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大阪第3学科たより

1999年

1999年12月3日号
1999年11月19日号

1999年11月5日号
1999年10月22日号
1999年10月8日号
1999年9月17日号
1999年9月3日号
1999年7月9日号
1999年6月18日号
1999年6月4日号
1999年5月21日号
1999年5月7日号
1999年4月23日号
1999年4月9日号
1999年3月19日号
1999年3月5日号
1999年2月19日号
1999年2月4日号
1999年1月21日号
1999年1月8日号


1999年12月3日号

11月24日のゼミはヒルファディング『金融資本論』の「第21章 貿易政策における転換」「第22資本輸出と経済領域をめぐる闘争」を先週の続き行いました。21章ではイギリスの自由貿易にたいして遅れた資本主義の発展を目的としてドイツがリストの体系として保護主義をとる。やがて独占の時代では外国競争の排除ということで保護関税の機能が変わり、それのもたらす特別利潤により外国への販路開拓につかわれ、輸出プレミアムを生み出す。すなわち国内市場の防衛手段から外国市場への攻撃手段となった。22章では、この保護関税がそれぞれの国により世界市場を経済領域へと分裂させる。資本輸出が植民地獲得の新市場開拓として行われ、資本主義国の対立と衝突が起こる。ここに国家がかかわり、帝国主義的政策を助長する。そこには階級対立を超え、民族の共同動作があわれると説く。討論では、帝国主義イデオロギーの叙述をみると、第1次大戦を予感させ、またヒットラーの出現を予言している。資本輸出から植民地獲得競争を述べることによって相当レーニンに近づいているが、国際カルテルによる市場分割までは達していない。ここでヒルファディンングが階級対立を超える民族主義の台頭の危険性を帝国主義戦争にみているのに、その後の社会民主党による戦争協力への転換は皮肉としかいいようがない。

* 1月の2週と4週を都合により入れ替えます。『金融資本論』は1月12日、『マッド・マネー』は1月26日となります。注意してください。

***** ゼミ日程 ******* 
12月8日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
スーザン・ストレンジ『マッド・マネー ―世紀末のカジノ資本主義―』岩波書店 第1章凶器にいたったカジノのイメージ 第2章 技術革新 
1月12日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』 第23章 金融資本と諸階級 第24章 労働協約をめぐる闘争 第25章 プロレタリアートと帝国主義 
1月26日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
スーザン・ストレンジ『マッド・マネー ―世紀末のカジノ資本主義―』岩波書店 第3章政治的支柱−日米枢軸 第3章 政治的支柱−分裂する欧州
今後の予定:2/9、2/23、3/8、3/22

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1999年11月19日号

11月10日のゼミは都留重人『日本の資本主義』の最終回「第7章 法人資本主義の進展 第8章 日本はどこへ行くのか」を行いました。資本主義は本当に勝利したのかと問い、日本では純内部余剰が拡大し企業内分業が計画化体制をつくり、自らが名づけた法人資本主義が発展したと説く。その行方は両体制の収斂として、混合経済へ行き着くとみなす。討論では特に資本主義と社会主義の両体制とは何なのか、さらに生産様式として混合経済を考えるとはどういうことなのか、議論が集中した。内部余剰の拡大というが、その間の労働者の生活状態の低下を見ていないのではないか。労働者の疲弊、生活実感が現れてこない。ただ、外部不経済をみて、公害問題に踏み込んでいることは評価できる。「国造り」政策提案には理想と現実とに適当なバランスがある、と評価する一方、提案そのものは新鮮味があるものではない、と意見がわかれた。混合経済を考える場合、資本主義に対し社会主義とは何であったのか、その意義付けが重要となってき、現実の社会主義の崩壊をへて、両体制収斂の意味が改めて問い直しを必要とされている。

* 『金融資本論』の次回の予定は、今回残った21章、22章をもう一度とりあげます。残りの3章は1月におこない、終了予定です。次の2月からの古典のテキストは『資本論』第2巻です。

* 11月14日に富山大学での経済学教育学会でこの学科の話をしてきました。
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***** ゼミ日程 *******
11月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』 第21章 貿易政策における転換
第22資本輸出と経済領域をめぐる闘争

12月8日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
スーザン・ストレンジ『マッド・マネー ―世紀末のカジノ資本主義―』岩波書店 第1章凶器にいたったカジノのイメージ 第2章 技術革新

1月12日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
スーザン・ストレンジ『マッド・マネー ―世紀末のカジノ資本主義―』岩波書店 第3章政治的支柱−日米枢軸 第3章 政治的支柱−分裂する欧州

今後の予定:1/26、2/9、2/23、3/8、3/22

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1999年11月5日号

どこもかしこもリストラとやら、大企業をおわれた人達はどこにいくのでしょうか。中小企業にすべてに対応する受け皿あるとも思えない。そんなことを思いながら最近の新聞記事を読んでいます。
10月27日のゼミはヒルファディング『金融資本論』第20章恐慌の性格における変化。カルテルと恐慌 第21章 貿易政策における転換 第22章 資本輸出と経済領域をめぐる闘争 を行いました。ただし、議論は21章のみとなりました。ヒルファディングは恐慌の様々な種類をあげるがそれは現象形態でしかない。恐慌を過剰生産ではなく不均衡と見ている。大経営体は恐慌の影響を受けずに生産を続けるというとき、カルテルによりもう大きな恐慌は起きないと考えていたのではないか。取引所の影響を小さくみていいたが、結局1929年恐慌にみるような取引所を引き金とする大恐慌が現実に起こっている。恐慌を商品過剰ではなく資本過剰といっているが、両者の関係を明確にせず資本過剰の詳しい内容に突っ込んでいない。恐慌を見ているときに体制移行の構想はあったのか。恐慌を不均衡とみることにその答えがある。

* 『金融資本論』の次回の予定は、今回残った21章、22章をもう一度とりあげます。残りの3章は1月におこない、終了予定です。次の2月からの古典のテキストは『資本論』第2巻と決まりました。
* 『日本の資本主義』も11月に終了します。新しいテキストを次回に決定します。推薦書を持ちよってください。候補としてスーザン・ストレンジ『マッド・マネー ―世紀末のカジノ資本主義―』岩波書店2,600円があがっています。

***** ゼミ日程 *******
11月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年 第7章 法人資本主義の進展 第8章 日本はどこへ行くのか
11月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』 第21章 貿易政策における転換
第22資本輸出と経済領域をめぐる闘争
12月8日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
テキスト未定
今後の予定:1/12、1/26、2/9、2/23、3/8、3/22

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1999年10月22日号

やっと秋風が吹き、長袖を着るようになりました。日本の金融資本が忙しく財閥の枠を超える再編運動をしています。ますますその行方に目が離せなくなってきました。
10月13日のゼミは、都留重人『日本の資本主義』の「第5章 転換到来」「第6章 二重の「価格革命」」を行ないました。高度成長期を通じて「構造的忍び足インフレーション」により生産性の上昇が価格の低下につながらなかった。1970年代にはいると、環境問題への関心が高まり、GNPの増加が福祉の増加を意味するとはならないことがはっきりした。また、オイルショックと都市の地価急騰が二重の価格革命となった。議論では、この本が戦後日本経済通史として特徴がないという意見に対し、いや名著であるとの反論がでた。特に環境問題については突っ込んだ議論をしている。土地問題を日本経済史にいれたことも特記される。その地価の不可侵性を「玉ねぎの芯」に限定すべきというが、玉ねぎは皮ばかりで芯はあるのか、とのおもしろい示唆が出た。

*『金融資本論』は残りを3章ずつおこない、11月に終了予定です。次の1月からの古典のテキストを提案してください。『資本論』第2巻をやりたい、との意見もありました。次回ゼミで話し合いをします。推薦テキスト持参のこと。

*『日本の資本主義』も11月に終了します。新しいテキストを11月前半ゼミで決定します。推薦書を持ちよってください。候補としてスーザン・ストレンジ『マッド・マネー ―世紀末のカジノ資本主義―』岩波書店2,600円があがっています。
*来年3月までの予定が決まりました。

***** ゼミ日程 *******
10月27日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』
第20章恐慌の性格における変化。カルテルと恐慌
第21章 貿易政策における転換
第22章 資本輸出と経済領域をめぐる闘争


11月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年
第7章 法人資本主義の進展
第8章 日本はどこへ行くのか


11月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』
第23章 金融資本と諸階級
第24章 労働協約をめぐる闘争
第25章 プロレタリアートと帝国主義

今後の予定:12/8、1/12、26、2/9、23、3/8、22

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1999年10月8日号

いつ秋がくるのかと思いつづけてはや10月に。ようやく秋らしい風が吹いてきました。暑いのが苦手なのでようやく一息つけそうです。
9月22日のゼミは、ヒルファディング『金融資本論』の「第18章 景気の経過における信用関係」「第19章沈滞期における貨幣資本と生産資本」を行いました。繁栄期のはじめは利子率が低く、そのあと上昇してきてくる。やがて生産諸部門の不均衡により販路が行き詰るが銀行信用に対する需要の増加によって事態が隠される。商品の投げ売りから流通信用が急減し、銀行信用の返済があやしくなり、銀行の取り付けへとすすむ。もっとも貨幣恐慌は恐慌にとっては必然ではない。沈滞期には現実の生産は拡張されないが、休息資本として遊離した貨幣資本が生じる。すなわち、貨幣資本が生産資本に規定されている。討論では、恐慌の原因は販路の狭隘化としている。どの程度政策が恐慌を阻止できるか。90年代不況は銀行信用の収縮により長引いたといえる。資金需要はあるが、銀行が貸せるところがなくなっている。話題の商工ローンやサラ金をみると資金需要はあるのだ。

* 『金融資本論』は残りを3章ずつおこない、11月に終了予定です。次の1月からの古典のテキストを提案してください。以前『資本論』第2巻をやりたい、との意見もありました。10月後半ゼミで話し合いをします。
*『日本の資本主義』も11月に終了します。新しいテキストを次回と11月前半ゼミで話し合いします。推薦書を持ちよってください。

***** ゼミ日程 *******
10月13日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年
第5章 転換到来 第6章 二重の「価格革命」

10月27日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』
第20章恐慌の性格における変化。カルテルと恐慌
第21章 貿易政策における転換
第22章 資本輸出と経済領域をめぐる闘争

11月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年
第7章 法人資本主義の進展
第8章 日本はどこへ行くのか

今後の予定:11/24、12/8

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1999年9月17日号

そろそろ台風到来の時期ですが、まだまだ暑い日が続いています。また基礎研事務所も創立以来の場所から初めての引越しをします。
9月8日のゼミは、都留重人『日本の資本主義』の「第3章 高度成長率の時期」と「第4章 高度成長期における政府の役割」をおこないました。この2つの章では、日本の戦後高度成長がどうして可能だったのか、急激な成長を支えた有効需要はどこからおこったのか、という問いかけに答えている。そしてここから「私の解釈による分析が始まる」。10%を超える成長はまったく異常なものであり、統計的には労働供給と科学技術の輸入、高い貯蓄率に求め、朝鮮戦争の特需で息を吹き返した旧財閥グループがワンセット主義へすすみ、円安の単一為替レートによる輸出拡大、それらを支えた政府が大きな役割を担った。特に政府の役割については4章で詳しく述べ、著者も関わった全体計画ではなく行政指導、工場立地、税軽減措置、低金利政策での大衆からの資金集め、緩慢な貿易・資本自由化への取り組みから水・電力補助金まで述べている。討論では、都留氏の特徴は何か、制度派に近く、実質面と価値面の区別と統合をみる。これらの高度成長の原因を全て日本的特質と言えるのか疑問。高度成長は設備投資先行型であり、それを輸出が支えた。なぜ輸出の例に割合の低いミシンをあげたのか。日本の高度成長がアジアでは手本になっている。戦後復興の当事者だが、はて彼をマルクス主義者と呼ぶべきかどうか。フFシ、|

***** ゼミ日程 *******
9月22日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第18章景気の経過における信用関係
第19章沈滞期における貨幣資本と生産資本

10月13日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年
第5章 転換到来 第6章 二重の「価格革命」

10月27日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第20章恐慌の性格における変化。カルテルと恐慌 第21章 貿易政策における転換

今後の予定:11/10、11/24、12/8

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1999年9月3日号

夏休みはいかがでした。
7月14日のゼミは、都留重人『日本の資本主義 創造的敗北とその後』の「第1章 敗戦と占領軍当局による諸改革」「第2章復興への道」を行いました。私は用事で遅くなり、やっと最後の30分のみに参加することができましたので、十分に討論を報告できないことをご容赦ください。著者によれば、第1・2章は教科書的に解明し、第3章から著者自身の解釈による分析が始まるという。さて、日本の戦争被害は物的資産の4分の1が消失し、ほぼ250万人がなくなったという。ただ国外からの帰還者が約600万人あり、人的資源では経済再建の観点からプラスという。最初占領軍は日本の損害修復に関与せずとしたが、その後日本の経済再建という任務に巻き込まれて行ったという。占領軍の改革で最も重要なのは農地改革と憲法改訂であり、財閥解体は縮小された。その重要なものは米国の対日政策の転換である。日本の戦争能力の除去から、共産主義に対する防波堤への方針転換。そして単一為替レート設定と単独講和にいたる。朝鮮戦争の特需が経済復興に弾みをつけた。その中で著者が敗戦直前の委員会、片山内閣の経済安定本部、為替レート問題、シャウプ使節団のいずれにも関わり、日本の経済復興の過程をその内部から知りうる立場にあったことがわかる。その中で特にシャウプ使節団の改革構想を高く評価している。また、為替レート問題では、日米間で様々な交渉があったにかかわらず、ドッジがそれらを考慮することなく自身で決断したことが明らかにされている。

***** ゼミ日程 *******
9月8日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年
第3章 高度成長率の時期 第4章 高度成長期における政府の役割

9月22日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第18章景気の経過における信用関係
第19章沈滞期における貨幣資本と生産資本

10月13日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年
第5章 転換到来 第6章 二重の「価格革命」

今後の予定:10/27、11/10、11/24、12/8

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1999年7月9日号

6月23日のゼミは、ヒルファディング『金融資本論』「第16章恐慌の一般的諸条件」「第17章恐慌の諸原因」をしました。恐慌の可能性は、まず商品と貨幣への商品の二重化に、さらに資本主義的生産の無政府性にある。恐慌が一般的に流通の撹乱であるなら、2部門間での蓄積の均衡条件が成立することは偶然であることから、資本主義的再生産は撹乱なしには進行し得ない。そして繁栄に導く同じ事情が価値増殖の条件を悪化させる。討論では、マルクスとヒルファディングの違いは、固定資本の補填において蓄蔵貨幣の問題を取り上げたことにある。ヒルファディングは過小消費説を取らず、有機的構成の高度化、利潤率の低下、販路の欠乏という道筋に恐慌をみている。問題は、それまでの1〜3編とこの章との関係はどうなのか。あるのかないのか。恐慌防止策として金融資本体制をのべているのか。ヒルファディングが叙述した時、ドイツは好況にあり、あのタイタニック号が沈没したときでもあったことに、ヒントがあるのかも。今の情報化が生産と消費を制御しているとすれば、ヒリファディングの時代は何が技術革新だったのか。「組織」ではないと、とも。そこにヒルファディングは注目し、それが金融資本体制であると説き、それと恐慌は政策としてどうなのか、と問題提起した。

☆次回からのテキストは、都留重人『日本の資本主義 創造的敗北とその後』岩波書店1995年4100円です。

***** ゼミ日程 *******
7月14日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年 第1章 敗戦と占領軍
当局による諸改革 第2章復興への道

9月8日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995年 第3章 高度成長率の時期
第4章 高度成長期における政府の役割
9月22日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第18章景気の経過における信用関係
第19章沈滞期における貨幣資本と生産資本

今後の予定:10/13、10/27、11/10、11/24、12/8

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1999年6月18日号

6月9日のゼミは、基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』の「V新世紀市民社会への世界的課題 第6・7・8・9章」を行いました。
まず、「第6章英国における政府の「説明責任」と特殊法人」では、日本の行政改革で注目されているイギリスの特殊法人の問題を取り上げ、保守党政権による市場原理導入と地方自治の権限縮小として特殊法人がつくられたが、結局市民の多様な要求に対応できず市場原理でも効率化向上とはいかなかった。「第7章ロシア・「民主主義」的な社会への挑戦」では、ソ連崩壊後の政治動向から現行の政治システムを大統領独裁体制とよび、まだまだ民主主義は遠いという。「第8章「開発独裁」の終焉と市民社会形成への条件」では、東南アジア諸国の独裁体制の崩壊がその開発独裁下での中間層形成によることを説いている。「第9章民族を超える「市民」の可能性」では、民族主義を超えるためには開かれた民族主義が必要であり、ここに真に成熟した市民社会を展望する。
討論では、特に最後の章が取り上げられ、民族と民族主義の違い、人種の問題、地理的条件、民族の個別性はどうなるのかと、民族主義の抵抗だけでなく、侵略面はどうなのか。全体に対しては、市民社会に対してまとめが必要で、その体系は未完成のままだ。市民社会形成の度合いが個人の発達水準によるならば、組織の問題はどうなるのか。「乗り越えるべき市民社会」から「目標とすべき市民社会」への転換、その市民社会とは何なのか。

☆7月からのテキストは、都留重人『日本の資本主義 創造的敗北とその後』岩波書店1995年4100円に決まりました。

***** ゼミ日程 *******

6月23日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第16章恐慌の一般的諸条件
第17章恐慌の諸原因

7月14日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995
第1章
敗戦と占領軍当局による諸改革 第2章復興への道


9月8日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
都留重人『日本の資本主義』岩波書店1995

第3章
高度成長率の時期
第4章
高度成長期における政府の役割

今後の予定:10/13、10/27、11/10、11/24、12/8

[一番上に]


1999年6月4日号

5月26日のゼミは、ヒルファディング『金融資本論』の「第14章資本主義的独占と銀行。資本の金融資本への転化」と「第15章資本主義的独占の価格決定。金融資本の歴史的傾向」を行いました。
この2つの章でヒルファディングは彼の有名は規定を行いました。一つは金融資本の概念規定であり、もう一つは「組織された資本主義論」へ結びつく一般カルテル成立規定である。彼によれば、金融資本とは「産業に転化されている銀行資本したがって貨幣形態の資本」である。そこで株式会社の発展により所有の集中と支配が産業の独占化で頂点に達する。最後には一般カルテルにより、資本は社会的生産を組織し支配する純粋は所有の姿として金融資本が現れると。討論では、カルテル価格=生産価格+平均利潤というが、生産価格は費用価格+平均利潤ではないのか。いろいろ平均利潤を述べるが、最後は特別利潤を総カルテルの恣意的価格決定から導いている。技術の発展を見ていないこと、独占体間の競争を見ていないこと、金融資本と貨幣、産業と商品流通を上部構造と下部構造の関係から見ていないことに、彼の金融資本概念の限界とカルテル波及論から一般カルテルを容易に導いてしまう原因がある。ただ、その時代ドイツではカルテル運動が活発であったこと、そのときの政治的目標が対総資本であったことからか。

***** ゼミ日程 *******

6月9日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論
ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
V新世紀市民社会への世界的課題 第6・7・8・9章

6月23日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第16章恐慌の一般的諸条件
第17章恐慌の諸原因

7月14日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
テキスト未定、(次回ゼミにて決定します)

今後の予定:9/8、9/22、10/13、10/27、11/10、
11/24、12/8

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1999年5月21日号

5月12日のゼミは、基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』の「U企業活動の市民的監視 第3章企業活動の市民的監視、第4章政治資金に対する市民的監視、第5章従業員=市民による企業自治とその条件」を行いました。
第2部では政治資金の提供者であり、その他の社会問題の元凶となっている企業活動に対する市民的な監視の課題を論じている。第3章ではその全般的な問題を株主オンブズマンの経験から論じ、第4章では会計監査制度の側面から政治資金のメカニズムを原資形成の過程と調達・運用構造の両面から論じ、第5章では企業統制の問題に対して、ダールの経済民主主義論を題材として企業自治を論じている。議論では、特に第5章に関してなぜダールを取り上げたのか、その評価も明確でない、現代日本ではどうなのか、労働組合の運動体がなくても企業に対抗できるのか、と疑問が出された。また、この本全体の問題として市民運動家自身が企業内ではどうなのか、けっこうモーレツ社員であるなどということがあるのでは。労働者がいつでてくるのであろうか。階級構成論がこの本の中で論じられる必要があったのでは。そこで市民とはという問題が論じられる。市民社会論として平田清明氏の論を検討する必要がある。ルールなき資本主義からルールある資本主義へ、スウェーデン並みを目指す、とういうことなのか。各論ではなく、市民社会論そのものに議論が続いた。

7月からの新しいテキストを探しておいてください。このゼミのホームページができました。
http://member.nifty.ne.jp/ytakada/kisoken/

***** ゼミ日程 *******

5月26日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』
14章資本主義的独占と銀行。資本の金融資本への転化  第15章資本主義的独占の価格決定。金融資本の歴史的傾向

6月9日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論
ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
V新世紀市民社会への世界的課題 第6・7・8・9章

6月23日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第16章恐慌の一般的諸条件

後:7/14

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1999年5月7日号

4月28日のゼミは、ヒルファディング『金融資本論』の「第13 資本主義的独占と商業」を行いました。
この章では金融資本が商業を駆逐し、その代理店にしていく過程を描いている。歴史的には商業が産業(工業)を従属させてきた。しかし資本主義の発展とともに産業が自立化するにつれて商業が孤立化していった。そもそも利潤の源泉を産業とするならば、その取り分を巡って商業と産業の利害対立がある。産業資本の集積度が増すにつれて商業資本は減少していく。産業の独占的結合は商業の独立性を止揚し、代理店とする。このような基本的流れを説くヒルファディングは他方で商人による産業の支配をみる。特に小産業資本では商業資本が支配的であると。また商業資本の減少は資本の遊離を生み、資本輸出のひとつの理由であると説いている。また商業の止揚は投機の除去までいくと。ここに金融資本がすべてをコントロールする論拠のひとつがある。議論では、商業資本の額をその商品の価値だけと規定しているが、土地・建物もいるのでは。価格決定力は商業と産業の関係だけでは論じられないのでは。どのように価値法則の貫徹をみるのか。また、現在をみるならば、自動車の販売会社のような、ヒルファディングが言う産業に商業が支配されているものに対し、大手スーパーの動き、大手電気チェーンストアなどの例外事項が多々ある。あと、総合商社・消費者ローンまで議論が進みました。

[短信]経済科学通信の次号(90号)にこのゼミの紹介文を書きました。

***** ゼミ日程 *******

5月12日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論
ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
U企業活動の市民的監視 第3・4・5章

5月26日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』
14章資本主義的独占と銀行。資本の金融資本への転化
 第15章資本主義的独占の価格決定。金融資本の歴史的傾向

6月9日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論
ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
V新世紀市民社会への世界的課題 第6・7・8・9章

後:6/23、7/14

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1999年4月23日号

4月14日のゼミは、基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』大月書店の「T.新世紀市民社会への日本の課題 第1章「資本主義の自由主義的再編」の時代の市民社会 第2章ポスト福祉国家政治と市民的自立 コラム大蔵省・日銀接待の経済学的意味」を行いました。
第1章では、「資本主義の自由主義的再編」の中に、近未来の市民社会を考え行くことを中心に、「経済的自由主義」と「社会的自由主義」の連関から、「市民社会による国家の再吸収」へと進み出る。さらに第2章では「市民社会」論を中心に、「資本主義社会」とは区別された「市民社会」と市民運動を考え、それが新しい社会運動としての動きを探る。コラムでは、日本特有の業界政治・業界行政の中に、「既得権」と「情報独占」を問題視し、金融業制の公共性を述べている。議論では、ここで前提とされている「市民社会」が取り上げられた。「市民社会」の定義そのものがなされずに、「市民社会」を構築すべきと説かれても、もうひとつすっきりしない。市民と労働者とはどのようにちがうのか、労働者の自立した側面にスポットをあてるのか。また市民と個人の関係、個人の社会的存在条件は経済的問題にあり、ここに階級論がないことに、市民像あるいは労働者像がでてこない原因がある。とまれ、赤と緑の連合というとき、やはり市民と労働者は別の存在と考えている。最初に「市民社会」概念を整理した後、「構想すべき市民社会」というとき、その市民社会とは何なのか、構想するに値する社会なのかが、見えてくる。用語として「社会的自由主義」とは何なのか、土台と上部構造の図にある「経済予測」ははたして土台なのか、との疑問が寄せられた。

***** ゼミ日程 *******

4月28日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第13章 資本主義的独占と商業

5月12日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
U企業活動の市民的監視 第3・4・5章

5月26日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第14章資本主義的独占と銀行資本の金融資本への転化

後:6/9、6/23、7/14

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1999年4月9日号

3月24日のゼミはヒルファディング『金融資本論』の「第12章 カルテルとトラスト」を行いました。
学校の教科書に載っている、有名な「カルテル・トラスト・コンツェルン」、それだけでも覚えている人が多いけれど、ここでヒルファディングが問題にしているのは、カルテルとトラスト。たったの数ページの章だけれど、カルテルについて、その結合の変遷を述べている。まず単純な価格協定、それを強固にしようと供給調整と生産割り当て、ここで全体の利益と個々の利益が反するようになり、カルテルを守るために中央販売部が置かれる。個々の生産企業独自の市場へつながりが切られてしまい、商業的独立性が止揚される。ここにシンジケートが生まれる。生産の同質性が求められ、原料供給までカルテル化される。技術的独立が干渉され、設備の休止まで行われる。Fusionと呼ばれる企業合同がカルテルと本質的に同じ物という。結局、カルテルとトラストは対立物ではなく、トラストがカルテルに比べて統一的生産価格から費用の平均化と生産の制限がよりやりやすいというもの。議論では、今日本でカルテルという言葉は、「やみカルテル」にでている。カルテルは現代は強まっているのか。ヒルファディングのいた時代はカルテル全盛期なのか。今日本では、水道管の自治体向けやみカルテル、その他の談合が問題視。業界団体と呼ばれるものはどうなのか。また、化学製品にみるような販売の代理店制度にも議論が移った。同じものが別の代理店からは買えない。大企業が販売市場まで制御。市場というものは日本では正常に機能していないのではないか。企業合同は現代では盛んに行われ、M&Aという形で。国際カルテルはOPEC。今日本では、国際的な提携が盛ん。車は世界に5つの会社になるとか。

次回は『新世紀市民社会論』の始まりです。

***** ゼミ日程 *******

4月14日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
T.新世紀市民社会への日本の課題 第1章 第2章 コラム

4月28日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第13章 資本主義的独占と商業

5月12日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
U企業活動の市民的監視 第3・4・5章

後:5/26、6/9、6/23、7/14

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1999年3月19日号

3月10日のゼミは大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』「\日本版ビッグバン」「]日本経済の展望と国民のためのビッグバン」を行ないました。
ビッグバンはアメリカの圧力により、銀行と証券の垣根をはずし、取引所集中主義の撤廃、資産運用の自由化、として行われる。規制が悪だといっても、それが官僚ののさばる根拠だけでなく、グラススティーガル法にみるように、規制の必要なものがある。「銀行ほど信頼おけない。銀行に勝手にやらせて損害をこうむった。それをまた自由にやらせていいのか」と著者は説く。現在の日本のいきづまりは米国向けのいきづまりであり、対米依存を現している。そこで著者は日本と東アジアの共同市場を説く。デリバディブズはあぶなく、手を染めてはならないことは、刑法賭博罪改正まで持ち出すように、バクチ性があるからだ。ビックバンで構想しているような本当の機関投資家は日本にはいない。監督体制を強化しなくてはならないが、日本ではまともな検査はできていない。ビックバン理解には金融の理解が必要であるが、専門家と称する人までよく知らなすぎる。討論では、現在進行中の金融危機に対して、金融業界自身から積極的な案が出てきていない。銀行への資金投入は結局、銀行の系列化と官僚統制を強めるだけだ。形を変えた護送船団といる。黒船来航(ビックバン)が、アメリカ従属への道となる。アメリカ自身にはグローバルスタンダードがない。規制するところを規制しないで、規制しなくていいところを規制している。日本の法体系と通達行政の見直しが必要だ。著者はいつかはドルが崩壊するに違いないと強調し、その時日本が巻き込まれないための方策への転換を希求している。このままでは運命共同体となる。明治の関税自主権から現在の通貨自主権へ。結局、金融を知れば知るほど、実体経済への眼が重視される、ということだった。
これで大槻著書を終わり、次回からは『新世紀市民社会論』です。

***** ゼミ日程 *******

3月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第12章 カルテルとトラスト

4月14日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
T.新世紀市民社会への日本の課題 第1章 第2章 コラム

4月28日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第13章 資本主義的独占と商業

後:5/12、5/26、6/9、6/23、7/14

 

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1999年3月5日号

2月24日のゼミは、ヒルファディング『金融資本論』の「第11章利潤率均等化の障害とその克服」を行いました。
資本主義生産の目的は利潤であるが、特別利潤の獲得競争がはげしく行われる。しかし、客観的結果としての平均利潤率が形成され、他方では巨大資本の出現により、不変資本部分の増大と資本移動の困難が生じてくる。すなわち、利潤の均衡が固定資本の増大により移転困難から行えなくなるのである。資本主義の発展に伴って利潤率が下がっていく。こうして、平均利潤の均衡化が難しくなると共に、利潤率も下がっていくのである。利潤率低下への歯止めは自由競争の止揚によると、ヒルファディングは説くのである。そして、企業連合による利潤率の安定をはかり、商業をなくし、技術進歩により特別利潤をもたらそうとする。競争戦での有利さから、様々な連合の形態が発生する。利益共同体、企業合同、カルテル、トラスト等々。銀行にとっては、貸付資本の安全と、新株発行などの利潤分割の機会がより増してくる。ところで、ヒルファディングは、資本の動員は生産過程にふれず、資本の現実の運動にふれない、といっているが、資本の動員と利潤率との関係はどのようになっているのか、もうひとつはっきりとしない。標題の「利潤率均等化の障害」、「その克服」とは何なのか。有機的構成の高度化、資本移動ができなくなる、それを障害といっているのか。資本の動員は利潤率均衡させるのか。特に、競争の止揚は「組織された資本主義」論への道か。議論では、現在の国際的な結合が盛んに日本を舞台として行われているが、結局は「日本買い取り」ということになっている。また、銀行は死に体となり、政府による直接投資が行われる事態まできている。資本の欲望、環境問題、持ち株会社について等々。

***** ゼミ日程 *******

3月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』新日本出版社 \日本版ビッグバン ]日本経済の展望と国民のためのビッグバン

3月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第12章 カルテルとトラスト

4月14日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』大月書店
第1章「資本主義の自由主義的再編」の時代の市民社会

後:4/28、5/12、5/26、6/9、6/23、7/14

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1999年2月19日号

2月10日のゼミは大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』の「Z証券市場の変革、[デリバティブズとグローバライゼーション」をおこないました。
戦後アメリカでは、年金基金や生命保険などの資金を使って投資を行う機関投資家が株式の流通市場に大きな変革をもたらし、取引所の枠に収まりきれず、取引所外での直接売買・店頭売買となり、債券市場と同様の動きをするようになった。その結果金融資産が大幅に増え、その巨大化は売買のルールまで変え、コンピュータの発達とともに取引所から「場所(立会場)」まで消え去ってしまった。デリバティブ(ズ)は派生商品ということだが、スワップ、オプションと様々な用語でいわれるものはいずれも先物市場のこと。しかし、その実体はわからないことだらけである。デリバディブのグローバライゼーションとは、株式流通市場と債券市場、それらの先物市場、さらに為替相場がからみあった関係にあり、各々の金利と為替相場が関連し、金利差でおおきな資金が世界的に移動していく。株は全員が儲けることがあるし全員が損失することもあるが、デリバティブは誰かが得をすれば誰かが損をするというゼロ・サムゲームである。問題はそれらの投資実態が企業のB/Sにでてこないことにあり、ある日突然破綻が露呈する。結局、正常な為替環境でないと正常な投資はできない、ということである。ただ、著者は為替相場の不安定な現在の状況を金本位制からの離脱に原因があると見ているが、はたしてもう一度金本位制にもどることはできるのか、との疑問の出された。
なお、『金融恐慌・・』の後の4月からのテキストは、新刊の基礎研編『新世紀市民社会論 ポスト福祉国家政治への課題』大月書店に決まりました。

***** ゼミ日程 *******

2月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』 第11章利潤率均等化の障害とその克服 銀行資本と銀行利得

3月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』新日本出版社 \日本版ビッグバン ]日本経済の展望と国民のためのビッグバン 報告

3月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第12章 カルテルとトラスト

予定:4/14、4/28、5/12、5/26、6/9、6/23、7/14

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1999年2月4日号

1月27日のゼミはヒルファディング『金融資本論』の第10章「銀行資本と銀行利得」を行いました。

まず、銀行資本とは何か、という問いから始まり、社会的資本の中での位置づけが、商品取扱資本と貨幣資本の独自化として、その操作の独自化がもたらしたとされる。それは資本家として平均利潤実現の一部である。しかしながら、銀行資本は貨幣資本ではなく、貸付資本としての性格を持つ。さらにヒルファディングはすべての社会資本は銀行資本であるともいえるという。それは貨幣としての資本がすべて銀行を通じて貸し付けられるからである。そのことは擬制的なものである。さらに、銀行利得の源泉は何かと問い、それは信用媒介と発行・投機によるが、その債権者からの資本と自己資本からも利得を得ている。平均利潤に等しくなるように自己資本を適合するために、自己資本を増大させて産業資本への支配へと向かう。銀行資本の産業資本への転化は二様の仕方で行われる。銀行の信用供与と株所有である。ここに擬制資本の二重化がある。討論では、銀行の自己資本とは何なのか、計算上の存在なのか、もともと他人資本で営業しているのではないか。注目すべきは、信用媒介だけでなく、発行と投機に新しい点を見たことである。現在の状況をヒルファディングが描写するように「銀行倒産は産業的過剰生産または過剰投機の結果」と書き記している。後、ムーディーズによる日本の金融会社の格下げとGEキャピタルにみられるアメリカ資本の積極的な日本への進出、日本の資本の買いを述べ合った。
***** ゼミ日程 *******

2月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』新日本出版社 Z証券市場の変革、 [デリバティブズとグローバライゼーション

2月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』 第11章利潤率均等化の障害とその克服 銀行資本と銀行利得

3月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』新日本出版社 \日本版ビッグバン ]日本経済の展望と国民のためのビッグバン

後 3/24

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1999年1月21日号

1月13日のゼミは大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』の「X銀行業務と証券業務、Yアメリカの銀行業の変化」をおこないました。
日本の護送船団行政、イギリスの銀行証券分離主義、ドイツのユニバーサルバンク。アメリカでは1929年恐慌に対する金融改革の結果、33年の銀行法で信託と預金が分離された。その後60数年間にアメリカの銀行業は変化をし、銀行による証券業務への再接近が信託業務の進展とともに図られてきた。その理由は一般的な社会環境の変化、経済のサービス化による銀行貸付業務の減少による。このような証券をめぐる縄張り争いが、大きな合併の流れとなってできた。特に98年4月のトラベラーズとシティコープの合併。銀行業務と証券業務を一体にした総合口座を顧客に提供するところまできていて、大銀行の「投資銀行化」がこれからもますます強まってくる。これに対して、現在の日本のビックバンはこのようなアメリカ銀行業の変化にあおられたものといる。議論では、債権の証券化の進展が重要な変化だ。また、証券市場をこれまでに大きくしていった梃子は、日本では国債発行、アメリカではTB(財務省証券)発行にある。そこで本来の銀行業の後退が銀行の金融他部門への進出を促している。また、経済のサービス化という用語について、ピザの配達サービスと金融サービスでは大きく意味が違ってくるのではないか。一般に市場というものと投機とは不可分のものであるのではないか、との意見も。
***** ゼミ日程 *******

1月27日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第10章 銀行資本と銀行利得

2月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』新日本出版社 Z証券市場の変革、 [デリバティブズとグローバライゼーション

2月24日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第11章利潤率均等化の障害とその克服 銀行資本と銀行利得

後 3/10、3/24

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1999年1月8日号

あけましておめでとうございます。皆様いいお正月をすごされましたか。私は少しのぜいたくと親孝行にと、親子3人に母親を招待して、奈良公園で「茶粥懐石」なるものをいただいて、古き雅の世界に触れてきました。

12月9日のゼミは大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』の「V金融の歴史」、「Wバブル」をしました。
銀行業そのものは両替、決済、預金業務を起源とはしていても、近代的な銀行業は紙幣の発券業務により、イングランド銀行の銀行券をその先駈けとした。その主眼は信用創造にあった。そのころは金本位制のもとにあったのに対し、金本位制でなくなった現在は信用創造に対し金のような歯止めがなくなったのであろうか。著者は否と答え、それは市中銀行と中央銀行の関係にあるという。すなわち中央銀行への預け金残高が信用創造の限界を作り出しいるという。日本におけるバブルを語るときには、日本銀行と金融市場との関係を考えねばならないという。日本銀行にある各市中銀行と当座預金がその中心的役割をする。コール・ローンや日銀による買いオペがそこで行われる。資金量は日本銀行と金融市場の思惑が一致してはじめて増加する。市中銀行の資金需要が貨幣供給量を増やしていた。それに対して実体経済の資金需要は落ち込んでいたのである。そこで資金は資本循環の外に投入・吸収されていったのである。業者は本業以外に投資をしていったのである。議論では、銀行の資産はどのような構成になっているのか、銀行のB/Sはどうなっているかを学び、信用創造における預金と貸し出しの関係を話し合った。

***** ゼミ日程 *******

1月13日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』新日本出版社
X銀行業務と証券業務、Yアメリカの銀行業の変化

1月27日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
ヒルファディング『金融資本論』第10章 銀行資本と銀行利得

2月10日(水)午後6時半〜9時 谷九・大阪府中小企業文化会館
大槻久志『「金融恐慌」とビックバン』新日本出版社 Z,[

後 2/24、3/10、3/24

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