃の国民的相違   報告小野さん
その後は5/11(天六), 5/25, 6/8, 6/22

[一番上に]


2011年2月25日号

リビア情勢がどうなっているか気になりテレビをつけると、ニュージーランドの地震被害を映っていた。形を成していないビルの跡地に絶句。

[第611回ゼミ報告]
2月9日のゼミは出版プロジェクト報告会で、「法人税実効税率引き下げ論の虚構と現実」を大辺さんが報告しました。前著では経団連の税制提言を批判的に考察してきた。それは総体的な批判であるの対し、今回は法人税実効税率引き下げ要求に絞って考察の対象とした。まず法人税とは何かを書き、実質的な税率は様々な減税制度、特別措置制度、受取配当益金不算入などにより、実態として大企業は税額が1998年以降急激に減少している。世界各国で法人税の引き下げ競争行われる中、40%から30%への早期の引き下げを要求している。法人税が下がらなければ企業は海外に出て行ってしまうという論拠で要求が行われているのである。しかし、企業の進出目的を企業アンケートからみると、日本の税制を問題にした企業は少なく、法人税率が海外進出の主な理由ではないことがわかる。だが、グローバル化経済にともなう、グローバル税制が多国籍企業には当然、国際課税の問題、タックスヘイブン等も問題も含めて、その考察の対象となってくる。さらに経済危機との関連で、世界各国が財政出動を行って、財政赤字が問題となる。
みんなでの話し合いでは、全体がまだ文章化されていないので、できるだけ早い文章が当面の課題となった。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、高橋さん、中野さん、大辺さん、高田の執筆者7名でした。

*3月9日のゼミは、予定を替えて出版プロジェクトの検討会とします。提出原稿への森岡先生からのコメントと、その対応を報告します。
*上記日程に合わせて、2月21日から25日にかけて森岡先生に原稿を提出し、3月8日までに森岡先生にコメントをいただき、3月9日の出版プロジェクト検討会に臨むという日程になりました。
*出版プロジェクトの一日合宿は、4月2日(土)午前10時から森岡先生の関大研究室で行ないます。9月に桜井書店からの出版に決まりました。桜井書店さんのホームページに予告が載っています。ご覧ください。
*2月後半ゼミは、会場の都合で次週水曜日の3月2日に変更します。
*3月19日・20日、東京の専修大学で春の研究交流集会が開かれます。遠い所ですが、ぜひご出席ください。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
3月2日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第18章 時間賃銀        報告高田
3月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
出版プロジェクト検討会 報告:執筆者全員
3月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第19章 出来高賃銀      報告者未定
4月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』6章・冷戦・アジア 報告小野さん
その後は4/27(天六), 5/11, 5/25, 6/8, 6/22

[一番上に]


2011年2月4日号

噴煙を上げる火山、鳥インフルエンザ、八百長相撲と国内ニュース。飛び火してエジプトへ、デモの盛上りと反デモ、こちらは情勢が混沌としてきた。

[第610回ゼミ報告]
1月26日のゼミは、マルクス『資本論』第1巻第17章「労働力の価値または価格の労賃への転化」を高橋さんの報告で行ないました。ブルジョア社会では労働者の賃金は労働の価格として現われる。労働は価値の実態であり内在的尺度であるがそれ自身価値を持っていない。それまでの経済学が労働の価値と呼ぶものは実は労働力の価値である。労賃という形態は支払労働と不払労働に分かれる痕跡を消しさる。労働力の価値と価格が労賃という形態に、労働そのものの価値と価格に転化する。つまり現実の関係を見えなくしてその正反対を示す現象形態である。賃労働では、剰余労働・不払労働が支払われるものとして現われる。
討論では、第4章の労働力の購買とこの章の違いは何か、4章は価値法則の問題、この章はブルジョア経済学批判で労賃の物神性が問題になっている。注25の後の本文で、労働の価値での反対物とは何か、価値がないのに価値があるようになること、土地の労働(セー)、家畜の労働(スミス)といっている。古典派までは科学性をもっていたが、俗流経済学は資本家のための経済学に、それをポピュラーな経済学といえる。現代の新自由主義の芽がスミスにある。労働が商品として自立的実存を与えると言うのは、例えば弁護士のような仕事。労働力の価値=労賃ではなく、労賃=労働の価格、搾取の隠蔽、転化形態となる。労働力の価値が本質、賃金が現象形態、本質が現象形態に転化する。現象形態において物が逆さまに見えるという「経済学以外」の例としては、地動説に対する天動説で、コペルニクスが望遠鏡で観察して法則を見つけた。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、高橋さん、服部さん、高田の6名でした。

*2月9日のゼミは、予定を替えて出版プロジェクトの報告会とします。大辺さんにお願いしています。
*2月後半ゼミは、会場の都合で次週水曜日の3月2日に変更します。
*出版プロジェクトの最終稿提出一日合宿は、4月2日(土)午前10時から森岡先生の関大研究室で行ないます。9月出版です。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
2月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
出版プロジェクト報告会 法人税引き上げ論の虚構と現実 報告:大辺さん
3月2日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第18章 時間賃銀        報告高田
3月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』6章・冷戦・アジア 報告小野さん
3月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第19章 出来高賃銀      報告者未定
その後は4/13(天六), 4/27, 5/11, 5/25, 6/8, 6/22

[一番上に]


2011年1月21日号

インターネットの普及でアラブの国で民衆が革命、周辺アラブ国に波及するかどうか、さて4億4千万人を突破した人がネットにつながった中国は。

[第609回ゼミ報告]
1月12日のゼミは、涌井『戦後日本資本主義の根本問題』第5章「〈基本構成〉の成立と機能不全」を高島さんの報告で行ないました。〈基本構成〉とは内需と外需に代位=補完されてはじめて国内の再生産・循環が成立する、自立的再生産構造を持たない構成であり、戦後日本資本主義で母斑として消える事のないものである。1955年の新鋭重化学工業の一挙確立でまったく新しい再生産構造の形成があったという井村喜代子説を批判し、この時期に自立的再生産構造はできなったという。設備過剰状態が1962年、65年の過剰生産恐慌となった。平成バブルは対米輸出から内需への切替が過剰流動性で土地・株式投資へ向かったが、不良債権化してバブルが終焉し、それは〈基本構成〉の解体の開始であった。1985年のプラザ合意から海外生産に拍車がかかり、〈三層格差〉支配の機能不全、下請系列関係の再編により国内産業空洞化・雇用破壊が深刻な問題となり、「失われた20年」というように、この悪循環から抜け出られず、外需を必須条件とする機能不全症を発症している。
討論では、日本語として悪文である。金融の位置づけ、土地の含み益を「虚」とするなら、剰余価値の分枝としての地代はどうか、自立的再生産構造のあるべき姿としてアメリカはどうか。無の状態から土地が有を生み出したというが搾取はどこへいったのか。「基本構成が母斑として深く刻み込まれて消えることはなかった」というのに、基本構成の解体の開始というのはどうか。井村氏へは前半部分しか示さず批判しているが、そのあと国家、貿易を取り上げ自立とは言っていない。真の内需は設備投資ではなく個人消費であるとはどうか、投資も需要ではないか。輸出された付加価値部分が実物還流していないで、その付加価値が国内で実現されていないという説明がどうか。ヨーロッパ資本主義をクローズドというが、資本主義は外国貿易、植民地など海外と関係する再生産構造が必要である。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、高橋さん、中野さん、高田の6名でした。

*2月9日のゼミは、予定を替えて出版プロジェクトの報告会とします。大辺さんにお願いしています。
*2月後半ゼミは、会場の都合で次週水曜日の3月2日に変更します。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
1月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第17章 労働力の価値・価格   報告高橋さん
2月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
出版プロジェクト報告会              報告:大辺さん
3月2日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第18章 時間賃銀        報告者未定
3月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』6章・冷戦・アジア 報告小野さん
その後は3/23(天六),4/13, 4/27, 5/11, 5/25, 6/8, 6/22

[一番上に]


2011年1月7日号

卯年ということで、いただいた年賀状には3段飛びの絵が踊っていた。かつては日本のお家芸、近年は振るわず。水泳のように復活の道はあるのか。

[第608回ゼミ報告]
12月22日のゼミは、マルクス『資本論』1巻第15章「労働力の価格と剰余価値の大きさの変動」、第16章「剰余価値率を表わす種々の定式」を高島さんの報告で行ないました。労働力の価値は平均労働者が慣習的に必要とする生活手段の価値で規定される。労働力の価格と剰余価値の相対的な大きさは、労働日の長さ、労働の標準的強度、労働の生産力の三つの要因によって制約される。それぞれの要因が不変か可変か、という場合を想定して労働力の価格と剰余価値の変化を見た後、労働の生産力の増大で労働日が短縮され労働強度は増大し、社会的には労働の節約で無用な労働を避けるが、資本主義では事業所内の節約と社会的な際限ない浪費を生み出す。諸個人の自由な時間の獲得が資本主義では一階級のものとなる。剰余価値率を価値の比率から、価値が生産される時間の比率、労働時間の比率へ、さらに生産物の比率として表わされる。ここで生産物からの労働者の排除を覆い隠す。資本は労働に対する指揮権だけでなく不払労働に対する指揮権である。利潤・利子・地代のような特殊な姿態であれ、資本は他人の一定分量の不払労働にたいする処分権を持つ。
討論では、労働日の絶対的限界を労働の普遍性とするが、フランス語版では手の労働の普遍化となっている。剰余労働がなくなるとは処分権の問題である。配分(分配)という考え方は今でもある。剰余価値率では7章と16章ではどのように進展しているのか、生産力が増進して労働力価値が下がることを想定している。労働の強度で国と国とでは標準化されない。労働力を男と仮定しているが、女性・子どもが働く場面との関連はどうか。労働力の育成費では学生がローンで学費を払い就職する場合はどうか。フランス語版の扱いとプラン問題、エンゲルスはうまくまとめたのではないか。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、高橋さん、服部さん、高田の6名でした。

*出版プロジェクト最終稿持寄忘年会、12月25日に豊津の五味の樹に全員集まりました。3月末に出版社へ送稿、8月に桜井書店にて出版決定。
*2月9日のゼミは、予定を替えて出版プロジェクトの報告として、大辺さんにお願いしています(次回ゼミで決めます)。
*2月後半ゼミは、会場の都合で次週水曜日の3月2日に変更します。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
1月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
涌井『戦後日本資本主義の根本問題』5章・成立と機能不全 報告高島さん
1月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第17章 労働力の価値・価格   報告高橋さん
2月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
(予定)出版プロジェクト報告会 報告予定:大辺さん
3月2日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第18章 時間賃銀        報告者未定
その後は3/9(天六), 3/23, 4/13, 4/27, 5/11, 5/25, 6/8, 6/22

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