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大阪第三学科たより
2014年
ゼミ参加者用


2014年12月19日号
2014年12月5日号
2014年11月21日号
2014年11月7日号
2014年10月17日号
2014年10月3日号
2014年9月19日号
2014年9月5日号
2014年7月18日号
2014年7月4日号
2014年6月6日号
2014年5月23日号
2014年5月9日号
2014年4月18日号
2014年4月4日号
2014年3月21日号
2014年3月7日号
2014年2月21日号
2014年2月7日号
2014年1月17日号
2014年1月3日号


2014年12月19日号

冬本番、冷たい風が吹きすさぶ。低投票率にも関わらず信任されたという政権だから早くもこんな風を吹かせるのか。いや沖縄に一筋の光がある。

[第694回ゼミ報告]
12月10日のゼミは若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』終章「21世紀資本主義の対立軸―労働と福祉の視点から―」を高島さんの報告で行いました。21世紀資本主義の危機を深刻させる金融主導型資本主義=新自由主義に代わるオルタナティブ・対立軸が試みられる。市場と社会の妥協と調和をグローバルな次元で構築し、再商品化と脱商品化の対抗軸の提起が必要である。資本主義の制度変化の対立軸を理解し、新たな商品化と労働の再商品化による市場拡大と、市場拡大を抑制する社会の対抗運動との間の境界線をどのように設け、市場の論理と社会の論理の間にどのような妥協を見つけるのかの争点がある。労働者による対抗文化として職人技等の提唱による新しい資本主義論・社会資本主義の提唱、資本による労働の時間管理と多様な活動による社会との対抗を現代の中心問題と位置づける。ベーシックインカム支持論に対しては、資本の論理と労働・福祉の論理をどのような方向で調整するのか、市場化・商品化と脱商品化との対抗軸を看過している。将来像としてポスト工業化資本主義の対抗軸や調整様式を究明する課題がある。
討論では、妥協性が合理化され、革命と改良との有機的関連の思考への門前払い、社会主義・共産主義への拒否があり、ここでは様々な対立軸を探り当てつつ、やたらと調整策を張り付けているだけである。家族問題への希薄、福祉国家の二重性格の欠如があり、著者独自の主張・論理展開がやや乏しい。むしろこの終章から著者の理論が始まる。EUでの論争の紹介に終わっている、最前線のレポートか。社会的貧困問題の分析がなく、資本と労働・市場と社会との妥協をいうが、どういう風に調整するのか発展がみられない。EUでは社会経済・社会国家と言われるが、EUにおける「社会」の概念が問題である。EUの中ではレギュラシオン学派は主流なのか。終章にこの本の主題であるフレキシキュリティが出てこない。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、大辺さん、齊藤さん、と高田の7名でした。

*今回のゼミで若森本は終わりました。次々回からのテキストは、鶴田満彦『21世紀日本の経済と社会』桜井書店2014年12月、に決まりました。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
12月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本 2・3節 報告齋藤さん

1月14日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
鶴田満彦『21世紀日本の経済と社会』第1・2章    報告者未定

1月28日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第17章 剰余価値の流通   報告者未定

2月11日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
鶴田満彦『21世紀日本の経済と社会』第3・4章    報告者未定

その後 2015/ 2/11, 2/25, 3/11, 3/25(働き方AN)

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2014年12月5日号

12月、急に寒気が日本列島を襲って強風が吹きつけ、給与総額が連続上昇でも実質賃金は連続下落、国債の格付け引き下げと、その日が公示日。

[第693回ゼミ報告]
11月26日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻第16章「可変資本の回転」 第1節「剰余価値の年率」を高橋さんの報告で行いました。建物・機械など労働手段である不変固定資本と原料など労働対象である不変流動資本と労働力である可変流動資本のうち、ここでは後の2つが問題とされる。不変流動資本は回転ごとに補填が必要であるが、剰余価値と資本の回転の関係を考察するこの章では不変流動資本は無視される。可変資本の回転数は年間生産物価値を前貸資本価値で割ることで得られるが、それは資本家の目的には十分であるが、現実の回転事情を正確に表現していない。前貸可変資本価値総額に対する1年間に生産される剰余価値総額の比率は剰余価値の年率と呼ばれ、剰余価値が同じでも可変資本の回転数が10倍の場合、年率は10倍になる。これが剰余価値は流通過程から生じるという現象の不思議さを説いたリカード派の解体に関係した。外観上の矛盾は充用可変資本と前貸可変資本の区別、現実の剰余価値率と年剰余価値率の区別によって解決される。労働過程で現実に充用される資本・機能可変資本だけが剰余価値を生むのである。充用されずに準備的な前貸し可変資本は機能していないから剰余価値を生まない。
討論では、「前貸」は「投下」とも訳される。資本はストックともフローともいい、可変資本のストックはあるのか、その回転数はわかるのか。3巻4章で同じ可変資本の回転が問題とされている。可変資本と不変流動資本は同じ回転と言えるのか。回転は資本家にとって前貸し額を決める際重要な要素であり、年にどの位の利潤があるかを測る指標となる。労働力も前貸しされていて、月払い・週払い・日払い賃金があるが、半日払い賃金もあった。回転は何で決まるのか。年10回転とは軽工業、繊維産業が想定され、年1回転とは何か、造船業、鉄道はそれ以上遅い回転。この章ではリカード批判が重要。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、服部さん、齊藤さん、初参加の田中雄三さんと高田の8名でした。

*次回12月10日のゼミで若森本は終わります。次のテキストを次回ゼミで決めます。推薦本をご持参下さい。これまで候補に高田太久吉編『現代資本主義とマルクス経済学』、秋山誠一『国際経済論』が出ています。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
12月10日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ』 終章 21世紀 報告高島さん

12月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本 2・3節 報告齋藤さん

1月14日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
テキスト未定                報告者未定

1月28日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第17章 剰余価値の流通   報告者未定

その後 2015/ 2/11, 2/25, 3/11, 3/25(働き方AN)

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2014年11月21日号

さて「ご破算で願いまして〜」とソロバンの玉を元に戻し、足し算する人、引き算する人、掛け算する人も。「ごめいさん!」となるか、選挙!

[第692回ゼミ報告]
11月12日のゼミは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキ』第10章「欧州危機とフレキシキュリティ−デンマーク・モデルのストレステスト−」、第11章「移動的労働市場と選択可能な社会への道」を高田の報告で行いました。2008年世界金融恐慌でリスボン戦略は出鼻をくじかれ、EU全体で失業者、特に若年者の失業率が急増し、北欧型フレキシキュリティが試練を受けた。デンマークモデルは好況期には有効だが不況期に通用せず、強い雇用保護と労働時間調整を組み合わせたドイツモデルが効果を上げた。若年・低技能労働者での高失業率・非正規の増大はフレキシキュリティ概念が新自由主義的アジェンダを推進する策略とみなされ、柔軟性への過度の譲歩が保障性を犠牲にしていると批判に対し、新たに移動労働市場の目標とした。労働概念を従属的労働を超える生産的な非市場的活動まで拡大し、雇用の概念をライフコースでの就労可能性の一時的状態と定義し、完全雇用を社会的統合との関連で再定義した。有給の労働市場と非市場的な他の活動を自由に移動できれば、雇用機会が多く創出され失業も減少するとして、教育訓練と労働の個人的な移動リスクに制度的措置をとり、失業給付を教育訓練にまわすことで、事後的社会政策を事前的に対応する社会的リスク管理に変更する。ライフコースに応じて労働市場に出入りできる自由、選択と生き方の幅の拡大のという自由を目指す政策転換が提唱される。
討論では、この本でいろいろな意見が叙述されるが若森さんの意見は?欧州は日本の政策を先取りしているようだ。でも欧州はこれで破たんしたのだ。結局フレキシキュリティは第3の道と同様新自由主義だったのだ。これまで植民地としてきた東欧・南欧の国をEUは統合してきたが、共同体と国民国家の問題が資本のグローバル化に関わっている。政策当事者の政府を中立に描くことに疑義。国家論として議論する必要がある。この教育は働くための教育に限られている。
出席は、小野さん、川口さん、高橋さん、齊藤さんと高田の5名でした。

*次々回12月10日のゼミで若森本は終章となり終わります。次のテキストを募集中、推挙願います。前回ゼミで高田太久吉編『現在資本主義とマルクス経済学』、秋山誠一『国際経済論』が出ています。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
11月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本 第1節 報告高橋さん

12月10日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ』 終章 21世紀 報告高島さん

12月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本の回転(後半)報告者未定

1月14日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
テキスト未定                報告者未定

その後 2015/1/28, 2/11, 2/25, 3/11, 3/25(働き方AN)

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2014年11月7日号

3%→2%→3%→2%は何でしょう? 8年→17年→1年は? 3%→5%→8%→10%は? 消費税上幅、期間、税率。さてどう動く?

[第691回ゼミ報告]
10月22日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻第15章「資本前貸しの大きさにおよぼす回転時間の影響」の第3節「労働期間が通流期間より短い場合」、第4節「結論」、第5節「価格変動の影響」を齋藤さんの報告で行いました。回転期間が通流期間の整数倍のときは資本の遊離は起きないが、整数倍でないときは遊離が起こる。流動資本の回転に固定資本は関係なく新たに前貸しされないからである。労働期間の長さが新たな前貸し資本の追加に影響を及ぼす。労働過程の連続性が労働の生産力である。遊離資本のある部分は貨幣資本の形をとり、流通期間の短縮で遊離期間が長く貨幣資本過多になり、逆に流通期間が長いと追加貨幣資本の需要増加をもたらす。産業資本のかなり部分が遊離して貨幣形態をとる。原料・補助材料・労働の価格が下がる場合は資本が貨幣市場に投じられ、上がる場合は追加資本が必要となる。生産物の価格が下がる場合は追加貨幣資本が必要で、下がる場合は遊離がおこる。以上を報告者は詳細な回転期間の時間図を使って説明した。
討論では、貨幣資本の遊離を問題とし、再生産と信用をつなぐものとなる。資本の性、生産と止めないことが追加資本を必要とする。「遊離を排除」とは再び入ってこないこと。貨幣資本の「過多(Plethora)」とは医学用語の多血症から、分離されるもの。産業資本のうち生産資本に対し一部が商品資本・貨幣資本になる。ここでは社会的総資本として問題。マルクスの問題意識では固定資本・剰余価値を捨象して流動資本のみで解こうとした。ヒルファディングは資本の過剰としてここに注目した。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、大村さん、齊藤さん、服部さんと高田の8名でした。

*次回11月12日のゼミは、若森本の第10・11・終章の予定でしたが、終章は高島さんから12月10日ゼミでの報告希望があり、11月12日ゼミは第10・11章のみ高田が報告します。ご了解ください。
*12月10日のゼミで若森本が終了、次のテキストを推挙願います。
*前号に不正確な記述があり訂正:「デンマークで30%が労働市場から排除とは問題」は「労働市場から排除され移転所得に依存する労働可能な人口が労働力人口の30%」と訂正。北野正一所員からご指摘により。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
11月12日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ』第10・11章  報告高田

11月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本 第1節 報告高橋さん

12月10日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ』 終章 21世紀 報告高島さん

12月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本の回転(後半)報告者未定

その後 2015/1/14, 1/28, 2/11(?), 2/25, 3/11, 3/25(働き方AN予定)

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2014年10月17日号

フェリーで渡った小豆島を車で巡り、高速艇でうどんの高松へ、電車で漆黒の瀬戸大橋を渡り、新幹線さくらで帰阪、乗物尽くしの旅でした。

[第690回ゼミ報告]
10月8日のゼミは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』の第8章「資産形成型成長体制と賃労働社会の不安定性」、第9章「フレキシキュリティの多様性とデンマーク・モデル」を小野さんの報告で行いました。1980年代以降のグローバル化により、フォーディズムと異なる資産形成型成長体制が出現した。フォーディズムでは労働生産性の向上で生産コスト削減が図られたが、この体制では株主資本収益率上昇の為に生産コスト削減として賃金コスト最小化が図られた。ここで労働市場と柔軟性と安定性、フレキシビリティセキュリティの両立が国家の新しい役割となる。賃労働者基金による年金の資本化は株主支配のあり方での社会的性格と管理をもち、排除されない権利と女性の社会進出が問題となる。フレキシキュリティという新たな社会的妥協が欧州資本主義の将来を左右し、フレキシキュリティ共通原則は職保障から雇用保障へとして、柔軟な雇用契約・就労可能な生涯学習・職移動促進・所得支援を打ち出すが、欧州間で地域差があり、特に「黄金の三角形:柔軟な労働市場・所得保障・雇用保障」のデンマーク・モデルの特殊性・普遍性を説き、その射程は当面は欧州に限られるという。
討論では、やはり調整が問題となっている。8章最後に「資本主義の努力で社会進歩が実現する」とアグリエッタは言っている。機関投資家に労働者がはいるのか、高利から低利への問題は。資産形成型とは労働者の賃金が投資に向い資産形成できるのか。物の生産が横に除けられた。表8−1のイギリスはドイツでは。職保障にたいする雇用保障とはごまかしではないか。欧州では職業訓練しても安価な外国人労働者がいる、日本でもやがてそうなるか。デンマークで30%が労働市場から排除とは問題。オランダモデルは失敗したのでは。
出席は、小野さん、高橋さん、松村さん、齊藤さんと高田の5名でした。

*次回10月22日のゼミは、資本論2巻第15章の後半、第3・4・5節を行います。報告は前回に引き続き、図が好評だった齋藤さんです。
*次々回11月12日のゼミで、若森本がようやく終了します。次のテキストを次回ゼミで推挙願います。次々回ゼミに推薦テキスト本を持ち寄り、次のテキストを決めます。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
10月22日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間(後半) 報告齋藤さん

11月12日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ』第10・11・終章 報告高田

11月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本の回転  報告者未定

12月10日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
テキスト未定              報告者未定

その後 12/24 (働き方AN), 2015/1/14, 1/28, 2/11(?), 2/25, 3/11, 3/25(予定)

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2014年10月3日号

嘗て子供達と楽しく登った美しい山が、多くの人を襲った突然の悲劇の場に。湧き上がる噴煙、降り注ぐ噴石、積もった灰の姿に、自然を侮るなと。

[第689回ゼミ報告]
9月24日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻第15章「資本前貸しの大きさにおよぼす回転時間の影響」の「まえがき」・第1節「労働期間が流通期間に等しい場合」・第2節「労働期間が流通期間よりも長い場合」を齋藤さんの報告で行いました。この章と16章で資本の価値増殖におよぼす回転時間の影響を扱う。労働時間に対し流通時間では生産が停止されるために、生産規模を縮小して生産を続けるか、追加資本を前貸しして規模を縮小せず生産を続ける例を示す。最初の資本Tと追加資本Uは労働期間と通流期間が同じ期間のときは順次交代するという特別な場合で、二つの期間が異なるときは資本Tの一部分が資本Uと一緒に機能する。労働期間中に機能した資本は通流期間中には遊休する。前貸し資本の一部は可変的流動資本に投下され、労賃として期間内に支払うために、労働期間の全期間にわたり貨幣形態で現存する。社会的総資本では追加資本の相当な部分が長期間にわたり貨幣状態に置かれる。経済学者は資本の一部が通流期間中生産から引き上げられることを見落としている。労働期間と流通期間が等しい場合は、資本T・Uが交替して運動する。労働期間が流通期間より長い場合は資本T・Uが交錯しあい資本の遊離が生じる。報告者は本文をもとに労働期間・通流期間と回転との関係を様々な設定で詳細な図を作られ、分かり易く説明され、本文の一部の数字に疑問を出された。
討論では、流通期間が終わるまで資本が回収されないと前提されているが、現実にはありえない設定だ。少しでも回収でできれば投資に回せる。同じ不破氏の批判がある。抽象理論としていいのでは。ここでは信用を度外視しても潜在的に貨幣資本の長期の現存を指摘している。特に貨幣の遊休が問題とされている。最初は個人資本での考察をしているが、途中から社会的総資本に考察が変わってしまっている。流通期間に気が付かない経済学者とは誰のことだろうか、リカードであろうか。この章の詳細な検討は必要だ。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、松村さん、服部さん、齊藤さん、大村さんと高田の9名でした。

*次々回10月22日のゼミで、資本論2巻第15章の後半、第3・4・5節を行います。報告は前回に引き続き、図が好評の齋藤さんです。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
10月8日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第8・9章 報告小野さん

10月22日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間(後半) 報告齋藤さん

11月12日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・』第10・11章 報告者未定

11月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第16章 可変資本の回転  報告者未定

その後 12/10,12/24 (働き方AN)

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2014年9月19日号

電車からたくさんの人々が降りてくる。いや東京には、うじゃうじゃ人がいるな、だから東京支部の活動は活発だ、とは邪推。研究大会は盛況。

[第688回ゼミ報告]
9月10日のゼミは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の第6章「新しい社会的リスクと社会的投資国家」、第7章「生物多様性の危機と環境国家―国家主権から人類主権へ―」を高田の報告で行いました。第6章では、90年代の新自由主義的福祉国家への批判から社会的投資戦略が2000年にEUで図られた。人的資本として教育訓練が行われ、積極的労働市場政策が就業率を上げる目標を掲げた。しかし、フル就業は低賃金部門への移動となった。社会民主主義アプローチと第三の道アプローチは、福祉的給付が貧困を制限と主張するものと、市場と機会での平等と結果の不平等を是認するものとの対立であった。しかし欧州では、現実にはコストの高い社会的投資よりもコストのかからない活性化・再商品化を先行させ、高い就業率でも貧困リスクとワーキングプアは減少していない。第7章では、生態系サービスの過度利用が20世紀後半に進んだ。多国籍企業のCSRはグローバル規模で必要であるが、法的拘束力ある国際的枠組みが必要である。日本では里山が生物多様性の維持に不可欠で、そこで農業と生物多様性保全が両立する。環境国家戦略には「主権の緑化」の国際枠組みが必要。環境危機の根本問題は、貧しい人や将来世代という無力な犠牲者への責任にあり、国家主権を超える人類主権の構想・制度化が必要。循環型経済は環境危機への対応であり、ローカルに考えてグローバルに行動する、と説く。
討論では、人的資本・生態系サービスの用語に違和感あり。社会的投資戦略とは教育訓練を重視するが、従来の社会民主主義とは違った福祉なのかどうか。ロシア革命により資本主義側でも改革が必要となり福祉国家政策となったが、社会主義崩壊後は福祉政策をないがしろに、それが書かれていない。職業訓練を企業がやっていたが余裕がなくなり、国家政策になった。ここには企業の競争という根本問題が、そして運動視点からは労働組合の動きも書かれていない。生物多様性と福祉国家の関係はどうか。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、松村さん、斎藤さんと高田の6名でした。

*次回9月24日と10月22日のゼミで、資本論2巻第15章を2回に分けて行います。9月24日は「まえがき」、1・2節までです。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
9月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間(前半)報告斎藤さん

10月8日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第8・9章 報告小野さん

10月22日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間(後半) 報告者未定

11月12日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・』第10・11章 報告者未定

その後 11/26,12/10,12/24 (働き方AN)

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2014年9月5日号

防災の日に電車が全線復旧。防災訓練は土砂災害発生を想定して行う。問題なのは、土地価値下落懸念で警戒区域に出来ず、命よりカネが大切。

[第687回ゼミ報告]
7月23日のゼミは、マルクス『資本論』2巻第13章「生産時間」、第14章「通流時間」を高橋さんの報告で行いました。生産時間(Produtionszeit:生産期間)は資本が生産過程に投下されてから脱出するまでの期間である。労働期間はつねに生産期間であり資本が生産部面に拘束されている。しかし労働過程の中断があり、睡眠など自然的制限による中断と、生産物の性質による中断、すなわち物理的・科学的な変化を必要とする。例えばブドウ酒の放置期間、製陶業で乾燥期間などである。これにより資本の回転も長くなるが生産方法の発達によって短縮されることが多い。それはまた固定資本の投下額を増大させる。農工分離が起こり、これまで農村の副業に都市資本が侵入してくる。特に農業では労働期間と生産期間の差が多く、造林業のような不利な資本主義的経営よって森林破壊が起こる。通流時間(Umlaufszeit:流通期間)の考察は第5章でも行われたが、この章では回転の見地から考察される。流通期間の相違は回転期間の長さを相違させる。運輸の発達により流通時間が短縮され、資本の集積が進行し産業中心地の移動を促す。世界商品の増大は運輸資本を増大させる。市場が遠いとその還流も遅くなる。在庫を必要とし前貸資本が多くなる。販売期間の相違は購買期間の相違を引き起こし、信用期間の相違の物質的基礎となる。
討論では、科学技術の発展と回転の関係、工業の場合は中断を工夫できる、それまで天日利用の場合も工業化で短縮が可能。手形の機能の問題:基本的な手形である船荷証券としての手形の説明。インドとイギリスでの手形期間短縮での失敗とは何か、海上輸送経路の革命的変化。農業の今度の在り方:菜園家族はどうか。人工的な短縮は固定資本を増大させる、農機具は短期間しか使わないので共同化できないのか、補助金があるから個別購入になる。資本による森林破壊の実態。生産地と市街地の集中することと、輸送量増大による資本の巨大化は、信用を促進させる。
出席は、小野さん、高島さん、高橋さん、服部さん、大村さん、斎藤さんと高田の7名でした。

*9月24日と10月22日のゼミで、資本論2巻第15章を2回に分けて行います。9月24日は「まえがき」、1・2節までです。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
9月10日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第6・7章 報告高田

9月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間(前半)報告斎藤さん

10月8日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第8・9章 報告者未定

10月22日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間(後半) 報告者未定

その後 11/12,11/26,12/10,12/24(働き方AN)

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2014年7月18日号

何も知らされずセシウムが降り注ぐ街に住む人々。何も知らされず密約で返還された島で生活する人々。民は知らずが良いと為政者にお墨付き。

[第686回ゼミ報告]
7月9日のゼミは若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の第5章「新自由主義と国家介入の再定義―新自由主義的競争国家の出現―」を高島さんの報告で行いました。この章では新自由主義的国家介入の原理とその出生の秘密を探る。自由放任主義としての19世紀の自由主義とは異なって、新自由主義は強い国家による介入による市場経済秩序の再構築にあり、普通選挙と賃上げや福祉国家の発展に対して、市場経済下における国家の法的経済的機能の麻痺に焦点を当てた。リップマン・シンポジウム(1938年)では市場の価格システムが唯一有効な経済システムであり、国家による経済と社会への介入の可能性と限界が問題だとし、新自由主義と自称されることになった。続くモンペルラン会議(1947年)を契機に、ハイエクを会長にモンペルラン協会が設立され、国家の法的介入による競争秩序の制度的枠組み論が展開された。自由主義対全体主義・民主主義対権威主義の構図で、多数派に無制限の権力を与える民主主義の可能性の排除が、国家の法支配と個人の自由の条件であるとした。フーコーは法の支配によって経済ゲームにルールが与えられるとし、競争メカニズムを原理として社会全体に「企業」形式を波及させることが新自由主義にかけられていると言う。彼らは対内的には断片化・個人化を促し、対外的には人々を自発的に経済戦争へ駆り立てる市民社会的全体主義に基づく新自由主義的競争国家を描く。
討論では、この章で新自由主義を発生論的・歴史的に論じようとする意図は一応達せられた。新自由主義登場の必然性は、哲学者まで総動員せざるを得なかった歴史の反動側の打開策への衝動に求められる。ここでの歴史感はどうか、ナチという全体主義が選挙で生まれたということと愚民思想。ナチズムが倒れてもソ連という全体主義があることへの敵視がある。労働組合を競争を妨げるものとして敵視している。このシンポと会議は、当時はまだ影響力はなく、70年代までは非主流で、ケインズ派が主流であった。当時の対抗勢力は労働運動、スターリンの共産主義勢力、民族解放運動の3つであった。アングロサクソンによる流れはダボス会議まで続いている。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、中野さん、齊藤さんと高田の6名でした。

*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
7月23日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』2巻13・14章 生産・流通期間 報告高橋さん

9月10日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第6・7章 報告高田

9月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間・・  報告者未定

10月8日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第8・9章 報告者未定

その後 10/22,11/12,11/26,12/10,12/24(働き方AN)

[一番上に]


2014年7月4日号

ニュース速報が朝ドラに流れた7月1日。集団的自衛権の道を開くこの日が、日本の行く末を変えた日とならぬよう、行使を許さぬ誓いの発言あり。

[第685回ゼミ報告]
6月25日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻第12章「労働期間」を斎藤さんの報告で行いました。労働期間の長短が資本の回転に及ぼす影響を論じる。労働期間とは、ある事業部門で一つの完成物に必要な労働日数である。同じ不変・可変資本と固定・流動資本の割合であっても、労働期間が1週の綿紡績業と3ヶ月の機関車製造の事業部門があり、生産資本から商品資本への転化時期が異なり、資本の還流が異なり、後者は毎週新たな前貸流動資本が必要となる。住宅と工場建築、機関車と船舶製造、穀物と家畜飼育、田舎道と鉄道建設、絨毯とゴブラン等々、労働期間が多様である。恐慌の結果起こる中断・混乱は労働期間の違いによって消費された労働を無駄にする。資本の価値移転・還流・追加支出・資本総量での違いも出てくる。資本主義が未発達の段階では労働期間の長いものは資本主義的には経営されず、国家や共同体が道路や運河を建設するが、資本主義で信用制度の発達と資本の集積がそれを可能とする。協業・分業・機械などが労働期間を短縮するが、固定資本増加と結びついている。労働期間短縮のため家畜飼育改良まで行われる。
討論では、労働「期間」として労働時間とはしないが、後の章の名称は生産時間・通流時間と「時間」を使っている、「労働時間」の用語を既に使っているから。家畜と人間:かつて奴婢2両に対し牛10両だったと。いや一銭五厘の赤紙も。大規模な住宅開発・建売住宅が書かれているが、ここでは高級住宅地であり注文住宅ではない。99年借地だ。大きな資本への信用の役割を述べているが株式についてはどうか。訳語で「層をなして」があまりに多い。回転を語るのにいつも農業を例示として持ってくる。当時は蒸気機関車が最先端産業、煙の思い出を語る。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、松村さん、服部さん、齊藤さんと高田の8名でした。

*6月11日のゼミは「過労死防止法シンポ」参加の為に休ゼミとしました。シンポには森岡先生はじめ弁護士・家族の会の方々・支援者が多く集まり、テレビニュースでも報道されました。労働法規制緩和の流れに初めて押しとどめ流れを変えた法律で、次なるは労働時間規制緩和(残業代ゼロ)への反対運動だとの声が会場に響きわたる。過労死防止法6月20日成立!
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
7月9日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第5章  報告高島さん

7月23日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』2巻13・14章 生産・流通期間 報告高橋さん

9月10日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第6章  報告者未定

9月24日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第15章 回転時間・・  報告者未定

その後 10/8,10/22,11/12,11/26,12/10,12/24(働き方AN)

[一番上に]


2014年6月6日号

長時間労働の連続が過労死を招くことはもはや誰も疑わない。過労死防止法が衆院を通過し成立目前のその時に、残業野放し法案が目論まれている

[第684回ゼミ報告]
5月28日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻第11章「固定資本と流動資本とにかんする諸学説。リカードウ」を高田の報告で行いました。リカードは固定・流動資本の区別を労賃率の価格への影響のために論じた。固定資本=労働諸手段・流動資本=労働投下資本というスミスを受け継ぎ、流動資本と可変資本を混同し、労働材料部分が消える。労賃部分を流動資本とすることで流通過程から剰余価値生産という属性が消え失せる。可変資本部分が貨幣か生活手段かは本質的問題ではない。固定・流動資本の視点から流通過程で価値補填が徐々か一度かを論じ、資本主義的生産の全秘密が消し去られる。耐久性・素材的性質は固定資本を規定するのではなく生産過程で果たす役割により、そこでは生産資本として労働力に対立しない。固定・流動資本の区別が生産・商品資本の区別と混同され、前貸しされた価値が生産物でどのように再現するかということで、資本主義の神秘化・剰余価値の隠蔽・物神崇拝が完成する。
討論では、有機的構成の「有機」を化学用語との関連はどうか。18世紀の工業はまだ補助的役割で商業資本が支配していた。スミスよりも妨害になったとは、投下労働説を貫けなかったから。リカードは実務家であり、その観点がある。スミス・リカードは科学的な経済学で批判に値するか、俗流・・は資本家に有利か不利かの視点にあり、ミルは折衷派。リカードは眼前にある資本を分析し、桁違いの生産力をもつのは信用の役割が大きい。2巻は草稿性が強く注がなく、最後は恐慌論を目指した。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、松村さん、中野さん、服部さん、齊藤さんと高田の9名でした。

*緊急のお知らせ:6月11日は休ゼミします!!次回6月11日予定のゼミは、同日夜に行われる「過労死防止法シンポ」に参加したいという方が多く、急遽ゼミを休むことにし、予定の報告は7月9日に順延することにしました。シンポは「緊急シンポ:過労死防止法の意義と課題」で、6月11日午後6時半から、「エルおおさか南館5階ホール」で行われます。
*ご注意:そのため、この「たより」は6月25日の直前には発行しません
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
6月11日(水) !!休ゼミし、7月9日へ順延します

6月25日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第12章 労働期間    報告斎藤さん

7月9日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第5章  報告高島さん

7月23日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第13章 生産期間    報告者未定

9月10日(水)午後6時半〜9時  働き方ASU-NET事務所(予定)
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第6章  報告者未定

その後 9/24,10/8,10/22,11/12,11/26,12/10,12/24(働き方AN予定)

[一番上に]


2014年5月23日号

三田のキャンパスに戦地から帰らぬ学徒の裸の像をみる。彼の無念を思い、再び彼らを生み出さぬようにと、憲法が揺らぐ今に、現資研を聴く。

[第683回ゼミ報告]
5月14日のゼミは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の第4章「グローバル化と国民国家のゆくえ―21世紀国家論の課題―」を高橋さんの報告で行いました。IT革命・グローバル化はポストフォーディズムを変化進展させ、国家の介入はシュンペーター主義的就労福祉連携国家(SWS)と規定される。ガバメントからガバナンスという国家の役割は不十分でありメタ・ガバナンスとして社会的相互作用の促進者の役割が必要である。政治的経済的秩序の均衡状態が確保され国民的空間を超える研究が必要である。国民国家の権限および経済・政治・イデオロギー機能の脱国民化、意思決定・実行の政治システムの脱国家化、政策レジームの国際化の傾向があり、超国家的システムの拡大と地方政府への権限移譲がある。SWS国家は国際的文脈に埋め込まれるが、国民国家の終焉では直ちになく、メタ・ガバナンスの増大・強い国家志向・政策レジームの国際化がある。一部の国家は「大きな政府」から「強い国家」に変容しつつある。国家間システム・超国家機関・国際レジームが世界的合意を作ることに失敗し、はたして国民国家を超えるグローバルなレベルで利害調整は可能か。グローバル・ガバナンスは国境を超える市民社会の中だけに存在し、その可能性はガンジー・バーバーマス・ギデンズの思想と理論にある。
討論では、IT化などで現代資本主義の構造・多国籍企業の問題が出てこない。ズレとジレンマと言うが財政不均等・軍事費の問題、市民運動、トービン税への言及がなかった。それは現実の土台をあまり論じていないから。ケインズとの対比でSWSをいうがシュンペーターの名を冠する根拠づけは適切か。シュンペーターの技術革新と企業家精神だけを取っている、本当は長期動態論だ。EUの存在による変化に注目。中国など国民国家統合での民族の問題も。
出席は、高島さん、川口さん、高橋さん、中野さん、齊藤さんと高田の6名でした。

*次回5月28日ゼミの報告者は予定者の都合により高田に変更します。
*恒例のゼミハイキングは5月12日に、森岡先生、高橋・川口・高島・斎藤・高田の各氏計6名参加で近鉄藤井寺駅に集まり葛井寺→野中寺→日本武尊陵→西琳寺を歩きました。心配した雨に合わず昼食はインド料理で。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
5月28日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第11章 諸学説・リカード 報告・高田

6月11日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第5章  報告高島さん

6月25日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第12章 労働期間    報告者未定

7月9日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第6章  報告者未定

その後 7/23 (働き方AN) 9/10,9/24,10/8,10/22,11/12,11/26,12/10,12/24

[一番上に]


2014年5月9日号

自由主義経済とは資本の暴走を許してしまう経済、だから「資本家のための(kapitalistisch)経済」という。3倍もの過積載フェリー事故報道で想う。

[第682回ゼミ報告]
4月23日のゼミはマルクス『資本論』第2巻第10章「固定資本と流動資本とにかんする諸学説。重農主義者たちとアダム・スミス」の後半(S203以降)を高島さんの報告で行いました。報告の最初にこの章の前半部分でのスミスの混同と混乱の記述を示し、利潤把握での子供じみた説明、剰余価値は流通から生まれる、資本主義的生産の全秘密の隠蔽等。後半の混乱等の指摘:労働過程での変化と流通での形態変化の混同、生産資本での区別と流通過程での資本の諸形態での区別との混同、流動資本を商品資本と混同し労働力を流動資本に入れない事、社会的富を直接的消費元本と固定資本と流動資本に分類した重大な誤り、重農主義的観念も紛れ込むが展開の奥義で真に科学的な部分とは矛盾、彼の後継者たちが可変資本の認識を不可能にした途方もない誤り。労働元本にも言及。ただ「剰余学説史」ではスミスは深い関連を暴露し、その素朴さが大きな魅力とのマルクスの評価を紹介した。
討論では、スミスの混同・混乱はどこから来たのか、マルクスの目からの混乱の指摘で、1巻の22章注67にも記載がある。スミスはその時の現象形態を見たので、産業資本がそこまで発達せず、資本家とは商人資本と把握していた。スミスは資本をAノート(1762)ではStockと書き最初は在庫としていたが、Bノート(1766?)ではCapital(牛・頭)として資金を資本として捉えた。固定資本・流動資本の概念はスミス当時としては当然の把握で一国のことが頭にある。不変資本・可変資本概念は価値と使用価値・労働の二面性によるマルクスの発明(発見)である。マルクスの言葉・奥義(esoterisch)は2巻5章での現象と本質の記述:経済学はなおさら仮象に固執する、科学的経済学でさえも仮象によってだまされる、に関連している。スミスの良いところは商業独占に反対し自由貿易を唱えたところ。それがインドの綿工業をつぶしたが。
出席は、小野さん、高島さん、高橋さん、服部さん、濱田さん、大村さん、齊藤さんと高田の8名でした。

*恒例のゼミハイキングを5月12日(月)に実施、近鉄南大阪線藤井寺駅改札口に午前10時集合、葛井寺→野中寺→西琳寺(古市)→道明寺を歩く予定、昼食はどこかで。悪天候の場合は当日朝に行き先相談、案募集。参加予定表明:高橋、小野、川口、高島、斎藤、高田、森岡(?) の各氏
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
5月14日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第4章   報告高橋さん

5月28日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第11章 諸学説・リカード 報告小野さん

6月11日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第5章  報告者未定

6月25日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第12章 労働期間    報告者未定

その後 7/9, 7/23 (働き方AN) 9/10,9/24,10/8,10/22,11/12,11/26,12/10

[一番上に]


2014年4月18日号

「カムバック・シェーン!」、ベル研究所シェーン事件がネットで話題に。STAP騒動、シェーン再来なのか、それでも地球が回るガレリオなのか。

[第681回ゼミ報告]
4月9日のゼミは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の第3章「福祉国家論の展開とレギュラシオン理論」を1・2章に引き続き高田の報告で行いました。21世紀初頭にフォーディズム要因の衰退等で金融のグローバル化・国際競争激化で新自由主義が復活し、福祉国家が解体した。ケインズ的福祉国家はコミュニティ不在で福祉社会を作らず、市民は行動する主体ではなく受給者として客体であり、コミュニティ意識を持つ自律的個人の出現を求める。福祉国家を包括的に説明できる理論がなく、市民権の拡大と国家の監視活動の拡大という両義性をもつ。福祉国家はフォーディズム的賃労働関係の4支柱のひとつであり、蓄積体制・調整様式の危機の関連で、賃労働関係への公的介入として制度化された妥協となる。黄金の30年と悲惨の20年への展開は福祉国家・政策の転換を迫っており、ベーシックインカム・市民所得論争は福祉国家の原理的問い直しであり、労働と雇用に基づく福祉国家から、労働と所得を分離することによって、排除という社会問題の解決を構想している。しかしその根本的欠陥として、労働市場からの永続的排除、雇用創出と労働する権利を回避し、労働による社会統合を欠如させる。十全な市民権保障による社会的統合として、脱国家的・脱商品化的な福祉レジームの考察が不可欠となる。
討論では、フォーディズムの崩壊と新自由主義の復活とを関連させるのはどうか、他に方策はないのか。レギュラシオンには、独占の概念がなく、冷戦体制、産軍共同体、海外市場・グローバル経済、国民経済が出てこず、賃労働関係のみ論じている。労働生産性の上昇は本当に止まったのか:上がっていず給料は伸びず、営業外利益・金融的利益を出している。福祉国家の先の視点がレギュラシオンにはない。労働による統合に関して、働かない人はいるが消費しない人はいなし、障碍者では労働しない権利もある。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、松村さん、中野さん、齊藤さんと高田の8名でした。

*恒例のゼミハイキングを5月12日(月)に実施、近鉄南大阪線藤井寺駅改札口に午前10時集合、葛井寺→野中寺→西琳寺(古市)→道明寺を歩く予定、昼食はどこかで適当なところで。平日ですが、参加者募集中。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
4月23日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章(続) 重農・スミス 報告高島さん

5月14日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第4章   報告高橋さん

5月28日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第11章 諸学説・リカード 報告者未定

6月11日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』第5章  報告者未定

その後 6/25, 7/9, 7/23 (働き方AN) 9/10,9/24,10/8,10/22,11/12,11/26

[一番上に]


2014年4月4日号

たった3%アップ前の缶詰に群がる人たちがニュースで流れ、庶民のささやかな抵抗の効果はいかほどか。当方も2円の抵抗、税アップ前に投函。

[第680回ゼミ報告]
3月26日のゼミはマルクス『資本論』第2巻第10章「固定資本と流動資本とに関する諸学説。重農主義者たちとアダム・スミス」の前半(S203まで)を服部さんの報告で行いました。10・11章では先行する諸学説を批判的に検討しスミス=リカードの理論を継承したという。スミスではstockとcapitalの概念の変化がある。CirculationとDistributionはドイツ語との多少のずれを感じる。ケネーにより固定と流動資本の区別が農業でなされ、スミスにより一般的な生産資本が対象とされた。ただしその区別が生産過程では正当に行われながら、流通過程では流通資本が流動資本と混同され、利潤が流通からのみ発生すると説いた。それは産業革命と経済学・科学技術発展の関連年表によってスミスの時代をみると、繊維産業での熱エネルギーが動力(蒸気期間)としてようやく出てくる時代であり、機械による生産が本格化した約90年後のマルクスとの時代的な制約がある。
討論では、資本家と労働者との分離はスミスではまだなく、働く生産者階級での賃金・剰余価値はまだ目にしていない。百年の間では当然生産力と生産関係が違ってくる。スミスは労働価値説をつらぬけなかったということか。ケネーは農業という生産に力点があるが、スミスは商業独占としての重商主義批判をしたのであって、マルクスによる、くどいほどのスミス批判は彼をおとしめるためではなく、固定・流動・流通・商品資本、さらに不変・可変資本の概念規定を明確にするためだった。経済学ではスミスを起点としてマルクスだけでなく新自由主義へも連なっていく。機械打ち壊し運動はスミスよりも後の時代である。イギリスの資本主義の発展とオランダ資本との関係はどうか。年表よるとスミス以後に蒸気機関が発達して移動動力として運河での輸送から1840年以後は鉄道ブームでの輸送の発達・市場の拡大による産業発達が大きい。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、松村さん、服部さん、大村さん、濱田さん、齊藤さんと高田の10名でした。

*次回ゼミでは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の前回で残り同じ報告者が引き続き3章を行います。
*恒例のゼミハイキングを5月12日(月)に行う予定、行き先検討中。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
4月9日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』3章    報告高田

4月23日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章(続) 重農・スミス 報告高島さん

5月14日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』4・5章  報告者未定

5月28日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第11章 諸学説・リカード 報告者未定

その後 6/11, 6/25, 7/9, 7/23 (働き方AN) 9/10,9/24,10/8,10/22,11/12,11/26

[一番上に]


2014年3月21日号

松山での基礎研春集会後、愛媛県の西の端の無茶々園を12年ぶりに再訪。実ったポンカンをいただきながら、明浜での地域福祉づくりを眩しく聴く。

[第679回ゼミ報告]
3月12日のゼミは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の第2章「資本主義・国家・家族−社会的レギュラシオンの展開」を高田の報告で行いました。レギュラシオンには私的領域での女性労働の分析が組み込まれず、労働力再生産の分析が明らかにできず、資本主義・国家・家族のトライアングルからなる社会的レギュラシオンの観点が必要だ。経済危機では女性労働に依存し、家事労働が暗黙の前提であった。19世紀の労働者家族は消費者として統合できず近代家族モデルでない。フォーディズムで労働生産性上昇とインデックス賃金、大量生産と大量消費の蓄積体制ができ、賃労働者を消費者として統合した。しかし1970年代中頃以降生産性上昇が枯渇し分配の危機から、労働市場を流動化し労働力の女性化がすすめられ、専業主婦モデルは支配的でなく家族形態の多様化が進んだ。ポストフォーディズムでは米は労働市場規制緩和で低賃金雇用が増大し、大陸欧州は社会的市場経済で早期退職・女性雇用抑制し、北欧は労働力訓練する積極的政策と公共サービス充実で対応した。どのタイプの資本主義が新しい経済的社会的動態と雇用創出を提供するのか、社会的レギュラシオンでは新しいケインズ主義的世帯が福祉国家を強化するものと構想される。
討論では、「アフターフォーディズム」は何か、ポスト・・との違いは。「機会費用」とは。フォーディズムのいきづまりは成長の鈍化で賃金が上げられない、炭鉱労働組合とサッチャーの衝突があった。物質的フェミニズムはどうして批判されたのか、20年代の赤狩りと労働組合運動の過激化か、その期間が長すぎるのでは。フォーディズム論では転換と移行の理論がない、矛盾の蓄積を見ていない。労働力の女性化では就労促進とキャリア形成を言っているが、その貧困化の問題がない。家事の外部化は誰がするのか、それも女性労働者、ここに搾取の視点が必要だ。事態が奇跡的に安定するというが、その過程はどうなっているのか。労働者階級の貧困化の問題の指摘が必要。
出席は、高島さん、川口さん、高橋さん、齊藤さんと高田の5名でした。

*前回ゼミでは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の2・3章の予定でした。この度も2章のみしか報告・議論できず、続く3章は、次回の4月9日ゼミで引き続き同じ報告者で行います。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
3月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章(前半)重農・スミス 報告服部さん

4月9日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』3章 報告高田

4月23日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章(続) 重農・スミス 報告高島さん

5月14日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』4・5 報告者未定

その後 5/28, 6/11, 6/25, 7/9, 7/23 (働き方ASU-NET)

[一番上に]


2014年3月7日号

燃えさかる炎、振られて火の粉が舞い、欄干から真っ赤な塊が落ち、集まった人々からどよめきが広がった、春待つ夜の二月堂、お松明に感動

[第678回ゼミ報告]
2月26日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻第9章「前貸資本の総回転。回転循環」を小野さんの報告で行いました。生産資本の固定部分と流動部分では回転も期間も異なる。総回転は構成部分の平均回転であり、量的区別ばかりでなく質的区別が生じるが、貨幣資本では生じない。前貸資本より大きな部分が年度内に回転し、その価値回転は現実の回転時間から分離し、この回転循環は使用された固定資本の寿命・再生産期間・回転時間によって規定されている。生産手段の恒常的発展によって産業資本の生命は短縮される。資本がその固定的構成部分に連結した諸回転から10年の周期的恐慌の物質的基礎が生じる。回転においては現実上の相違と外観上の相違があり、生産の連続性には在庫が必要であり、販売期間も考慮される。信用制度が社会的規模で回転を変化させるのは生産から消費まで信用制度が促進させるときである。
討論では、不破氏はマルクスがフランス語版で10年周期を不変とみなすべきでないとの言を取り上げている。燃料は固定か流動か、流動資本だ、では原発の燃料は、回転期間がとても長いし、事故が起これば莫大な費用が発生し、おまけにゴミの処理は数10万年とも。ここでは価値実現の問題はどうなっているのか、価値実現しないと回転できない。流通資本・卸売の問題は入るのか。固定資本と流動資本の区別は生産資本のみの問題である。回転と循環、どう区別するのか、循環を周期的過程として回転をいう、回転循環という言葉が出てくる。価値回転の用語はどうか。恐慌で10年説をいっていても同じ恐慌はない。それでは固定資本から10年周期説を導いたメカニズムはどう解くのか。資本主義の発展は固定資本部分だけが大きくなるのでなく流動資本部分も大きくなっているのでは。在庫が出てくるが、労働あるいは労働力は在庫できず、常に失業という形になる。
出席は、小野さん、高島さん、川口さん、高橋さん、松村さん、濱田さん、服部さん、齊藤さんと高田の9名でした。

*2月のゼミでは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の1・2・3章を終える予定でしたが、1章のみしか報告・議論できず、続く2・3章は次回ゼミで行います。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
3月12日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』2・3章 報告高田

3月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章(前半)重農・スミス 報告服部さん

4月9日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』4・5 報告者未定

4月23日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章(続) 重農・スミス 報告高島さん

その後 5/14, 5/28, 6/11, 6/25, 7/9, 7/23 (働き方ASU-NET)

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2014年2月21日号

マスコミで喧伝され「・・なのに」と大衆に絶賛される作品が偽作と露見。日本社会の一面を見て「働きながらなのに」と自省を込め我が研究を想う。

[第677回ゼミ報告]
2月12日のゼミは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線−グローバル化時代の政治経済学』の1〜3章までの予定で高田が報告を始めましたが、1章のみとして、続く2つの章は次回になりました。この四半世紀を知識集約的金融主導型成長政策と特徴づける資本主義は、国家をめぐる危機を伴い、この本では国家の介入と変容と21世紀の国家像を描きだす。第1章では、経済学における国家の位置づけを統治と見て、市場社会のルールに限定すべきという古典的役割からケインズ以後は様々な政策へと広がっていった。しかしその拡大は便宜的なし崩し的であり、理論化されていない。古典派での貧困への扶助にみる生存の権利と労働義務の見方に対し、1848年革命では労働の権利は労働の自由と生存の権利の条件として承認され、市民社会の統治と国家による統治の相違が英仏の官僚制に現れる。マルクスの国家の形態による市民社会の総括とは、国家から自立した自由な市場経済の見方を批判し、国家の自立化が外観に過ぎないことを明らかにした。グラムシまでに至ると階級支配を超える国家の相対的自律性が言及され、制度化された妥協というレギュラシオン理論の国家認識に通じる。20世紀に入ると企業の支配力と労働者の社会的発言力の増大により国民国家のもとで、第2次大戦後はフォーディズムの黄金時代で諸集団が交渉で決めるようになる。このフォーディズム解体により労働市場や福祉のあり方の見直しで、国民として統合が困難となり、新たなアソシアオンの誕生と環境・ジェンダーが視野に入ってくる。
討論では、フォーディズムとそれ以後との線引きをどこにするのか。フォーディズムでは大量生産と大量消費が成功したと見るが、そこには搾取の概念が抜けている。資本主義概念に農業の観点が出てこない。国家は財産権に不可侵ではなかった。市民社会による国家の組み敷きとは何か。
出席は、小野さん、高橋さん、川口さん、松村さん、大辺さん、中野さん、齊藤さんと高田の8名でした。

*前回ゼミでは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』の1・2・3章を終える予定でしたが、1章のみしか報告・議論できず、続く2・3章は次回3月12日ゼミに持ち越しとなりました。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
2月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
 マルクス『資本論』第2巻第9章 総回転・回転循環 報告小野さん

3月12日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』2・3章 報告高田

3月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章 重農主義・スミス 報告者未定

4月9日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』4・5章  報告者未定

その後 4/23, 5/14, 5/28, 6/11, 6/25, 7/9, 7/23 (働き方ASU-NET)

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2014年2月7日号

「フ」が「ト」になる話。吹けば飛ぶような「歩」の駒をひっくり返して「と」金になるのは将棋の話。「府」が「都」となる話、ひっくり返せるのか。

[第676回ゼミ報告]
1月22日のゼミはマルクス『資本論』第2巻第8章「固定資本と流動資本」第2節「固定資本の、構成諸部分・補填・修理・蓄積」を斎藤さんの報告で行いました。固定資本の諸部分は回転時間を異にし、資本の回転時間も異にする。労働手段は産業の進歩で変革された形態で補填されるが、平均寿命の間は継続使用される。競争戦は自然死以前に取替強制する。磨滅により固定資本は周期的に部分的に更新され、また期間を異にして更新される。個々の資本家の行動で事業拡張は社会的計画なく行われ、生産緒力の大きな浪費が生じる。農業では少しずつの再投資が可能である。固定資本の保全(維持・修理)は恒常的追加労働で流動資本に属する。この掃除労働は休憩中の無償労働で行われ事故の原因になっている。この労働により労働者が機械設備の共同所有者といえる。磨滅・修理労働への支出は偶然的であり平均的支出が生産物の価格に配分される。異常な自然のできごとに恒常的に過剰生産が行われる。固定資本の補填に備えて償却基金が蓄蔵貨幣として機能する。
討論では、報告者から信頼工学で議論される故障率曲線(バスタブ曲線:初期故障のあとは少なく末期に又増える)を示され、修理を予想する仕組みを示された。また鉄道ファンの参加者から、ここでの事例が鉄道であるのは1840年代がイギリスの鉄道ブームであり、その路線図が示された。現在日本ではレールと車輪が新日鉄住金で独占されている。修理等の追加資本は平均原理が貫かれている。原発でも同様だが、機械部品の有効寿命をどう測るのか、加速度試験と経験から想定する。福島第一原発を東電はまだ資産除去していない。修理を固定か流動かの区別はどこか、現在でも会計の課題・税金問題。修理は回転期間を考えると流動資本。技術の発展で修理費は減るのか、今は部品セットごと取替。マルクスは賃貸住宅に住んだが、サッチャー時代には持家政策へ。
出席は、小野さん、高島さん、高橋さん、濱田さん、服部さん、松村さん、齊藤さんと高田の8名でした。

*次回ゼミのテキストは、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線―グローバル化時代の政治経済学』(晃洋書房)で、約2章ずつ5回で読む予定で、次回は1・2・3章ですが、3章まで無理かも。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
2月12日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』1・2・3章 報告高田

2月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
 マルクス『資本論』第2巻第9章 総回転・回転循環 報告小野さん

3月12日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』4・5章  報告者未定

3月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第10章 重農主義・スミス 報告者未定

その後 4/9, 4/23, 5/14, 5/28, 6/11, 6/25, 7/9, 7/23 (働き方ASU-NET)

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2014年1月17日号

阿蘇山が2年半ぶりに噴火とのニュース、小噴火らしい。さて日本近海では近隣国との小噴火はすでに何回か、さて大噴火を防ぐにはどうするか。

[第675回ゼミ報告]
1月8日のゼミは、皆で読んだ姉歯暁『豊かさという幻想』の「経済科学通信」書評用草稿検討会を高田好章の文案をもとに行いました。最初に文案全文を読み上げ、続いて4回のゼミで議論された内容の記録を紹介した。文案の校正を行い、続いて文案に入れられなかった議論の取り扱いをどうするか検討した。文案に盛り込めなかった論点として出たのが、貧困の問題であった。貧困についてもっと突っ込んだ論究がいるのでは、という意見に対して、姉歯氏が「苦界」という古い言葉を使って表現しているように、当然念頭にある。一方での富の蓄積とそれに対する貧困の蓄積が資本主義そのものから発すること、産業社会が貧困を生みだす問題は重要である。次に提起された論点は、アメリカの通貨特権と過消費の問題である。今回のサブプライム問題を解く鍵としては通貨特権が重要な位置を占めている。これが過剰生産恐慌へと導くひとつの論理になっている。以上の論点は文案に問題点のみを指摘するに留めた。ゼミで議論したもので文案に盛り込めなかった論点は以下のものである。土地・住宅問題:アメリカと日本での住宅と土地の価格形成の違い、日米ともに国家が住宅政策を景気対策として重視していること、韓国・タイでは住宅が投資対象であること。アメリカのメガバンクにより住宅ローン専門金融機関が系列化されていること。消費者信用を個別資本段階ではなく総資本で見た場合はどうなるのか。アメリカの女性にも日本同様に昇進できない問題があること。消費者信用図のAタイプには信用供与する金融機関が背景にあること。国独資の概念はどうか。ウォーカー論が紹介のみで補論でよいのでは。追加労働についてそれを労働の分化といえるのでは。文献の取り上げ方、元の論文執筆時期の差異、カギカッコの扱い方。この討論を受け、最終原稿は高田がまとめます。
出席は、小野さん、川口さん、高島さん、高橋さん、濱田さん、復帰の中野さんと高田の7名でした。

*2月12日からのテキストは、前回ゼミに参加の皆さんで話し合った結果、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線―グローバル化時代の政治経済学』(晃洋書房、2013年、2800円)に決まりました。1・2・3章からはじめ約2章ずつ5〜6回で読む予定です。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
1月22日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第8章2節 固定・流動資本 報告斎藤さん

2月12日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』1・2・3章 報告高田

2月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
 マルクス『資本論』第2巻第9章 総回転・回転循環 報告者未定

3月12日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
若森章孝『新自由主義・国家・フレキ・・』4・5章  報告者未定

その後2014/ 3/26, 4/9, 4/23 (働き方ASU-NET)

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2014年1月3日号

あけまして、皆様おめでとうございます。昨日より今日が、昨年より今年がより良いようにといつも願いつつ、一歩一歩と、今年はどこまで進むか。

[第674回ゼミ報告]
12月25日のゼミは、マルクス『資本論』第2巻7章と8章1節を濱田さんの報告で行いました。G−G'はただ可能性として、P−P'は現実的なものとして前貸しされた資本価値が出発点であり、W'−W'は社会的総資本の運動で重要である。資本の循環が周期的な過程として規定されるとき資本の回転と呼ばれ、生産期間と流通期間が回転期間をなしていて、資本家が価値増殖して回収するための前貸しする期間である。労働手段は繰り返しの労働過程で一部分を平均計算によって価値移転がなされるが、その割合は機能時間に反比例し、固定資本の形態を受け取る。それ以外の素材的部分は流動資本を形成し、それは原料・補助材料として労働過程に入るたびに全部消費され全部補填されねばならない。経済学者の動的な固定資本概念規定の混乱を指摘し、労働力に投ぜられた部分は流動資本とされる。
討論では、循環と回転の違いは何か、周期的なもの。景気循環、産業循環という言葉はどうか。後の章では回転循環という用語あり。ここでは時間の問題を重視している。エネルギー・電力は原料に入るのか、それとも補助材料か、固定資本・流動資本かどうか。鉄鋼ではコークスを補助材料というより原料ととらえるが、どうか。「前貸し資本」という翻訳用語はどうか、投下資本とも。「前貸し」とは前もっての投下であり、設備・営業資本とも。スミスはStock としていたが国富論ではCapitalとしている。
出席は、小野さん、高島さん、高橋さん、大辺さん、濱田さん、齋藤さん、服部さんと高田の8名でした。

*1月8日のゼミは、姉歯暁『豊かさという幻想』の『経済科学通信』書評の草稿検討会を行います。草稿は高田が担当し、これまで4回のゼミで議論した内容を整理し、下書案をゼミ参加者に提示し、この下書案に対する参加者の意見・議論を受けて、最終原稿へと進みます。
*2月12日からのテキストはまだ決着せず、次回ゼミでもう一度話し合います。近刊の単著を選びたいとの意見が出ていて、皆様の推薦本を持ち寄りください。有力な候補本として、若森章孝『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線―グローバル化時代の政治経済学』、高田太久吉『現代資本主義とマルクス経済学−経済学は有効性をとりもどせるか』、建部正義『21世紀型世界経済危機と金融政策』が出ています。
*次回の会場も南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
1月8日(水)午後6時半〜9時   南森町・働き方ASU-NET事務所
姉歯暁『豊かさという幻想』書評草稿検討会    草稿報告・高田

1月22日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第2巻第8章2節 固定・流動資本 報告斎藤さん

2月12日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
テキスト未定                報告者未定

2月26日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
 マルクス『資本論』第2巻第9章 総回転・回転循環 報告者未定

その後2014/ 3/12, 3/26, 4/9, 4/23 (働き方ASU-NET)

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