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大阪第三学科たより
2012年
ゼミ参加者用


2012年12月21日号
2012年12月7日号
2012年11月23日号
2012年11月9日号
2012年10月19日号
2012年10月5日号
2012年9月21日号
2012年9月7日号
2012年7月20日号
2012年7月6日号
2012年6月22日号
2012年6月8日号
2012年5月19日号
2012年5月4日号
2012年4月20日号
2012年4月13日号
2012年3月24日号
2012年3月2日号
2012年2月17日号
2012年2月3日号
2012年1月20日号
2012年1月6日号


2012年12月21日号

下がった投票率と大量の白票・無効票。それとは対照的に大勝の結果とは。

[第651回ゼミ報告]
12月12日のゼミは、ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第3章「どのように資本は生産しているのか?」を高田の報告で行いました。生産上の要素として、労働力の十分の予備が存在し、労働市場は地理的には分断されていたが、近年の輸送技術のイノベーションで国際的になり、世界中の労働予備軍があり、地理的障壁は存在しない。市場構造は生産者とサプライヤーとの直接取引で遊休在庫を削減しようとする。国家は資本の流れを適切に促進する社会制度を充実し、文化的な障壁を解体する。資本蓄積には潜在的に2部門間の不均衡で恐慌へ行くが、ここでの国家の役割は不可避でない。潜在的な自然的限界で天然資源の枯渇は富の生産の根幹である。資本の蓄積による環境の変化がより深く大規模になる。資本主義の経済地理は絶対的限界は存在しないが、自然ににおける制限が資本主義の第二の矛盾となる。石油市場は投機的な先物として擬制資本が運動する場となる。建物や都市建設は膨大は金融権力を動員し多くの過剰流動性を呼び込むが、産業空洞化が恐慌の源泉ともなる。技術と組織のイノベーションは競争に勝つ元であり、国家や巨大研究大学システムがそれに関わる。イノベーションは長期波動として創造的破壊による危機をもたらす。労働過程での社会的闘争が資本蓄積の閉鎖ポイントとなる。
討論では、経済地理の視点が随所に出てくる。あとで資本主義の共進化の七つの活動領域が問題となる。国家独占資本主義の用語が出てきて、政治の役割を強調している。恐慌を金融恐慌から見ている。資本の複利的発展が必要とは。資源の限界性は現代的問題だ。建築の減価償却はどうか。C部分の増大ではアメリカの鉄道がいい例となる。T・U部門間の不均衡とは、再生産表式でのCの増大の説明を。イノベーションはマルクスの予想ではオートメーションか、情報資本主義、消費資本主義。
出席は、川口さん、小野さん、高島さん、井貝さん、濱田さん、大村さん、松村さん、高田の8名でした。

*3月16・17日に福島で基礎研研究交流集会があります。終了後の18日に、被災地や原発隣接地を回るツアーを企画中、参加しませんか。
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
12月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 149-177頁まで 報告濱田さん
1月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第4・5章 市場・共進化   報告井貝さん
1月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 177-216頁まで 報告者未定
2月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』 第6章 資本の流れの地理学 報告高橋さん

その後は 2/27, 3/13(高島7-8), 3/27, 4/10, 4/24, 5/8, 5/22, 6/12

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2012年12月7日号

新卒就職活動解禁、当方会社もフェアに出店。真剣な表情の学生、有名なお菓子会社に女子学生が殺到しアルミ溶接会社は暇。誰が経済を担うのか。

[第650回ゼミ報告]
11月28日のゼミはマルクス『資本論』第一部未定稿「直接的生産過程の諸結果」の 141-149頁まで「U資本主義的生産は独自に資本主義的な生産関係の生産および再生産である」を濱田さんの報告で行いました。資本主義的生産の生産物は剰余価値だけでなく、資本である。現実の生産過程のなかで現実の資本に転化する。生産条件として生産過程の前提だったものがその結果となる。資本は資本を創造し、労働者が積み上げた富が労働者を支配する富・資本として増大する。資本と労働能力が商品市場で対等な関係あり、その使用価値によって区別されるという外観が消滅する。労働能力の不断の売買が資本の元への隷属を媒介する形態としてのみ現れる。労働の買い手としての資本と売り手として労働者との関係の永久化である。互いに平等対等な商品所持者であるような欺瞞的外観を与えている。経済革命は労働に対する資本支配の条件を作り出し完成させるが、他方その形態を破棄する新たな生産様式の条件・物質的基礎を作り出す。討論では、外観が消えてなくなるとは他の形態へか、外観が再生産、現象形態、本質との関係。「独自な」という用語はどうか、特殊とすべきか。何に対して特殊か、一般的に対して。「資本主義的」という用語はどうか、「資本家的」が本来の意味、「資本制的」とも使う。訳語の問題、しかしマルクスは「資本主義」という用語はあまり使っていないとも。「ヤンキーを見よ」とはその証明があると。本当に1巻の最終におかれる論述であった。
出席は、川口さん、小野さん、高島さん、井貝さん、濱田さん、服部さん、大村さん、松村さん、高田の9名でした。

*次回ゼミは『資本の〈謎〉』第3章です。前回の予定分の繰越です。
*恒例の秋のハイキングは、12月2日(日) 奈良県宇陀市大宇陀の町屋を歩きました。高橋さん、小野さん、川口さん、高田の4人で古い商家や江戸時代からの薬草園を見、薪ストーブで暖をとって昼食、柿本人麻呂像のある阿騎野公園へは寒さで止めて、ぜんざいを食べてバスに乗りました
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
12月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第3章  どのように資本は生産を 報告高田
12月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 149-177頁まで 報告濱田さん
1月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第4・5章 市場・共進化   報告井貝さん
1月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 177-216頁まで 報告者未定

その後は 2/13(高橋6),2/27, 3/13(高島7-8),3/27,4/10,4/24,,5/8,5/22

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2012年11月23日号

希望退職募集に目標予定の1.5倍に達したと、業務に支障と慰留も。傾いた船を立て直す技量ある人は、真っ先に飛び降りたかも、早川さん

[第649回ゼミ報告]
11月14日のゼミはハーヴェイ『資本の〈謎〉』第2章「どのように資本は集められるのか?」を高田の報告で行いました。資本は貨幣が永続的に循環する一個の過程である。貨幣は内在的限界を持たない社会権力の一形態であり、空間的障壁を乗り越える。本源的蓄積では国家権力が再編成され、「国家−金融結合体」は大量の貨幣権力を集積する。資本の過剰な地域と資本不足の地域を結ぶグローバルな資本・金融の流れができ、世界市場での自由な流通へといく。信用制度は金融資本家に潜在的に巨大な社会的権力を与え、国家的結びつきは「国家独占資本主義」であり、資本の流通は投機的になり貸付濫用で金融システム自体で金融恐恐へといき、ますます頻度と深さが顕著になる。「国家−金融結合体」はエリート集団で秘密・非民主的である。金融への抵抗運動はポピュリスト的基盤で時には産業資本家と組織労働者が同盟関係となる。討論では、いきなり資本を貨幣権力から説明するが、流通主義とはいえない。源蓄期より現代の方が何倍も多くの詐欺瞞着がある。用語で福利的割合・福利的成長と使っているが資本過剰と結びつけている。本来の投資と投機的投資との境目はどうか。経営者はストップオプションによって株価のみに関心があって短期的な結果を求め、長期的な評価を求めない。しかしシェールガスのように長期的な戦略もある。国家と国際機関の関係をすぐに結び付けていることに疑問がある、IMFや世界銀行などの国際機関は国家そのものではなく、アメリカ一辺倒ではなくフランス、中国も入ってきている。国家との結びつきでは、GMへの国家の救済があり、そのときには資本と労働組合は協調している。日本も一緒だ。
出席は、小野さん、高島さん、濱田さん、松村さん、高田の5名でした。

*前回のゼミでは『資本の〈謎〉』第2章のみでした。予定の第3章は次回12月12日のゼミで行います。以降繰り越します。
*恒例の秋のハイキングを行います。12月2日(日)、行き先は、奈良県宇陀市大宇陀、かつての松山城下町と周辺を歩きます。詳細は次回ゼミで
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
11月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 141-170頁まで 報告濱田さん
12月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第3章  どのように資本は生産を 報告高田
12月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 170-216頁まで 報告者未定
1月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第4・5章 市場・共進化   報告井貝さん

その後は 1/23, 2/13(高橋6),2/27, 3/13(高島7・8),3/27,4/10,4/25

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2012年11月9日号

まだまだ原発の話題が、ピンはね、図の方向間違い、人数水増し、稚拙。

[第648回ゼミ報告]
10月24日のゼミは、マルクス『資本論』第一部未定稿「直接的生産過程の諸結果」の109-141頁「生産的労働と不生産的労働」「総生産物と純生産物」「資本の神秘化その他」を高田の報告で行いました。生産的労働とは剰余価値を生産する労働であり、その労働能力行使者が生産的労働者である。直接労働者だけでなく技師・監督等を含め社会的結合された労働能力である。使用価値として資本家の個人的消費へのサービス提供者は生産的労働者ではない。サービスは活動として有用である限り労働の特殊な使用価値の表現であり、労働者が買うサービスは支出で資本に転化しない。工場を提供する著述家、経済学概説書の文筆プロレタリアは生産的労働者。教師は教育工場の単なる賃金労働者である。科学は資本に直接合体して現れ、機械の発達によって労働者を支配・抑圧・不要にして、資本に備わる諸力として労働に対立する。討論では、サービス労働を使用価値の面から家事労働と共通している。科学の階級性と自然力の指摘。科学と技術の区別はあったのか、産業革命期と現代の違いがある。サービスの問題を途中で無視してよいとは、直接的生産過程を考察しているから。生産的な階級とは労働者だけなのか、管理者として資本家を生産的労働者とはどうか。教育の問題でまだこの時代は国民教育が初等教育として制度化されていなかった。弁当と料理を考えるとコンビニで弁当を売っているとは生産工程がここまで出てきた。小売を小分けとしてマルクスは重要視していない。生産的労働の形態変化とは資本主義そのものが終焉することを意味している。
出席は、川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、井貝さん、濱田さん、松村さん、服部さん、高田の9名でした。

*『貧困社会ニッポンの断層』を輪読されている高知短期大学経済学クラブの皆さんが大阪への研修旅行で11月23日に我々執筆者との意見交流会を関西大学を会場に行います。前事務局長梶原さんのご手配です。
*恒例の秋のハイキングを行います。12月2日(日)、行き先は、奈良県宇陀市大宇陀、かつての松山城下町と周辺を歩きます。詳細は後日
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
11月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第2・3章  資本は集め・生産 報告高田
11月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 141-170頁まで 報告濱田さん
12月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第4・5章 市場・共進化   報告井貝さん
12月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 170-216頁まで 報告者未定

その後は 2013: 1/9(高橋), 1/23, 2/13(高島), 2/27, 3/13, 3/27, 4/10, 4/25

[一番上に]


2012年10月19日号

iPS細胞でノーベル賞、歓喜のニュースがいつの間にやら、別のもう一人の「臨床疑惑」に集中。驚きはそれに億単位の金が国から出ていたこと。

[第647回ゼミ報告]
10月10日のゼミは、デヴィッド・ハーヴェイ『資本の〈謎〉』の第1章「なぜ金融恐慌は起こったか?」を小野さんの報告で行いました。2008年秋サブプライムローン危機で、大手投資銀行が瓦解し、AIGは緊急支援を受けた。過剰流動性が突如として現金不足へと至る様は、ウォールストリートによるアメリカ政府と人民へのクーデターでった。その後の50兆ドル以上の資産価値破壊は最大級の恐慌であった。金融危機/恐慌は資本主義の非合理性を合理化し、投資の新しい領域・階級権力の新しい形態をもたらす。過剰労働力が存在する国への進出、輸送システムの再編が行われた。労働者の所得と消費のギャップはクレジットカード等の消費者金融にいき、金融の国際的相互連携システムが激しい競争を行い、ディリバティブ・ヘッジへの投資に至る。過剰資本は海外生産への投資を行う。しかし、2008年恐慌はアメリカのヘゲモニーを危険にさらし、2025年にはアメリカは支配的なプレイヤーでなくなっている。なぜ、資本主義は周期的な恐慌を生み出すのか。討論では、過剰資本は投資に行かず、投機にいった。余っている状態で金融投資に投資銀行が活躍した。彼は過剰資本の吸収問題が根本問題と理解し、財政から金融へといった。ギリシャの危機はこの分析でできるのか。不動産と金融の関係も重要。グローバル経済における国家の存在はどうか、フリードマンは国家を利用した。モラルハザードから言えば、格付け会社とSECの裏関係が重要。金融化はスキャンダルへと至る。1973年の金ドル停止が大きい。中国の家計と所得の差に注目、ローン付けとなっている。
出席は、川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、井貝さん、濱田さん、松村さん、高田の8名でした。

*『貧困社会ニッポンの断層』を輪読されている高知短期大学経済学クラブの皆さんが大阪への研修旅行で11月23日に我々執筆者との意見交流会を関西大学を会場に行います。前事務局長梶原さんのご手配です。
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
10月24日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 109-141頁まで 報告高田
11月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第2・3章  資本は集め・生産 報告高田
11月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 141-193頁まで 報告者未定
12月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第4・5章 市場・共進化   報告井貝さん

その後は 12/26, 2013: 1/9(高橋), 1/23, 2/13(高島), 2/27, 3/13, 3/27, 4/10

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2012年10月5日号

新日鉄と住金の合併、株主総会に鉄道レールと車輪が飾られたと。この製品で大きな国内シェアを持つ。はたしてレールの上を順調に車輪は走るのか。

[第646回ゼミ報告]
9月26日のゼミはマルクス『資本論』第1部見未定稿「直接的生産過程の諸結果」の79-109頁「資本のもとへの労働の形態的包摂」、「資本のもとへの労働の実質的包摂または独自に資本主義的な生産様式」、「資本のもとへの労働の形態的包摂に関する補遺」、「資本のもとへの労働の実質的包摂」を高橋さんの報告で行いました。労働過程は資本のもとに包摂されて、資本家は指揮者・監督者としてこの過程に入る。それは他人の労働の直接的搾取過程であり、これを資本のもとへの労働の形態的包摂と呼び、近代以前の様々な関係が契約・貨幣関係に変化し、高利資本と商人資本は副次的・過渡形態として再生産される。現実の諸条件をも変化させ技術的にも独自な生産様式・資本主義的生産様式が現れるとき、初めて資本のもとへの労働の実質的包摂が生じ、それとともに労働生産性・資本家と労働者との関係の革命が生ずる。討論では、「要綱」には包摂の概念がなく、63年プランに載り、この「諸結果」で詳述したが、『資本論』では14章で簡単に触れられるだけ、マルクスは包摂では後退したのか。包摂の詳述は2巻3巻と続けて出版していたら入ったが、1巻だけで終わったからではないか。「資本の生産力」の概念で、過渡期論として社会主義に資本家は要るか、レーニンのネップで。労働の生産力を超歴史的に考えると、科学技術・ITCをどう捕らえるか。集中と多様化、管理された社会。映画がデジタル化されると、フィルムでの技術が退化する。科学技術の発展が無能力化へ。
出席は、川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、服部さん、濱田さん、大村さん、松村さん、高田の9名でした。

*次回からのゼミ・テキストは、デヴィッド・ハーヴェイ『資本の〈謎〉 世界金融恐慌と21世紀資本主義』作品社2012年 2500円です。
*『貧困社会ニッポンの断層』を輪読されている高知短期大学経済学クラブの皆さんが大阪への研修旅行で11月23日に我々執筆者との意見交流会を関西大学を会場に行います。前事務局長梶原さんのご手配です。
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
10月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第1章なぜ金融恐慌は起こったか 報告小野さん
10月24日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 109-141頁まで 報告高田
11月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第2章 どのように資本は集め・ 報告者未定
11月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 141-193頁まで 報告者未定

その後は 12/12, 12/26, 2013: 1/9, 1/23, 2/13, 2/27, 3/13,

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2012年9月21日号

小さな島で大騒動。陸の上、海の上でいがみ合い。その発端は、どこかの知事の振る舞いにあり。が、海の中では魚さんが境もなく自由に泳いでる。。

[第645回ゼミ報告]
9月12日のゼミは、有井『株式会社の正当性と所有理論』終章「社会的なものの形態化と現代の限界」を高島さんの報告で行いました。この終章において「結論」へと導き、組み立てるべき所説の連鎖が綴られている。資本のシステムは自己の内部の社会的なものを自己の外部の公共性に転換し、私的資本の環境の公共性として承認する。労働者は私的所有者として自覚性を陶冶し、資本のシステムで労働者において民主主義という社会形成の評価軸が成立する。株式会社が顕示している社会的なものが、資本にとっても、労働者にとっても、内部そのものの生産過程の社会性である。民主主義的な自覚原理の徹底が生産過程の社会性、企業の公共性を確認する。また、井貝さんはこの本への所感で、有井氏の生産関係が人格関係として担われることで、人間の自然属性が株式会社形態で資本制生産を破綻させる、と。討論では、株式会社論を唯物論からアプローチ、あるいは所有形態の相互承認とするのか。中小企業では所有と経営が一体である。蓄積は永遠であり、個人では限りがあり、ここで株式会社が出てくる。終章にこめられたもの、社会的なもの、生産に即したもの、労働者のものから、普遍的国家まで、概念的形態化から労働者の陶冶で、革命論へいく。基礎研の労働過程論に有井氏は期待。資本主義の歴史的発展の視点と株式会社論との関係、生産過程・労働過程、蓄積をどう株式会社と結びつけるのか。
出席は、川口さん、小野さん、高島さん、濱田さん、井貝さん、大村さん、松村さん、高田の8名でした。

*有井本は今回で終了しました。昨年(2011)12月14日に始まり、今年(2012)1月11日、2月8日、3月14日、4月18日、5月9日、6月13日、7月11日、9月12日の9回でようやく終わることが出来ました。ご苦労さまでした、フ〜。次回、10月前半からのゼミ・テキストは、デヴィッド・ハーヴェイ『資本の〈謎〉』作品社2012年 2500円です。
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*訂正:「たより」前号で、出席者に高橋さんの名前が抜けていました。高島さんの名前が2回あり、ひとつは高橋さんの書き間違い、すいません
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
9月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 79-109頁まで 報告高橋さん
10月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第1章なぜ金融恐慌は起こったか 報告小野さん
10月24日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 109-130頁まで 報告者未定
11月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第2章 どのように資本は集め・ 報告者未定
その後は 11/28, 12/12, 12/26, 2013: 1/9, 1/23, 2/13, 2/27, 3/13,

[一番上に]


2012年9月7日号

やっぱり要らなかった、原発無し大丈夫。計画停電ハガキは早くに捨てた。

[第644回ゼミ報告]
7月25日のゼミは、マルクス『資本論』1部未定稿「直接的生産過程の諸結果」48-79頁を高田の報告で行いました。労働者は生産手段を取り上げられ生活手段も取り上げられている。生活手段の消費が労働過程の付属物として現れる。労働過程としては生産手段を労働者には単なる労働の生活手段として消費し、価値増殖過程としては生きている労働を資本の生き血としてわがものとする。飛躍点:より少ない対象化された労働とより多くの生きている労働との交換。労働過程は中断されることなく労働時間の限界を超えて延長しようとする。資本は生産部面の特殊性に無関心に経済外的な障害を取り除き資本の自由な運動が広がる。労働能力の売買がひとつの契機でありまた結果である。労働条件からの分離により生きている労働能力が労働者が処分できる唯一の所有物であり前提されていて、第2の契機が労働能力の現実の消費過程である。討論では、生活手段の重要性について。角田論、成瀬論。資本の生活手段とは。生活手段が資本になる。労働者の従属性を表現している。「生きた労働」か「生きている労働」か、訳は。人格では対等であるが、その後に転倒される、商品貨幣の第一形態・第二携帯、ここで人格が出てくる、形態的包摂の問題。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、濱田さん、井貝さん、高島さん、服部さん、松村さん、高田の9名でした。

*有井本は9月に終了します。10月前半からのゼミ・テキストは、デヴィッド・ハーヴェイ『資本の〈謎〉』作品社2012年 2500円です。
*テキストの著者・有井行夫さんから当ゼミに一度東京から参加したいとの声が寄せられました。9月に特別ゼミを設定しようとしましたが、有井さんの都合がつかず、来年初めに改めて日程交渉することになりました。
*テキスト『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版が絶版の為、以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*『貧困社会ニッポンの断層』合評会が基礎研現代資本主義研究会として8月4日の行われました。報告は森岡先生、評者には浪江巌先生、服部信一郎さんが、また執筆者全員が集り、30数名の参加で、有益な議論をしていただきました。なお、その続きを9月2日の労働学科でも議論しました。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
9月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』終章形態化と現代の限界報告高島さん
9月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 79-109頁まで 報告高橋さん
10月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第1章 なぜ金融恐慌は起こったか 報告者未定
10月24日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 109-130頁まで 報告者未定
その後は 11/14, 11/28, 12/12, 12/26

[一番上に]


2012年7月20日号

電力不足と喧伝して、大飯に稼動を始めてみたが、志賀し隠していた活断層が露見され、またまた泊まったままになってしまった、とさ。お粗末。

[第643回ゼミ報告]
7月11日のゼミは、有井行夫『株式会社の正当性と所有理論』の第3章「資本の形態発生と所有の経験」について、前回の川口さんの報告を受けて、総括討論を参加者全員が論点を報告し、討論しあった。今回は報告がなく討論のみであり、また哲学用語が飛び交う様子を筆者は正確に文章にできない。いつもの事ながら、今回も筆者の独断によるまとめであることを、特に最初にことわっておきたい。皆様からの論点・論争点から:物象化とは何かで商品論のレベルで資本のレベルと離れ、論理にずれがある。対象と意識の混同、マルクスがヘーゲルを超えたといえない論理について。対象と自己との実践的同一、ヘーゲルとマルクスの同一、労働でマルクスは行くと。能動性の意味で普遍性はあるか。存在前提、存在性格、有井用語にどの意味があるのか。3項連結で人格システムが所有関係として人間そのものが生産関係に影響を与える。生産力批判として、労働の能動性が所有関係に。人格化とは資本家・人間そのものに、生産関に影響を与える。人間そのものが決定を下すこと、それが社会を動かす。実践的唯物論として生産関係規定論批判。三位一体論では足らないと。所有と機能の分離で株主と監督賃金をもって資本の拡大を物象化のシステムとし人格化が要点。所有を相互了解とする。人間的自然、自然史的過程とは。実体と主体について、自己産出と運動体。見田石介との関係、当面の敵としない。株式会社を疎外論として説得できるか。搾取と疎外との関係について。3項連結で何が解明されたのか、労働への眼差し。株式会社を生産諸力の発展による資本の一つの形態と見ないこと、資本の最高・最後の形態ではないか。結局、株式会社の正当性はどうなったのか、私的所有の否定としては。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、濱田さん、井貝さん、松村さん、初参加の大村哲人さん、高田の8名でした。

*7月25日のゼミは、前回で残った『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版の48〜79頁を続いて行います。この本が絶版のため以下の所にスキャンしたPDF版を掲載しています。http://210.143.110.133/~ytakada/hon/ CHOKUSETSU.pdf 61MB
*有井本は9月に終了します。10月前半からのゼミ・テキストは、デヴィッド・ハーヴェイ『資本の〈謎〉』作品社2012年 2500円です。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
7月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1部未定稿直接的生産過程の諸結果48-79頁 報告高田
9月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』終章形態化と現代の限界報告高島さん
9月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 79-108頁まで 報告高橋さん
10月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
ハーヴェイ『資本の〈謎〉』第1章 なぜ金融恐慌は起こったか 報告者未定

その後は 10/24, 11/14, 11/28, 12/12, 12/26

[一番上に]


2012年7月6日号

計画停電のハガキが届いた、お知らせなのかお願いなのか。結局やらなかったら「脅し」とも読める、発電できないと大変な事になりますよ。誰がした?

[第642回ゼミ報告]
6月27日のゼミは、マルクス『資本論』第1部未定稿「直接的生産過程の諸結果」の「1.剰余価値生産としての資本主義的生産」の最初の部分、9〜46頁までを高田の報告で行いました。まず、貨幣から資本の量の変化を説いて資本の本来の機能は剰余価値生産にある。労働過程に入る前に貨幣額が客体的条件(生産手段)と主体的条件(労働能力)に転化し、労働過程では使用価値として有益性を持ったものとして作り出される。資本は人間の労働過程一般の必然的契機とみなされる。労働過程で可変資本部分は不変資本部分の価値を維持するだけでなく、労賃部分の価値の維持、さらに増加分を創造する。ここでの労働は社会的必要労働時間のもとで正常な社会的な量の合目的的労働ではあるが、資本家はその平均を超える強度、時間延長を強要する。生きている労働に対する死んだ労働の支配は資本の自己増殖であり、可能性としての資本家は労働過程に入ることによって現実の資本家となる。
討論では、この「諸結果」の意義は何か、その答えはこれを読み終わってからわかることだ。ここでは、資本論1巻4章2節「一般的定式の諸矛盾」にあるイコールの矛盾から説いていない。「生きている労働」という訳はどうか、それに対して「死んだ労働」になっていて、向坂訳では「生きた労働」となっている。33頁の労働の疎外過程に続いて「労働者ははじめから資本家より高い立場にある」とはどういう意味か、疎外とは能動的なものである。物の関係への言及で人格化がよく出てくる。この章は生産過程の結論部分。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、濱田さん、井貝さん、松村さん、服部さん、高田の8名でした。

*次回7月11日のゼミでは、前回の有井本第3章への川口報告を受けて、討論のみを行います。出席者は3章の論点をお持ち寄りください(レジュメも可)。補論・注も対象に含みます。
*7月25日のゼミは、前回で残った『資本論』第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版の48〜79頁を続いて行います。
*有井本は9月に終了します。その次のテキストは、デヴィッド・ハーヴェイ『資本の〈謎〉』作品社2012年 2500円にきまりました。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
7月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章 総括討論  全員が論点報告
7月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1部未定稿直接的生産過程の諸結果79頁まで 報告高田
9月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』終章形態化と現代の限界報告高島さん
9月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』直接的生産過程の諸結果 79-108頁まで 報告高橋さん

その後は 10/10, 10/24, 11/14, 11/28, 12/12, 12/26

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2012年6月22日号

これから夏に向かっていくというのに、早くも第4号で日本に上陸。はて、台風は秋の季語ではなかったか。季節を感じる事に自然は無頓着、か。

[第641回ゼミ報告]
6月13日のゼミは、有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章「資本の形態発生と所有の経験」の「2.生産関係の物象化と所有関係の抽象化」「3.資本による労働の包摂と抽象的人格の否定」を川口さんの報告で行いました。範疇的な株式会社は資本のシステムにおける私的所有の形態化であり、その私的所有論となる。最初の労働の経験の結果は私的所有の自己能動性であり、能動的な自立態となったものは、私的なものとしての社会的なものという端的な矛盾である。資本のシステムの現実相は、人格のシステム―物象のシステム―労働のシステムという3項連結と判明した。所有は生産と未分化であり直接的に生産の契機となり、労働の二面性、物神性論の労働、私的労働の現実態は賃労働、という3つの存在相に区別できる。労働とは個人的・個別的労働と社会的・一般的労働とに自己労働を不断に二重化してこれを統一する労働である。商品所持者の相互承認は法的関係であり、私的所有は法的な所有である。株式会社形態は社団として私的所有原理を媒介する構成された私的所有者の定着形態である。株式会社の意義は所有と機能の分離であり、物象的価値増殖運動の形態化であり、敵対的自主管理組織として疎外された労働の形態化であり、ここで資本の否定、配当の源泉があきらかとなる。討論では、「自己」というのは日本語の自己とは違う、資本の現象学として自己運動、自己批判がある。自己と自分の使い分け。物象化と疎外の概念ついて。有井説は労働還元論である。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、濱田さん、井貝さん、松村さん、高田の7名でした。

*次回の第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」国民文庫版は、最初から79頁まで(「資本のもとへの労働の形態的包摂」の前まで)を行います。7月25日は、その続きを行います。
*6月13日のゼミでは討論の時間がとれず、7月11日のゼミで、有井本第3章への川口報告を受けて、討論のみを行います。出席者は3章の論点をお持ち寄りください(レジュメも可)。補論・注も対象に含みます。
*有井本は9月に終了します。次のテキスト候補には、デヴィッド・ハーヴェイ『資本の〈謎〉』作品社2012年 2500円が上がっています。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
6月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1部未定稿直接的生産過程の諸結果79頁まで 報告高田
7月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章 総括討論  全員が論点報告
7月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1部未定稿 直接的生産過程の諸結果 T続 報告者未定
9月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』終章 形態化と現代の限界 報告者未定

その後は 9/26, 10/10, 10/24, 11/14, 11/28, 12/12

[一番上に]


2012年6月8日号

峠の山道に水を張った小さな田んぼが並び、いくつかはもう田植えが終わっていた。きれいに並んだ苗は機械植えか。千年の時を刻む葛城道を走る。

[第640回ゼミ報告]
5月23日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻「序言」を小野さんの報告で行いました。2巻、3巻はどの程度完成したのか、それを脈絡の通った、できるだけ完結した著作として、さらにもっぱら著者の著作として作成する、ということに加え、エンゲルスはもっと大きな役割を果たした。不破氏によれば、科学的社会主義の経済学を理解しやすく読者に提供し、解放運動の武器を用意する、未完成とは理論的に未完成ではなく叙述の整理と新たな現象の分析がない、ということ。マルクスは、一般的利潤率・絶対地代の発見、独自の経済表への到達、恐慌の運動論の発見、独自の資本主義的生産様式の規定という経済学上の4つの発見した。この発見のうえに、当初は全3巻同時に出版する予定が、1巻だけが「一つの芸銃的な全体」として「一般法則」「歴史的傾向」を追加し出版された。2巻への接続として「直接的生産過程の諸結果」が遺され、1867年以降2巻草稿が練られたが、3巻草稿は手がつけられないままであった。討論では、完成か未完成かを固定的にみない、書物としては未完であるが、理論としては達成していたとも。マルクスへの批判に対するエンゲルスの執拗とも思える反論の叙述は1巻でも見える。ロートベルトゥス批判はその当時ドイツで流行していたから。その当時マルクスは労働運動中ではまだ少数派で、むしろラッサール、プルードンのほうが有名で、第一インターでのマルクスの影響は小さかった。1870年代以後ドイツ社会民主党で影響力をもつようになった。プルードン批判と古典派批判派は、剰余価値からのみ行っている。講壇社会主義・国家社会主義とはラッサール、ビスマルクのことを指している。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、服部さん、松村さん、高田の7名でした。

*『資本論』第2巻に入りましたが、次回からは参加者の希望で第1巻に戻り、第1部未定稿「第6章 直接的生産過程の諸結果」を数回に分けて行います。6月27日は、「T、剰余価値の生産としての資本主義的生産」の進めるところまで行います。国民文庫版を使いますが、絶版のため(古本は高値)、参加者でお持ちでない方には、PDFファイルを用意しています。ファイルかそのコピーをお渡ししますので、ご連絡ください。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
6月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章2・3節    報告川口さん
6月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1部未定稿 直接的生産過程の諸結果 T  報告高田
7月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』終章 形態化と現代の限界 報告者未定
7月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1部未定稿 直接的生産過程の諸結果 T続 報告者未定

その後は 9/12, 9/26, 10/10, 10/24

[一番上に]


2012年5月19日号

金環日食の5月21日、安全なメガネで太陽を見るようにと。昔小学校の時、教室で皆がガラスにススをつけた道具を作ったことを思い出した、が。

[第639回ゼミ報告]
5月9日のゼミは、有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章「資本の形態発生と所有の経験」の第1節「範疇的意義における株式会社」を川口さんの報告で行いました。川口さんが用意されたレジュメには、この節の要点だけでなく、そこでふれられている「経済学批判」の序説の関連場所の抜粋、見田石介の『資本論の方法』の抜粋が添えられている、という詳細なものででした。これを元に川口さんはこの節の中で問題となる詳細な哲学的論点を詳しく報告された。時には語気を強くして話された哲学的内容を、うまくまとめるチカラは筆者にはありません。という理のもとで、このゼミ報告ではこの節の所々を書くことにいたします。資本のシステムの自己分裂的現実相を、労働のシステム、物象のシステム、人格のシステムの自立性と統一性でみる。企業形態発生史的、経済機能的、独占段階的見方はヒルファディングに結びつく。「序説」で一定の生産、生産を包括的、総体として資本をみている。株式会社は一定の生産のシステム、資本のシステムの形態であり、私的所有の形態であり、私的所有の限界のもとにある。株式会社は個別資本の拡大要求と私的所有の狭隘な領域との矛盾を媒介する私的所有の形態である。私的所有が株式会社では資本の自己自身に対立して、外面的本性は最終的に形態化している。社会的承認という所有の意義を自己否定するという、所有理論の実践的結集点である。討論では、見田氏と有井氏の違いは何か、契機、形態の自己転回、また実践的唯物論、認識について。ヘーゲルでの意識とマルクスでの歴史的発展について。三層連鎖の発生ついて。「存在性格」の言葉がでてくるがマルクスは使っていない。独占の問題をここでは排除しているが、生産力の発展と生産関係の変化が株式会社という形態と重要に関わっているのではないか。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、井貝さん、濱田さん、高田の6名でした。

*次回のゼミはいよいよ『資本論』第2巻です。まず最初を担当するのはいつもの小野さんです。よろしくお願いします。
*『貧困社会ニッポンの断層』の合評会が、8月4日の現代資本主義講座で行われることになりました。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
5月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』2巻 序言              報告小野さん
6月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章2・3節    報告川口さん
6月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』2巻1章貨幣資本の循環 又は 直接的生産 報告者未定
7月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』終章 形態化と現代の限界 報告者未定

その後は 7/25, 9/12, 9/26, 10/10, 10/24

[一番上に]


2012年5月4日号

規制緩和のバスが防音壁に激突。バス下請けで注文主には責任は無し、と。派遣労働を思い出す。派遣労働者に対する雇用責任は注文主には無し、と。

[第638回ゼミ報告]
4月25日のゼミはマルクス『資本論』1巻24章「いわゆる本源的蓄積」の第7節「資本主義的ちく席の歴史的傾向」と第25章「近代的植民理論」を高橋さんの報告で行いました。7節では、小経営を社会的生産の発展の条件として、また自由な発展を排除する二つの側面から、野蛮な収奪と社会的生産力の発展として暴力的な方法を含む資本の前史がある。この資本主義的生産様式が自立すれば労働の社会化、共同生産手段への転化、私有者の収奪が一つの新しい形態をとるようになる。小規模資本が駆逐され大企業へ集中される。それが資本主義的外皮とは調和できなくなり、最後を告げる鐘が鳴り収奪者が収奪される。資本主義的所有は自分の労働に基づく個人的所有の第一の否定であり、否定の否定として個人的所有が再建される。25章では、ウェークフィールドの植民理論を取り上げ、植民地では労働者が生産手段の所有者である限り、資本主義的蓄積は不可能であり、広大な土地の所有者であり、労働市場はつねに供給不足で高価である。ここでは植民地の問題が重要ではなく、自分自身の労働にもとづく私有と資本主義的私有は両立しないという秘密を明らかし、資本主義的私有は労働者の収奪を条件としている。
討論では、現代でも原蓄は行われている、「時代はまるで資本論」にフィリッピンのダム工事での土地収奪が書かれている。今問題の原発も地域経済を破壊していくという原蓄過程ともとれる。25章は植民地の問題ではなく所有の問題を説いていて、近代的所有として第7節を引き継いでいる。生産手段と生活手段の分け方について、資本論のさくいんに生活手段はなく、この点で視点がなく個人的所有の再建と関わる。社会主義への道として、市場経済と計画性の矛盾があるが、マルクスは市場経済が簡単に終わるとしていたのではないか。市場経済はいつ終わるのか。中小企業・農業の問題でマルクスは大農耕を描き、中小は没落すると考えていた。資本の集中化を考えたが、現代の問題まで思い描けなかった。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、服部さん、山田さん、松村さん、高田の8名でした。

*『資本論』第1巻が2008年4月23日に始まり足掛け4年1ヶ月で終わりました。続いて12年ぶりの第2巻に進みます。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
5月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章形態発生 1節 報告川口さん
5月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』2巻 序言              報告小野さん
6月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章 前回の続き  報告川口さん
6月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』2巻1章貨幣資本の循環 又は 直接的生産 報告者未定

その後は 7/11, 7/25, 9/12, 9/26, 10/10, 10/24

[一番上に]


2012年4月20日号

発射するのか発射しないのか人工衛星かミサイルかの騒ぎは、たった1分間の花火でおわり。と思っていたら、カレーの国がその隙にミサイル発射。

[第637回ゼミ報告]
4月18日のゼミは有井行夫『株式会社の正当性と所有理論』の第2章「ヒルファディングの問題転換」を高島さんの報告で行いました。主流株式会社論の3つ(宇野理論、馬場理論、川合理論)の真の源流はヒルファディング『金融資本論』にある。これとマルクスの問題設定との分岐を探る。ヒルファディングの社会科学観の根源にエルンスト・マッハの影響があり、『金融資本論』はその具体化である。その金融資本概念は生産諸関係の対象的区別ではなく、関係概念であり観察者の問題意識に依存している。その株式会社論は金融資本理論の媒介環である。株式の擬制資本としての「売却可能性」を軸に産業と銀行の緊密な関連を指摘し、銀行による産業支配を再表現している。その支配のもとでは株式会社は自立した資本としての現実性を持たず、生産された利潤の通貨機構にとどまる。現象主義の立場からは産業資本家一般を拒絶し、株式会社を前提とする資本家とは貨幣資本家と株主のみであり、この連関に投影した株式会社現象が株式会社論の全てである。生産・蓄積という産業資本の自立的本性が株式会社形態でどのように実現しているかという問題意識は最初から排除されていた。
討論では、この章で主流株式会社論へのヒルファディングの理論の影響がどのようなものか直接書かれていないが、支配集中機能か。川合理論は信用論から入っていて、批判が別角度であるようだ。金融資本概念については、現在の金融化を見ると重要な概念ではないか。しかし現代の金融バブルは投機である。株式会社についてマルクスの時代・ヒルファディングの時代・現代と有井氏は貫いたものがあると考えているが、マルクスの時代の株式会社と現代のそれとは相当違っているのではないか。今の株式市場は生産現場から離れた投機で動いている。以前の産業資本は儲けるのが当たり前で、株式はその儲けの分け前としての取り分であったが、現代は儲けが少なくなって、少なくなった儲けの取り合いから、さらに投機に至る。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、井貝さん、濱田さん、松村さん、高田の8名でした。

*次回ゼミは、24章の最後7節と1巻最後の25章を行います。1巻を終わり、続いて2巻に行こうという意見が多数出ています。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
4月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章本源的7節 25章植民理論 報告高橋さん
5月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章形態発展と経験 報告川口さん
5月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』2巻1章 貨幣資本の循環       報告者未定
6月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章 前回の続き  報告川口さん

その後は 6/27, 7/11, 7/25, 9/12, 9/26

[一番上に]


2012年4月13日号

久しぶりの飛鳥の地、すっかり変わって、多くの車とバスが押し寄せ、生垣に囲まれ整備された石舞台は、飛び切りの観光地となっていた。

[第636回ゼミ報告]
3月28日のゼミはマルクス『資本論』第1巻第24章「いわゆる本源的蓄積」の第6節「産業資本家の創世記」を高橋さんの報告で行いました。借地農業者は長期間かかって生成したが、ギルドの親方・独立生産者・賃金労働者から小資本家へ成長した。問題は貨幣資金であって、高利資本と商業資本から資本が提供された。農村では封建制、都市では同職組合制度が障害であった。新たなマニュを可能とした資本が創出された。国家権力が動員され、植民制度・国債制度・近代的租税制度・保護貿易制度を行われた。国民が負債をおえば負うほど富裕になる。児童にたいして略奪、奴隷制、夜業が行われた。資本主義的蓄積に潜む本源的蓄積としてイギリスの黒人貿易、アメリカの奴隷貿易がある。暴力的方法は経済的発展の促進者としての役目を果たした。資本は頭から爪先まで毛穴という毛穴から血と汚物をしたたらせながら生まれてくる。
討論では、Gewaltを暴力とも、強力とも訳している。清教徒のアメリカ植民地におけるキリスト教的性格、原住民を略奪している記述にはびっくりした。本源的蓄積における植民制度と国家の役割が大きい。産業資本の発展ではイギリスとヨーロッパ大陸の違いが出て、国庫負担で保護貿易を制度化しイギリスに対抗した。国債を国家の譲渡と表現して公債・国債が出てくるが、租税制度は近代国家の成立と一緒である。ここでは物ではなく、貨幣がどのように蓄積されたを課題とした。資本としては商人資本と高利貸資本が助産婦の役割をになった。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、服部さん、高田の6名でした。

*次回ゼミは会場の都合で、第3週の4月18日です。お忘れないように。
*前回のゼミは24章6節のみとなりましたので、4月25日のゼミは24章の最後7節と1巻最後の25章を行います。2000年2月23日に新日本新書版を中心に2巻から読み始め、3巻、1巻と12年でようやく一回りしました。それではもう一度2巻に行きますか?
*『貧困社会ニッポンの断層』が4月5日刊行されました。これには基礎研40周年記念出版助成をいただきました。また、出版打上げ合宿が4月7・8日に明日香村の民宿吉井で行い、執筆者全員で合評会を行いました。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
4月18日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第2章ヒルファディング報告高島さん
4月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章本源的7節 25章植民理論 報告高橋さん
5月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章形態発展と経験 報告川口さん
5月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』2巻1章 貨幣資本の循環       報告者未定

その後は 5/23, 6/13, 6/27, 7/11, 7/25, 9/12, 9/26

[一番上に]


2012年3月24日号

円高で日本の企業が海外へ。とうとう自動車までが逆輸入されるとか。ところがパソコンを日本でつくるという動き、HPもレノボも、何故..

[第635回ゼミ報告]
3月14日のゼミは有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章「「所有と機能の分離」とマルクスの問題設定」の「4.株式会社における「所有と機能の分離」とマルクスの問題設定」を井貝さんの報告で行いました。株式会社は利子生み資本の諸形態ではない。「資本の人格化」を契機に「資本にたいする制約」の契機を統一的に把握する。管理人の労働者性をその機能内容ではなくその行為の対立的性格、賃労働という性格によって把握する。資本の必然的形態として株式会社が範疇的形態をとり、その契機は「所有と機能の分離」である。「たんなる管理人」と「たんなる貨幣資本家(株主)」に人格的に分離する。機能資本家の監督労働のすべてについて管理人にとってかわるという事態は、企業者利得の仮象的な自己完結が破綻したということである。「所有と機能の分離」は私的所有と資本の矛盾であり、株式会社は資本の正当化問題を提起することによって、私的所有の完結性を破綻させ、取得の正当性否認は蓄積の正当性の否認であり、資本の正当性の否認である。株式会社に固有の「通過点」性は「資本の自己批判」という資本のシステムの社会意識的契機における否定性である。
討論では、資本のシステムというが人のシステムと物のシステムからなり、人は資本家で、物は資本・生産資本である。擬制資本と株式会社の関係では、擬制資本は有価証券の価格であり、現実資本に影響を与える資本である。マルクスでは株式会社を信用論のなかで論じている。株式会社に対してこれまでの論者は、1巻の立場から企業形態論で論じ、3巻の立場から信用論で論じされてきた。企業者利得というのはエンゲルスの言葉であり、マルクスは企業利得と使っている。能動性を問題にしていて、それは人格化と捉えられている。マルクスの以下の分離が重要である:機能資本家の機能を管理人に分離する、利子生み資本現象に起因せず協業論的に発生する、資本・賃労働の発生的な本性に基づき、利子生み資本に基づかない、と。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、井貝さん、濱田さん、松村さん、高田の8名でした。

*『貧困社会ニッポンの断層』の出版打上げ合宿を4月7・8日に明日香村の民宿吉井靖享で行います。近鉄吉野線飛鳥駅に午前10時50分集合。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
3月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積6〜7節 報告高橋さん

4月18日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第2章ヒルファディング報告高島さん

4月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻25章 近代的植民理論      報告者未定

5月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第3章形態発展と経験 報告川口さん

その後は 5/23, 6/13, 6/27, 7/11, 7/25

[一番上に]


2012年3月2日号

すべては規制緩和から。うまい投資話を鵜呑みし結局はなけなしのお金を取られてしまうのは、正直なお年寄りばかりでなく大企業の基金までも。

[第634回ゼミ報告]
2月22日のゼミは、マルクス『資本論』1巻24章「いわゆる本源的蓄積」の第3節「15世紀末以来の被収奪者にたいする流血の立法」、第4節「資本主義的借地農場経営者の創生記」、第5節「工業への農業革命の反作用。産業資本のための国内市場の形成」を高田の報告で行いました。鳥のように自由なプロレタリアートは暴力的に土地から追い払われ、まだマニュファクチャに吸収されずに乞食や盗賊、浮浪人になった。15世紀末から16世紀のイギリスでは乞食鑑札があり、元の土地に帰らないものは犯罪者として罰せられ死刑にされた。労賃は法律で低く抑えられ、団結が禁止されていた。労働組合が合法化されたのはようやく1871年であった。14世紀後半、荘園土地管理人から借地農業経営者が生まれ、15世紀末から16世紀の農業革命が貨幣価値の下落とともに彼らの貨幣資本を膨張させた。農業革命による農村民の収奪・追放とともに国内市場が形成されたが、マニュファクチュア時代はまだ根本的は変化ではなかった。機械によって資本主義的農業の恒常的基礎と農村民の巨大な収奪が行われ、大工業がはじめて産業資本のために国内市場を征服する。
討論では、本源的蓄積というがまだマニュファクチャである。労働者法というが13世紀には労働者といえるのか、職人であり、賃金労働者と労働者は違うのではないか。時間管理を行うには時計がなかったらできない、時計がなかったら資本主義もできなかった。こよみは権力が作ってきた。王子と乞食の時代。当時の都市は猛烈汚かった。当時は土地から人が離れるのを嫌がっていた。産業資本家の勃興ではなく、農民からの土地収奪をまず取り上げている。あとで商業資本を問題にする。当時は農村家内工業が相当発展して、それはロシアでも同じだ。国内市場形成が強調されていて、市場化が資本主義を生み出す原動力となる。食料が商品になるとの指摘は資本主義には重要。農民層の分解はまだ出てこない。マルクスがロンドンに居たのはちょうどビクトリア女王の時代にはまる。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、服部さん、松村さん、高田の8名でした。

*出版プロジェクト『貧困社会ニッポンの断層』がいよいよ3月末刊行です。今最後の校正に入っています。出版打上げ合宿を4月7・8日に明日香村の民宿吉井靖享で行います。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
3月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章第4節    報告井貝さん

3月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積6〜7節 報告高橋さん

4月18日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第2章ヒルファディング報告高島さん

4月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻25章 近代的植民理論      報告者未定

その後は 5/9(3章川口氏), 5/23, 6/13, 6/27, 7/11, 7/25

[一番上に]


2012年2月17日号

ユーロ圏の昨年末GDPがマイナスと発表、欧州各国の国債は格下げ、ギリシャ支援は民衆の大きなデモに足踏み状態に、さて日本の消費税議論は。

[第633回ゼミ報告]
2月8日のゼミは有井行夫『株式会社の正当性と所有理論』第1章「所有と機能の分離」の第3節「マルクスの機能資本家規定」を井貝さんの報告で行いました。マルクスの株式会社論とは資本家論であり、株式会社の資本に対する関係では資本家の形態である。主流的株式会社論は「所有と機能の分離」と「所有と経営の分離」を混同している。理論的枠組みでは主流的株式会社論では、@資本家的観念における「分離」、A支配する資本家的実態における所有と機能の統一という[人の主観−人の客観]、という二層論であるが、マルクスは@人格的担い手の主観における神秘化、A人格的媒介の非人格的・物象的「役割」の客観的分離、B生産という実態における非人格的・物象的な客観的統一という三層論である。主流的な二層論は@とAを混同して独自のAの実在性を自覚せずBの統一を資本家の人格的統一と混同する。総利潤は利子と企業者利得に、資本は利子生み資本と機能資本に、資本家は所有・非充用の貨幣資本家と非所有・充用の機能資本家という「2つの人格」に分裂する。管理人は生産手段を占有しないが機能資本家は生産手段を蕩尽しても所有的規範に触れない。機能資本家は資本の充用に関する権原を得て資本を「占有」し、たんなる事実行為としての「占有」から区別して一般的には「所有」という。
討論では、有井氏は物神性を問題にしている。貨幣資本家の非所有の指摘し占有としての機能が所有になるといっている。オリンパスと大王製紙の問題と関わっている。人格化といっているが、所有とはみんながその状態を是認することである。株式会社論は資本家論であって貨幣資本家・機能資本家と「家」がつく。所有と経営の分離にたいして所有と機能の分離を問題にして、その徹底した分離と物神性の破綻を問題としている。資本の正当性の破綻を株式会社に見出している。有井氏の特徴は人格化である。労働関係を強調しているがこの論説には生産の問題が出てこない、生産力の発展とそれに照応する生産関係が資本の形態を発展させたのではないか。
出席は川口さん、小野さん、高島さん、濱田さん、井貝さん、松村さん、高田の7名でした。

*井貝さんがこのゼミで報告されるのは初めて。これまでの勉強を踏まえたすこぶる詳細なる報告で、予定の第4節は次回に繰越となりました。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
2月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積3〜5節 報告高田

3月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章第4節    報告井貝さん

3月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積6〜7節 報告者未定

4月18日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第2章ヒルファディング報告高島さん

その後は 4/25(25章), 5/9(3章川口氏), 5/23, 6/13, 6/27, 7/11, 7/25

[一番上に]


2012年2月3日号

早くも2月に。今年はうるう年で2月29日があり、さらに7月1日にうるう秒で8時59分60秒があるという。一日と一秒を有効に使えるかな。

[第632回ゼミ報告]
1月25日のゼミはマルクス『資本論』第1巻第24章「いわゆる本源的蓄積」の第1節「本源的蓄積の秘密」、第2節「農村民からの土地の収奪」を高橋さんの報告で行いました。資本の蓄積は剰余価値を前提にし、剰余価値は資本主義的生産を前提とするという循環論法。ここから抜け出る本源的蓄積の想定が必要。この蓄積は暴力が大きな役割を演じている。資本への転化には奴隷や農奴・自営農民と違う自由な労働者の誕生が必要である。資本関係を創造する過程は、労働者が労働手段の所有から分離され、社会的生活手段と生産手段が資本に転化し、直接生産者が賃労働者に転化させる過程である。農村の生産者からの土地収奪が本源的蓄積の全過程の基礎をなしている。典型的なかたちをとって現われるのはイギリスだけであって、そこを論じる。農奴制がなくなり15世紀にヨーマンリーが多数を占めたが、土地から暴力的に駆逐しプロレタリアートを作りし、ジェントリーが勃興した。最初はフランドルの羊毛マニュファクチュアの興隆により、イギリスで耕地の牧羊地化の囲い込みという個人的な土地収奪であり、法律による共同地・教会領の横領であり、最後は地所から農民が典型的にスコットランドで「掃きだされ」た。
討論では、王権はブルジョア的発展の一産物とはどういう意味か。封建制での農奴が解放され、自営農民が絶対王政の基盤となった。ここでは農業革命の経済的な技術的な側面をみないというが、囲い込みの裏面で大きな原動力となっている。イギリスを典型的・一般的というが、それは特殊でもある。農業資本家を論じているがイギリスでは農業から資本主義化されたということか。このあと都市ブルジョアジーの問題を述べられる。フランスでは伝統的土地農業関係は清掃できずに小さな土地所有となった。日本が引用されているが、封建制が典型的であるということ。徳川末期には絶対制の姿となっていた。日本が寄生地主制というが、大地主である本間家は銀行の設立、網元など産業資本家とも言えるのでないか。ゲール人が出てくるが、ヨーロッパの民族問題はどうか、イギリスの王朝の変遷について。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、松村さん、高田の7名でした。

*出版プロジェクトの書名は『貧困社会ニッポンの断層』。初稿の校正が終わり1月末に桜井書店さんへ送られます。3月末出版予定。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
2月8日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章の3〜4   報告井貝さん

2月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積3〜5節 報告高田

3月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第2章ヒルファディング報告高島さん

3月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積6〜7節 報告者未定

その後は 4/18(3章川口氏), 4/25(25章), 5/9, 5/23, 6/13, 6/27, 7/11

[一番上に]


2012年1月20日号

船長の思いつきで座礁転覆し、乗客の避難が終わる前に、自らの責任を果たさず船長や乗組員は救命ボートで脱出したとな。何処かの国の話に似たり。

[第631回ゼミ報告]
1月11日のゼミは有井行夫『株式会社の正当性と所有理論』の第1章「「所有と機能の分離」とマルクスの問題設定」の「1問題設定」、「2マルクスの「所有と機能の分離」論と2つの受容態度」を川口さんの報告で行いました。「所有と機能の分離」論は資本のもっとも完成された形態であると同時にあらゆる矛盾をそなえたものとしてあらわれる。マルクス株式会社論を回避させる"マルクスの時代的制約論"、"段階的理論観"、"構造改革論"の3つの事情があるが、マルクスは資本のシステムでの「所有という社会関係」の意義である「取得の正当化」の破綻を見ている。「所有としての資本」と「機能としての資本」がそれぞれの資本家という人格に分離され、総利潤は利子と企業者利得に分離される。この分離は「剰余労働のむきだしの取得」を現象させる形態であり、たんなる管理人が機能資本家として実質的な機能をおこなう。この「分離」は資本の自己否定の形態であり、高次の生産様式への「通過点」としての形態である。利子の範疇的確立に発する物神的形態化を否定する、分離の内容自体をことなる内容に転換するという2つの受容態度がある。マルクスの主張する「分離」は協業的な意味での現実の生産過程における「全面的な分離」である。
討論では、資本論では株式会社が信用論で出てくる。プランでは株式資本が書かれていたがそれが信用論に吸収され、利子生み資本としての論じされている。マルクスに株式会社論はあったのか。所有と機能が「完全分離」か「不完全分離」かは問題点である。blossを「単なる」か「むき出し」と訳すかは大きく異なる。「分離」は必ずしも株式会社を前提としない、協同組合でも分離はおこるという主張だ。ここでは問題設定をどうするか他の論者とどう違うかを問題としている。人格といっているが、資本論にはない、人格化はある。資本が資本家として、機能資本家として行動していることを問題としている。生産関係と所有関係の矛盾を労働を媒介にして規定している、と言っている。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、濱田さん、松村さん、井貝さん、高田の8名でした。

*出版プロジェクトの初校が執筆者に届き、1月25日のゼミで執筆者修正を集め、1月29日10時から森岡先生研究室で校正作業を行います。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
1月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積1〜2節 報告高橋さん

2月8日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章の3〜4   報告井貝さん

2月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積3〜6節 報告者未定

3月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第2章ヒルファディング・報告者未定

その後は 3/28(7節,25章), 4/18(3章川口氏), 4/25, 5/9, 5/23, 6/13, 6/27, 7/11

[一番上に]


2012年1月6日号

あけましておめでとうございます。さて昨年の漢字は「絆」、わざわざその言葉を言わなければならないとは、なんとも情けない。あやかる新党も然り。

[第630ゼミ報告]
12月28日のゼミはマルクス『資本論』第1巻第23章「資本主義的蓄積の一般的法則」第5節「資本主義的蓄積の一般法則の例証」の「e大ブリテンの農業プロレタリアート」「fアイルランド」を高田の報告で行いました。資本主義的生産・蓄積の敵対的性格が一番示されているのはイギリスの農業と農村プロレタリアートである。18世紀中葉に労賃が25%も下落し、栄養状態と住宅状況がひどく、農村労働者は受給貧民に、ものを言う道具・白色奴隷と呼ばれた。穀物法がイングランドの農業を近代化し農村労働者人口を減少させた。地主は救貧税を逃れるため労働者を追い払い、近隣の粗悪な住宅が彼らを受け入れた。農村における「相対的過剰人口」と都市への移動が資本主義の発展法則の姿である。農村では労働隊制度が借地農業経営者と地主の致富のために実存する。アイルランドでは1846年のじゃがいも飢饉から急激な人口減少を起こり、20年足らずのうちに5/16以上を失ったが、イングランドに穀物・羊毛・家畜、産業的・軍事的新兵を供給している。さらなる人口減少が農業革命とともに移住によっておこり、相対的過剰人口が絶対的人口減少より急速に進んだ。
討論では、労働隊の記述は現代の派遣労働者を見ているようである。この時代の統計はまだ限られたものでしかないが、公衆衛生を議会で問題視している。ドイツのユンカーはどうであったのか。イギリスは農業プロレタリアートであるが日本では小作となっている。土地が貴族的土地所有から資本主義的土地所有に変わっていくのに、土地の代理人が重要な役割をしていて、穀物法廃止による農業技術の発達には低利の国家資金が投下されている。日本では地租改正がそのような動きがある。資本主義には植民地が必要との立場から、イングランドがアイルランドを収奪していったが、日本にとっては北海道や沖縄にあたる。マルクスが民族問題にたいしたのはポーランド問題であるが、アイルランド問題ではじめて民族問題としての解決がイギリスの労働者階級に利益になるとの立場に立ち第一インターの宣言に結びついている。
出席は川口さん、小野さん、高橋さん、高島さん、山田さん、服部さん、高田の7名でした。

*出版プロジェクト、ようやく新年早々に初校が届くとの連絡が入りました
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
1月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章の1〜2    報告川口さん

1月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積1〜2節 報告高橋さん

2月8日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
有井『株式会社の正当性と所有理論』第1章の3〜4    報告者未定

2月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻24章 いわゆる本源的蓄積3〜6節 報告者未定

その後は 3/14, 3/28(7節,25章), 4/18(3章川口さん), 4/25, 5/9 (全て天六)

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