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大阪第三学科たより
2008年


2008年12月12日号
2008年12月5日号
2008年11月21日号
2008年11月7日号
2008年10月17日号
2008年10月3日号
2008年9月19日号
2008年9月5日号
2008年7月18日号
2008年6月20日号
2008年5月23日号
2008年4月18日号
2008年3月21日号
2008年3月7日号
2008年2月22日号
2008年2月8日号
2008年1月18日号
2008年1月4日号



2008年12月12日号

金融恐慌が実体済面に波及。人員削減に、新卒内定取消し、期間工・派遣労働者の解雇が相次ぐ。首相が雇用安定要請した経団連会長の会社でも。

[第563回ゼミ報告]
12月10日のゼミは、D.ハーヴェイ『新自由主義』第5章「「中国的特色のある」新自由主義」、第6章「審判をうける新自由主義」を行ないました。5章では1978年のケ小平による経済改革計画発表により権威主義的中央集権的で新自由主義的要素が組み込まれた市場経済が構築された。自国の市場を外国貿易と外国からの投資に開放した。これが先進資本主義世界の新自由主義的転換と同期とは意図せざる結果であった。20年以上平均10%の経済成長には環境悪化と社会的不平等をもたらした。WTO加盟が新自由主義的ルールになり、農村から都市への大移動をもたらし、経済解放区、沿海開放都市で輸出主導型の工業化が行なわれた。中国は東アジアでの地域覇権国となった。搾取しやすい大量の労働力の存在は新自由主義経済そのものである。6章ではこの5年間に深刻な金融危機がおこるとのボルカーの言葉からはじめ、新自由主義化は経済成長率を減少させる一方、富を再配分させた。私有化と商品化、金融化を進め、労働市場を底辺へ向かう競争にし、環境を悪化させた。討論では5章について、中国を新自由主義とはいえない。中国での資本主義的な動きはレーニンのネップと同じであり、一定の資本主義化と外国からの投資を促していた。また、中国のWTO加盟は革命ソ連のジェノバ会議と同様である。現在の中国の経済指導者はアメリカで学び新自由主義的政策を良く知っている。中国の帝国主義的傾向はグローバル経済の中で生き残るためであり、開発独裁の問題である。

*来年1月31日(土)に新出版プロジェクト第1回一日合宿を関大森岡研究室でおこないます。執筆者は報告レジュメを1月12日までにMLで送ってください。日本経済の最近20年間を念頭に立案願います。
*12月後半のゼミは、会場の都合により第四水曜日から第三水曜日の12月17日に変更しています。お間違いのないように。
*来年2月の前半のゼミは、会場の都合により第二水曜日から第一水曜日の2月4日に変更しています。お間違いのないように。
*12月10日のバーヴェイでは、6章の討論を持ち越しました。次回は6章の討論部分と7章を行い、付録は次々回に行ないます。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
12月17日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第3章 貨幣または商品流通 
1月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』(6章)第7章     
1月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第3章 続き        
2月4日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』付録          
その後は 2/25(天六)、3/11(場所未定)、3/25(場所未定)

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2008年12月5日号

合同面接会なるものに参加。開場と同時に多くの人が1社に殺到し長蛇の列、番号札で別室で面接。聞くと労働条件が良いという。我が社は手ごたえ無し。

[第562回ゼミ報告]
11月26日のゼミはマルクス『資本論』1巻第2章「交換過程」を行ないました。交換では商品は人間に対して無抵抗であり、商品が言うことを聞かなければ、暴力を用い、即ちわがものにする。法的関係は形式的であり、経済的関係がそこに反映されている意志関係であり、諸人格は経済的関係の担い手である。商品の全面的持ち手変換が必要であり、商品は自らを使用価値と実現する前に価値として実現しなければならない。他面で自らを価値として実現する前に使用価値であることを実証しなければならない。交換は一般的社会的関係であるが、同時に個人的であるとともにもっぱら一般的社会的であるということはありえない。はじめに行為ありき、互いに価値として関連させ、特定の商品を貨幣とする。対外的共同生活で商品になれば共同体内部でも商品となる。貨幣形態で外観が完成し、商品が貨幣であるからこそ一般的に価値を表示するかのように見える。討論では、法的関係と意志の関係を人格化とみるのは、土台と上部構造の問題。商品物神から貨幣物神、資本の物神へ進む。交換過程の矛盾:使用価値と価値:実現する前に実証すること。久留間氏は「使用価値の実現」と「使用価値としての商品の実現」を区別している。ロッシャーの引用はどうか、クニースと同様。「どのようにして、なぜ、なにによって」を、価値形態論、物神性、交換過程とするのか、あとの二つを交換過程とするのか。交換過程論の独自性とは何か。スミスとマルクスの交換は違う。

*来年1月31日(土)に新出版プロジェクト第1回一日合宿を関大森岡研究室でおこないます。執筆者は報告の準備をお願いします。
*11月22日(土)に恒例の秋の紅葉ハイキング、奈良・御所市の「葛城の道」を歩きました。大和三山を見ながら、秋を満喫。
*12月後半のゼミは、会場の都合により第四水曜日から第三水曜日の12月17日に変更しています。お間違いのないように。
*来年2月の前半のゼミは、会場の都合により第二水曜日から第一水曜日の2月4日に変更しています。お間違いのないように。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
12月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第5章・第6章     
12月17日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第3章 貨幣または商品流通 
1月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第7章・付録       
1月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第3章 続き         
その後は 2/4(天六)、2/25(天六)、3/11(場所未定)

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2008年11月21日号

GMがスズキ株を全て売却、フォードがマツダ株を売却。前者は資本関係がなくなるが、後者はまだ筆頭株主。さてクライスラーはどうなる、世界再編

[第561回ゼミ報告]
11月12日のゼミはD.ハーヴェイ『新自由主義』第3章「新自由主義国家」・第4章「地理的不均等発展」を行ないました。新自由主義では強固な私的所有権と自由に機能する市場をいうが、民主主義に対する根深い不信があり、専門家やエリートによる統治を支持する。市場の自由を言いながらその計画は権威主義に頼る。国際的な金融危機では市場を開放した国より、しなかった国のほうが被害を被らなかった。新自由主義国家が不安定なものでそこに新保守主義が台頭した。イギリスのサッチャー、アメリカのレーガンが新自主主義化を先導したが、西ドイツ・日本・アジアNEIS諸国では新自由主義化を経ることなく経済的に成功した。1990年代には金融自由化がウオールストリートと財務省とIMFによってワシントンコンセンサスとしてWTOに再編されて世界に広がった。メキシコ、アルゼンチン、韓国で行なわれ、チリでは暴力的破壊として行なわれた。強力な国家、強固な市場、法的諸機関がなければ新自由主義は機能できず、社会的不平等の拡大と富と権力の集中が新自由主義化の本質である。討論では、全体はいいが個々の事態にはもれがあるようだ。スウェーデンを新自由主義にいれるのか、中曽根は新自由主義か、IMFの役割、ドル体制と新自由主義との関係。階級権力の構築という表現、中国の見方、日本を開発主義国とみること。経済は新自由主義・政治は新保守主義、経済が悪いときは国家に頼る、新自由主義の欺瞞性、官僚批判は国民にうける。福祉国家を経た新自由主義かどうか、日本とは異なる。

*11月22日(土)に恒例の秋の紅葉ハイキングをします。今回は奈良・御所市の「葛城の道」を歩きます。近鉄御所駅に11時に集合。
*12月後半のゼミは、会場の都合により第四水曜日から第三水曜日の12月17日に変更しています。お間違いのないように。
*来年1月31日(土)に新出版プロジェクト第1回一日合宿を関大森岡研究室でおこないます。執筆者は報告の準備をお願いします。
*来年2月の前半のゼミは、会場の都合により第二水曜日から第一水曜日の2月4日に変更しています。お間違いのないように。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
11月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第2章 交換過程      
12月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第5章・第6章     
12月17日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第3章 貨幣または商品流通   
1月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第7章・付録      
その後は 1/28(天六)、2/4(天六)、2/25(未定)

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2008年11月7日号

このハガキが着く頃にはアメリカの次期大統領が決まっている。黒人初か、最高齢か。現職が応援できないほどにこの国の抱える問題は大きすぎる。

[第560回ゼミ報告]
10月22日のゼミは、マルクス『資本論』1巻第1章「商品」の第4節「商品の物神的性格とその秘密」を行ないました。商品が使用価値である限り神秘的なものは何もない。それが商品となるやいなや超感性的なものに転化する。労働生産物は社会的なものになる。人間の頭脳の産物が生命を与えられ、相互の間でも人間との間でも関係を結ぶ自立的姿態のように見え、商品世界では人間の手の生産物がそう見える。これを物神崇拝と名づけ、商品生産と不可分のものとなる。この物神的性格は商品を生産する労働の固有な社会的性格から生じる。独立した私的労働の社会的性格は人間的労働として同等性であり、かつこの社会的性格が労働生産物の価値性格という形態をとるということが、商品生産の諸関係に囚われている人々には究極的なものとして現われる。労働生産物に商品の刻印を押し、この商品世界の完成形態−貨幣形態−こそは私的労働の社会的諸関係を物的に覆い隠す。労働生産物を霧に包む商品世界の神秘化は、別の生産諸形態に逃げ込むやいなや、ただちに消えうせる。討論では、物的なものと社会的なものの入れ替わり、人間の関係と物の関係が問題である。「見える」を「宗教」的ととらえ物神性に行き着く。物神性は初版では独立していない。古典派批判を通して価値形態の発展のなかでマルクスは等価形態から物神性を導き出した。未来社会について、発展段階でそれぞれ変化していくが、生産手段の社会化では資本にならないのか。国有化とは国家資本主義ととらえ、協同組合ではどうか。市場がある限り物神性があると考えるのか。人格化と物と物の関係をどう考えるのか。物象化論と疎外論が搾取論として具体化していくが、物神性と物象化はイコールではないのでは。物化ともいうか。未来のエネルギー・太陽の話まですすんだ。

*11月22日(土)に恒例の秋の紅葉ハイキングをします。今回は奈良・御所市の「葛城の道」を歩きます。近鉄御所駅に11時に集合。
*12月第2回目のゼミは、会場の都合により第四水曜日から第三水曜日の12月17日に変更しています。お間違いのないように。
*来年1月後半に出版プロジェクトを対象に合宿を予定しています。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
11月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第3章・第4章     
11月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第2章 交換過程      
12月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第5章・第6章      
12月17日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第3章 貨幣または商品流通   
その後は 2009/1/14(天六)、1/28(未定)

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2008年10月17日号

アメリカから日本、さらにヨーロッパ、危機が毎日地球を回り駆け巡っている。株価と見、為替相場を見、金利を見ることが日課となってしまった。

[第559回ゼミ報告]
10月8日のゼミはD.ハーヴェイ『新自由主義』序文、第1章「自由とはこういうこと」と第2章「同意の形成」を行ないました。序文で1978年〜80年が社会経済史の革命的な転換点として、中国・アメリカ・イギリスで取り上げ、それから30年間グローバリゼーションと新自由主義が急速に広がりを見せた。50年代60年代を「埋め込まれた自由主義」として高度成長を見せたが、60年代末にそれが解体し危機が訪れた。新自由主義は国際的な資本主義の再編と資本蓄積の条件を再構築するためのプロジェクトといえる。ハイエク、フリードマンのモンペルラン協会に始まり、新自由主義のもと、英国サッチャーがケインズ主義を放棄し福祉国家解体を進み、米国レーガンがマネタリスト的政策を遂行し規制緩和・小さな政府を目指すこととなった。ここで国際的な結びつきが深化したが、特定の国家と関係持っていることが重要である。ポランニーが言うように複合社会で自由は地球上に拡大しながらも、新自由主義は権威主義的で強圧的で反民主主義的でもある。アメリカでの同意形成は資本蓄積危機と階級権力危機という二重の危機に対する対応策であり、英国での同意形成は国際競争と外国資本の導入で労働者主義的伝統の破壊をし、自治体社会主義を破壊、公的セクターの民営化を行なった。討論では、ここで使われている「階級」という概念は明確に規定せず、あまり認めていないのではないか。新自由主義といっても、従属国でのものと、支配国での新自由主義を分けて考える必要があるのではないか。ドイツでナチが民主主義的手続きで政権をとったやり方は、現在の新自由主義のやり方に似ている。市場に任せると言いながら、国家を適宜利用しているところは、むしろ理論は後からついてくる、という。ここではその当時問題であったベトナム戦争が触れられていない。

*12月6日・7日の研究大会、分科会の大阪第三学科担当での報告募集!
*12月第2回目のゼミは、会場の都合により第四水曜日から第三水曜日の12月17日に変更しています。お間違いのないように。
*12月は出版プロジェクトを対象に合宿を予定。24日は17日に変更。
*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
10月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章4節:物神性     
11月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第3章・第4章     
11月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第2章 交換過程      
12月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第5章・第6章      
その後は 12/17(天六)、2009/1/14(未定)

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2008年10月3日号

まさにプロレスのよう。フラフラだった日本の銀行勢は、公的資金返済を終えたとたん、空手チョップ連発で米投資銀行へ攻撃開始、はて行方は?

[第558回ゼミ報告]
9月24日のゼミはマルクス『資本論』第1巻第1章3節「価値形態または交換価値」の「B全体的な、または展開された価値形態」、「C一般的価値形態」、「D貨幣形態」を行いました。Bの展開された価値形態では商品世界のどれもがリンネル価値の鏡となり、はじめて真に区別のない人間労働の凝固体となり、社会的関係にたち、人間的労働一般の特殊な現象形態として通用するが、この連鎖は完結せず寄木細工で人間的労働の統一的現象形態をもっていない。Cの一般的価値形態でははじめて諸商品を互いに価値として関連させ交換価値として現象させ、商品世界から排除された等価物商品に一般的等価物という性格を押し付け、ここに含まれる労働を人間的労働一般の一般的現象形態にし、この排除が一つの独自な商品種類に最終的に限定された瞬間から商品世界の統一的な相対的価値形態が客観的固定性と一般的妥当性を獲得し、一般的等価物の役割がその商品種類の独自な社会的機能となり社会的独占となり、その特権的地位を歴史的に勝ち取ったのが金である。Dの貨幣形態では一般的等価形態がいまや社会的習慣により商品金に独自な自然的形態に癒着し、独占的地位をとるやいなや貨幣商品となった。簡単な商品形態は貨幣形態の萌芽である。
討論では、Bで社会的関係に立つというがAの個別的な価値形態でも社会的関係であるのではないか。等価形態では対する価値をその使用価値で表現するということが、価値と使用価値の対立の故ではないか。価値形態そのものは現象形態ではない、本質論から現象論へ、反省規定は敵対的ではない。現象形態であることが使用価値として存在することである。ここでは貨幣形態の発生を立証することで形態を順におって貨幣形態までいくので、その形態が問題だ。等価形態の独自性は使用価値が価値の現象形態である。

*次回10月8日からのゼミテキストは、D.ハーヴェイ『新自由主義 その歴史的展開と現在』作品社2730円に決まりました。1回に2章ずつ。

*12月の研究大会分科会の大阪第三学科担当での報告募集!

*12月は出版プロジェクトを対象に合宿を予定。24日は17日に変更。

*次回の会場は関目・城北学習センターです。お間違いのないように。

****** ゼミ日程 *******
10月8日(水)午後6時半〜9時  関目・城北学習センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第1章・第2章     

10月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章4節:物神性     

11月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
D.ハーヴェイ『新自由主義』第3章・第4章      

11月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第2章 交換過程       

その後は 12/10(天六)、12/17(天六)

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2008年9月19日号

とうとうアメリカ資本主義の本山が大きく揺れている。リーマン、メリル、擬制資本が虚構であったことが暴露され、多くの市民につけまわされる。

[第557回ゼミ報告]
9月10日のゼミは『21世紀とマルクス』の第4章「近代株式会社の本質」(小松善雄)を行ないました。資本論では株式会社=社会資本と株式会社=結合資本家の二様の規定がある。株式会社=社会資本=直接結合した諸個人の資本とし、ここから株式資本=結合資本(家)とすれば、その統一的表現は資本の結合体(アソシエイション)である。株式会社の社会的所有では、結合資本の所有権原を表す証券として、直接に結合した諸個人のもとでの社会的所有、資本家の直接的な社会的所有となり、剰余価値に対する所有権原として、また利子生み証券として現実資本の所有権原でも架空のものとなる。結局、マルクスの株式会社本質論は、結合資本=結合資本家説といえ、結合資本家を所有・支配主体とする直接的な社会的所有の形態をとる社会企業であり、典型的な資本の自発的・自覚的結合体=アソシエイションである。マルクスでは株式会社を法人擬制説と同時に法人実在説の組織体説の要素となっている。したがって「会社それ自体の所有」はありえず、株主主権説も誤謬であり、経営者支配はありえない。
討論では、小松氏の論説は現代の株式会社をみると物足りなく考古学だ。結合資本と結合資本家と分けているが、ヒトもモノの関係になる。小松氏の特徴は株式会社を結合資本家とし、資本の結合体をアソシエイションとすること。法人なりの株式会社は中小に多い。不特定の株主・上場すると株主はいつでも離脱できることから、資本としての結合であって、個人として結合していない。共同出資としての株式会社と上場している株式会社との違いをどのように考えるか。資本のアソシエイションか資本家のアソシエイションかどうか。

*次回ゼミに次のテキスト候補をお持ちよりください。『21世紀とマルクス』は9月10日のゼミで終わりました。出版プロジェクトに関連したものでグローバリズムを取り上げたいとの意見。候補に、ライシュ『暴走する資本主義』、ハーヴェイ『新自由主義』、OECD『日本経済白書』など。

*12月の研究大会分科会のひとつを大阪第三学科が担当します。

*12月に出版プロジェクトを対象に合宿を予定。24日は17日に変更。

*次回の会場は関目・城北学習センターです。お間違いのないように。

****** ゼミ日程 *******
9月24日(水)午後6時半〜9時  関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 1章3節B・C・D   

10月8日(水)午後6時半〜9時  関目・城北学習センター
テキスト未定                 

10月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章4節:物神性     

11月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
テキスト未定                   

その後は 11/26(天六)、12/10(天六)、12/17(場所未定)

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2008年9月5日号

一瞬先は闇、とは政治の世界でいう。放り出したトップ。同様に経済の世界もか。そこで人は暮らしている、生きている。確かな道を示してこそ政治。

[第556回ゼミ報告]
7月23日のゼミは、マルクス『資本論』1巻の第1章「商品」の3節「価値形態または交換価値」のA「単純な、個別的な、または偶然的な価値形態」を行ないました。商品の分析は二重のもの、使用価値にして価値であり、商品形態をとるためには二重の形態、使用価値の形態と価値の形態をもつ。使用価値の形態は現物形態であり、価値形態は社会的形態である。すべての価値形態の秘密は単純な価値形態のうちに潜んでいる。相対的価値形態と等価形態は互いに排除しあう、対立する両端で、同じ商品が同じ価値表現で同時に両方の形態で現われることはできない。相対的価値形態は一定の人間労働を含み、量的に規定された価値量を表現する。それに対して等価形態は他の商品との直接的交換可能性の形態である。その等価物としては量的規定は含まれていない。商品はその価値が現物形態とはちがった現象形態、すなわち交換価値という現象形態を持つとき、二重物として現われる。商品は使用価値と価値との内的な対立を一つの外的な対立として表現することで初めて現実的な商品となる。個別的な価値形態はおのずからもっと完全な形態に移行する。主要な論争:久留間と宇野。
討論では、節の名前が「価値形態と交換価値」ではなく「・・または・・」となっている。排除・対立の意味は矛盾ではない。プラスとマイナスの関係。価値形態の発展は歴史とイコール。論理的な価値形態の分析と歴史的なものとの関係が問題。簡単な等価形態では欲望の問題はどうなのか、偶然的ということは。価値を使用形態でその身体であらわすこと。対立と矛盾を区別するのかどうか。個別から特殊、そして普遍への過程について議論。

*現代物テキスト『21世紀とマルクス』は次回9月10日のゼミで終わることとします。よって、次のテキスト候補をお持ちよりください。

*7月23日のゼミでは資本論1巻1章3節全部の予定でしたが、Aのみで、続くB、C、Dは9月24日に順延します。

*基礎研40周年記念出版プロジェクトに大阪第三学科が続編となる出版企画で応募しました。

*次回の会場は天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
9月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』4章 近代株式会社の本質     

9月24日(水)午後6時半〜9時 関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 1章3節B・C・D       

10月8日(水)午後6時半〜9時  関目・城北学習センター
テキスト未定                   

10月22日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章4節:物神性     報告:高島さん

その後は 11/12(場所未定)、11/26(場所未定)

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2008年7月18日号

この前のゼミは数えて555回となり、ゴーゴーゴー。基礎研40周年記念出版応募の話し合いではまさにゴーゴーゴーと積極的意見続出、応募決定

[第555回ゼミ報告]
7月9日のゼミは、『21世紀とマルクス』第2章「マルクス生産価格論の形成−『1861−1863年草稿』を中心に−」(尾崎裕太)を行ないました。社会経済学の大きな課題は交換価値による総生産の規制がどのように行なわれるのか、ということであり、古典派は価値法則の貫徹を説明できず、その解明はマルクスまで待たれた。商品の価値と価値形態を峻別し商品の価格変動の中心を生産価格であることを明らかにした。そしていつどこで生産価格論を仕上げ『資本論』に取り入れたかが問題である。61−63年草稿の第3章とスミス記述に関し生産価格を競争篇に留保したのか、資本一般で論じたのかが問題となる。草稿第3章では生産価格論を「明らかに一般的なもの」として成立している。生産価格は「生産費+平均利潤率を実現できる利潤」という大きさに規定されている。さらに剰余価値の利潤への実質的転化では第1の転化と第2の転化があるが、これも一般的なものとなる。また平均利潤率については諸資本の競争から社会的労働の配分がなされ、平均的または標準的な条件下で利潤の平均化が行なわれる。生産価格と価値との相違については、競争がいかにして価値とは異なる生産価格を成立させるかについて、競争による均等化を書いている。この『草稿』第3章こそ、マルクス生産価格論の起点である。
討論では、生産価格論は資本一般に存在するのかという問題提起であり、資本一般と競争論との関係、エンゲルスの編集の問題とも関わる。『資本論』では資本一般プランを膨らましていた。『草稿』第3章からスミス記述への順に書いた。『資本論』3巻10章で同一部門間競争を述べている。一般性と特殊性との関係である。プランの変遷で資本一般をどのように変えていったのかが問題。この問題では金融論からのアプローチと原論からのアプローチがある。標準価格と生産価格との関連はどうか。87頁6行目の第3章草稿とスミス記述の執筆時期についての記述は逆ではないか。

*基礎研40周年記念出版への大阪第三学科の打合せ会を8月2日(土)午後1時より森岡先生の関大研究室で行ないます。

*次回の会場は関目・城北学習センターです。お間違いのないように。

****** ゼミ日程 *******
7月23日(水)午後6時半〜9時 関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 第1章3節A・B・C・D

9月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』4章 近代株式会社の本質 

9月24日(水)午後6時半〜9時 関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 第1章4節:物神性    

10月8日(水)午後6時半〜9時  関目・城北学習センター
テキスト未定                   

その後は 10/22(場所未定)、11/12(場所未定)

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2008年7月4日号

原油価格の高騰はとどまるところを知らない。毎月ガソリンが上がり庶民は車で買い物自粛しているとも。下請企業は値上げ願いと玉(物)探し。

[第554回ゼミ報告]
6月25日のゼミは、マルクス『資本論』第1巻の第1章2節「商品に表される労働の二重性」を行ないました。商品は二面的なもの、価値と使用価値として現われる。商品が相対する、すなわち交換されるということは質的に違った有用労働の生産物である。商品生産者の社会では社会的分業が発展する。二つの商品が交換されるということは同じ価値量を持っているが、それぞれは質的に違った労働である。より複雑な労働は単純な平均労働の数乗されたものである。価値に表されている労働では有用形態は捨象されていて、価値が含まれている労働はただ人間の労働力の支出としてのみ認められる。裁縫や織布が上着価値やリンネル価値の実態であるのは、両者が人間労働という同じ質を持っているからである、すべての労働は、抽象的人間労働という属性で商品価値を形成し、具体的有用労働という属性において使用価値を生産する。
討論では、まず2節の表題が「二重性」とあり、すぐ後の文では「二面性」としているが、この相違は何なのか。どこに二重性について書かれているのか。3節へのつながる言葉なのか、商品と貨幣の2つに分解することから。1節では二つの要因となっている。表されている労働が二つの性格をもっているが、それは属性がふたつあるのであって、労働としては一つの労働である。二重性については階級の問題があるのでは。素材的富の増加と価値の低下を書いているが、それは商品の対立的性格を描いていて、後の有機的構成の高度化の問題、利潤率の傾向的低下の問題と関連するのではないか。久しぶりに読み返すと、素材的側面・使用価値の記述が多い。矛盾と対立の関係について見田氏の論説の問題、ヘーゲルの方法との関連などが議論されました。

*今回の資本論は第1章2節のみとなり、3節以降は次回に繰り延べです。

*基礎研40周年記念出版に我が大阪第三学科も応募しようではないか、との意見が森岡先生から出て、ゼミの人達も呼応するように賛成意見が多数を占めました。昨年秋に出版された本の続編として、7月下旬あるいは
8月上旬にその話し合いを予定しています。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
7月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』2章 マルクス生産価格論の形成 

7月23日(水)午後6時半〜9時 関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 第1章3節A・B・C・D

9月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』4章 近代株式会社の本質  

9月24日(水)午後6時半〜9時 関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 第2章          

その後は 10/8(場所未定)、10/22(場所未定)

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2008年6月20日号

神戸にある人の防災未来センターで阪神淡路大震災のすさまじさを見てきた。その2日後にまたまた大きな地震のニュース、過去ではなく現在だ。

[第553回ゼミ報告]
6月11日のゼミは、『21世紀とマルクス』の第1章「現代の産業循環・恐慌と信用−ドル体制化の世界―」(小西一雄)を行ないました。変化した貨幣信用制度のもとで現代の産業循環はどのように変化したのか、あるいはしなかったのか、と課題を設定し、バブル期と今の不況期を比べ、就業者数・生産性・生産力は違いがないが、失業者の増加と企業利潤か減少し、設備投資の伸びが鈍化、雇用の拡大がにぶり賃金が抑制されていたという。不況は追加投資が増加する局面で利潤率が急落し、利子が利潤を食いつぶすことになる。不況時の生産力水準が新たな起点なるが、その転換点での最初の衝撃の型が産業循環の個性を決める。以前の重化学工業から現代の軽薄短小産業がそれぞれにリーディング産業となったが、今回は新たなものは現れず、長期停滞となっている。循環の最後では信用を利用した追加蓄積が過熱するが追加投資が利潤を生まない状況で一挙に不況に陥る。信用にとっては循環の最初時点では活躍の場はなく、過剰生産期に大きな役割をする。特に不換制下では兌換制下の限度を超える信用膨張が可能となるがそれでも限界はあり、産業循環・恐慌へと貫く資本蓄積法則は破棄できない。
討論では、非常にわかりやすい叙述だ。「おわりに」にある社会的な飢餓とは何か、新しい貧困・リスク社会ということか。「限界」と「制限」の用語の違いは何か、乗り越えられるものと本当の壁。生産力水準は使用価値の問題ではあるが、社会的使用価値の限度という場合はどうか。「最初の衝撃」が出てくるがカントからきているのでは。金融危機に関してかつての護送船団方式で保護してきたものを今回の金融危機ではそれぞれの金融機関に大きな貸し出しを行なってきた。それも国家が直接救済を行なっている。

*4月から毎週金曜日、我らが『格差社会の構造』をテキストに駒澤大学で順番に各章を講義してきましたが、昨週やっと最終章まできました。皆様の力作を1回でしゃべるにはとても内容豊富で割愛した箇所もあります。3年間に何回も聴いているのに今回まとめるにあたって、やっと筆者の言いたいことがわかったことや、新しい発見など、本当に勉強になりました。私のHPに講義に使ったスライドを掲載しています。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
6月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章2節・3節A    

7月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』2章 マルクス生産価格論の形成 

7月23日(水)午後6時半〜9時 関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 第1章3節B・C・D    

9月10日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』4章 近代株式会社の本質   

その後は 9/24(場所未定)、10/8(場所未定)

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2008年6月6日号

ガソリン急騰!ガソリン税復活前のGS長座の列もささやかな抵抗になってしまった。まぐろ漁船から、車の売れ行きまで。給料上がらす物価高騰。

[第552回ゼミ報告]
5月28日のゼミは、マルクス『資本論』1巻の第1章「商品」の第1節「商品の二つの要因−使用価値と価値(価値の実体、価値の大きさ)」を行ないました。資本主義的生産様式が支配的な社会の富は巨大な商品の集まりとして現われ、その商品が富の基本形態として現れる。商品はその物の使用価値としての有用性を持つが、商品交換に際し交換価値は量的関係として同じ労働に、共通なものとして抽象的人間労働に還元され、価値の大きさは労働の量・労働の継続時間で計られる。労働生産物に残っているものは無差別な人間労働であり、一つの同じ人間労働として社会的平均労働に還元される。ある物は価値なしで使用価値でありうるが、商品として生産されるということは、他人のための使用価値、社会的使用価値として生産される。
討論では、まず始めるのにスミスは分業から始めたがマルクスは商品から始めた、その違いは何なのか。すでに『経済学批判』でも商品から始めているが、「経済学批判への序説」では、生産・消費・分配・消費として生産から始めている。WorthとValueの違い、workとlabour。ロックとラスキン。マルクス以前の1739年ごろには労働価値論が出ている。固有価値という言葉が出ているが、交換価値と使用価値・固有価値との関係はどうなのか。形容矛盾とは、内在的なものと交換として外的なものということか。財、物という言葉、DingとSacheの違い。富の社会的形態に関して、どの社会でも富があるが、富の規定の仕方が、資本主義では商品であるが、全ての富が商品として集まるのではなく、資本制制度が支配的なところと限定している。注で商品の"擬制"が書かれているが、富が商品として現れるということで、物でないものまで富として商品化されることまで述べているのか。社会的使用価値とは、社会的に通用する使用価値ということか。

*『資本論』は1章をゆっくりと4回にわけてやります。

*部屋に入ってびっくり、部屋は満席に近い。やっぱり『資本論』だなあと、多くの人が集まってきました。議論も早くも高度になりました。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
6月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』1章 現代の産業循環・恐慌と信用 

6月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章2節・3節A   

7月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』4章 近代株式会社の本質   

7月23日(水)午後6時半〜9時 関目・城北学習センター
マルクス『資本論』1巻 第1章3節B・C・D   

その後は 9/10(場所未定)、9/24(場所未定)

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2008年5月23日号

劉備玄徳や関羽・張飛・諸葛孔明、『三国志』で峻険な山に囲まれた蜀の国、二千年後の今、人の数は誇張ではなく大地震が人々を押しつぶす。人災。

[第551回ゼミ報告]
5月14日のゼミは『21世紀とマルクス』序章「労働に即する社会把握の復権のために−ベーゲル自己意識論批判と労働−」(有井行夫)を行ないました。20世紀マルクス主義の2大ドクマ、「生産関係の所有論的規定」論と「独占資本主義の段階論的構造」論は共に「観察者の立場」にあり、その批判的克服としてのマルクス労働論の本旨をヘーゲルの自己意識論批判からみ、「事柄をそれ自身への関係において考察」し、すべて労働の媒介態において再把握することである。『要綱』生産論と『経哲』労働論とは同一の存在観に立ち、ヘーゲル『現象学』こそ認識において観察者の立場を体系的に克服する試みである。「意識の対象の克服」とは対象に対する意識の外面性の克服で、対象そのものの克服ではない。類的存在とは、ヘーゲルでは対自的自己意識であるが、マルクスでは対自的生命、労働する存在である。人間は自己の対象的本質である対象的世界を変革し形成することによって実践的理論的に類的存在の普遍性を確証する。ヘーゲル自己意識論の展開線上に労働が導入されるのではなく、ヘーゲル自己意識論の没落がすなわちマルクス労働論の出現である。マルクスの労働論では、自己意識の無限な統一運動は労働であり、人間諸個人の人間性、社会、歴史の存在原理は労働である。対象化契機の実在性をつきつめると自己意識は労働に転換した。
討論では、認識派と存在論派というものがあるが、存在と意識に関して労働を実践概念としてなぜ最初にもってくるのか。自己意識から労働へ転化する道筋が明らかでない。つまり、労働が外化・対象化される道筋についての説明がなされていない。『精神現象学』についてはすでにヘーゲルが「自己意識」は「人間」であり、人間は労働し人間と人間の間に支配の関係を作り、主人は奴隷の奴隷に転化するといっている。存在に関して、物を媒介的に捉えている。マルクスは労働に即して把握していたが、第4節で扱っている労働と対象化についてはもっと論考を発展させる必要がある。主体と客体を定立してしまっているが、唯物論としてはどうか。ヘーゲルやマルクスの引用が多く、それを自分の言葉にかえて説明する必要があるのではないか。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

****** ゼミ日程 *******
5月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章1節〜2節    

6月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』1章 現代の産業循環・恐慌と信用 

6月25日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章3節          

7月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』4章 近代株式会社の本質   

その後は 7/23(城北市民学習C)、夏休み、9/10(場所未定)

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2008年5月9日号

上野のパンダが亡くなった直後に中国主席が来日し貸し出し表明、あまりに好タイミング。しかし聖火リレーとチベット問題ではタイミング悪し。

[第550回ゼミ報告]
4月23日のゼミはマルクス『資本論』1巻の初頭の「序言・あとがき」等を行ないました。まず最初に、完成されかつ未完の大著『資本論』として『資本論』刊行および「草稿」執筆一覧表を示され、どのような経過で現行『資本論』が完成されたかを時系列で明らかにし、『経済学批判』プランと『資本論』プランの対比もされ、序言・あとがき等を通じて、エンゲルスはできるだけ理解しやすい形にして読者に提供し、解放運動への理論的武器の用意を目的とし、未完成ではあっても理論的に未完ということではないとした。特に新メガ以降にエンゲルスを批判する流れがあるが、批判的検討は必要だが「歪曲」扱いは許されないとする。『資本論』後にでた『帝国主義論』との一般論・特殊理論、独占主議論との関係を見直し、メガ草稿の研究とともに、その後の資本主義の発展を踏まえた分析が必要とされた。
討論では、エンゲルスがじゃまなのかどうか、4版で学ぶことの意味はどうか。資本論を書いていく上でマルクスの頭にあったものは「恐慌」であり、恐慌が革命をおこすということから考えてその執筆を進めていた。他方、2巻・3巻の編集と1巻3版・4版を刊行した90年代のエンゲルスでは時代の状況と要請が違ってきているのではないか。さらにレーニンでは戦争と革命との関係が主眼になっている。資本主義の発展法則の問題では、飛び越えることができない、という節は後から修正したのかどうか。ソ連を開発独裁ということができるのか。ロシア・プーチンの資本主義と中国での発展の比較にまで議論が進んだ。また、前回ゼミ報告での初期マルクスでのプロレタリアートに関して重田澄男先生からMLで論じているとの意見が寄せられことで、確かに初期マルクスでプロレタリアートを発見していると前言を取り消し、ご指摘を認めた上で、本格的に論じていないのではないか、と意見が出た。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*いよいよ『資本論』1巻が再スタートしました。1章1〜2節、3節、4節〜2章の3回に分けて行ないます。

****** ゼミ日程 *******
5月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』序章 労働に即する社会把握・・

5月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章1節〜2節    

6月11日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』1章 現代の産業循環・恐慌と信用 

その後は 6/25(天六)、7/9(天六)、7/23(場所未定)

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2008年4月18日号

押すな、押すなの人の流れ、醍醐の寺の庭見物。太閤さんはさどやゆっくり庭を眺め、桜の咲き誇るのを楽しんだろう。今様庶民は座る場も無し。

[第549回ゼミ報告]
4月9日のゼミは、『21世紀とマルクス』の第14章「世界市場と人間的解放―通過点としての「資本の傾向」−」(神山義治)を行ないました。労働こそが人間社会形成の立脚点であり、労働する個人だけがこの世界の統一的把握の軸になる。諸個人を解放する発展は、資本の地球的な姿での成熟を通過点としている。資本はその世界的展開によって個人の開発を要求し、世界市場は諸個人にとって「人間的解放」の土台となる。資本は労働する諸個人の世界史的諸姿態を形成し、彼らを同一の敵対関係におく。大工業は私的所有のなかに社会的労働を実現し、資本は信用によって孤立した過程を社会的に連結し、それ自身を否定している。この運動が資本という生産の不要性を宣言している。労働の敵対的な展開が、社会的生産過程における労働する諸個人を社会的形成の主体として承認させる。初期マルクスにおける「政治的解放」を「人間的解放」との峻別は、解放の課題を「人間的解放」の課題として、この問題設定は『資本論』を貫いている。
討論では、これは、古典への忠実な依拠による、グローバリゼーションの新事態を古典と史的唯物論によって概括する意欲的な試作・思索である。人間的解放とは国家からか、宗教からなのか。個人は出てくるが、階級が出てこない。まだ初期マルクスではプロレタリアートを発見していない。発見した後の市民社会のとらえ方はどうなのか。初期と後期では断絶があり、前に戻って労働する個人で説くことはどうか。労働する個人を強調するが、社会的生産過程では労働者の団結が問題であり、その主体は何かが問題。アソシエーション論では自由な人間の自由な集まりを強調。一国国有化社会主義・一国社会民主主義を批判しているのは、現存したものへの大いなる反省がある。しかしここではアソシエートした個人が出てこない。労働する個人を言う場合に、人格化とか物象化を問題にするが、むしろ人間の発達論から見ることのほうが一理あるのではないか。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*いよいよ『資本論』1巻が再スタートします、乞う参加者、集まれ!

*次々回のゼミで『21世紀とマルクス』をそのままが続けます。序章(有井行夫)のあとは、1章(小西一雄)、4章(小松善雄)の予定しています。

*4月5日の恒例の花見ハイキングは、桜満開真っ最中の醍醐寺周辺を楽しみました。

****** ゼミ日程 *******
4月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 序言・あとがき等   

5月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』序章 労働に即する社会把握・・

5月28日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 第1章           

その後は 6/11(天六)、6/25(天六)、7/9(場所未定)

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2008年4月4日号

ガソリンは一時的に値下げするが、パンやうどんの値上げは生活直撃。

[第548回ゼミ報告]
3月26日のゼミは、マルクス『資本論』3部最終章「補足と補遺」を行ないました。エンゲルスが死の年に、価値法則と生産価格についての当時の経済学者への反駁として書いた。社会主義者から後にマルクス批判者になる若きゾンバルトの脆弱性を見通している。価値法則が観念的で不合理で偶然的なものであったり、思考の産物や仮説ではなく、共同体から続く長い歴史の中で、価値法則が確固としたものとして具体的に息づいていたこと、利潤率の均等化への過程を生き生きと描いている。そして最後に当時重要な位置を占めつつあった取引所を資本主義的生産の際立った代表者であるといい、株式化が全世界に広がっていることを素描をしている。
討論では、1巻の価値法則や価格の説明には歴史的な叙述がなかった。エンゲルスは具体的事実を述べていくのがうまい、実務家だからか。マルクスは論理的に展開する、哲学者だからか。論理の問題を事実だけでは説明しつくせないところをマルクスは価値法則の最初の部分をねってねって論理で仕上げている。2巻・3巻が読みやすくなった。1巻は労働者の読むもの、2巻3巻は研究者が読むものとされていたが。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*今回のゼミで『資本論』3巻が終わりました。これまでの『資本論』学習など古典の経過をまとめました:
『金融資本論』:1977年11月3日〜1978年11月18日
『帝国主義論』:1978年12月16日〜1979年4月28日
『資本論』3巻:1979年11月1日〜1982年5月8日
『帝国主義論』:1982年11月6日〜1983年6月4日
『資本論』3巻:1983年12月3日〜1985年3月9日
『資本論』2巻:1985年4月20日〜1987年3月14日
『資本論』1巻:1987年4月18日〜1990年9月28日
『金融資本論』:1990年11月16日〜1993年7月7日
『経済学批判要綱』:1993年12月1日〜1997年5月28日
『金融資本論』:1997年9月24日〜1999年11月24日
『資本論』2巻:2000年2月23日〜2002年5月22日
『資本論』3巻:2002年6月26日〜2008年3月26日

*前号で4月9日のゼミで『21世紀とマルクス』が第14章をもって終わると書きましたが、ゼミの中からこの本の残っている章をやるとの異論が出ています。次回で決めることにしました。ご意見をお待ちしています。

*4月5日は恒例のハイキング、10時半に京都市地下鉄醍醐駅に集合

****** ゼミ日程 *******
4月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』14章「世界市場と人間的解放」

4月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 序言・あとがき等     

5月14日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』のいずれかの章(仮)    

その後は 5/28(天六)、6/11(天六)、6/25(天六)

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2008年3月21日号

銀行で手形を割引く短プラレートが1.875%、1ヶ月物当座貸越が1.5%台、さらに5年の長期で借りるともっと低い固定金利。どうする日銀総裁代行。

[第547回ゼミ報告]
3月12日のゼミは、『21世紀とマルクス』第13章「私的所有の否定と個人的所有の再建―マルクスの人間解放論―」(長谷川義和)を行ないました。人間解放は根源である資本の存立根拠まで遡って、資本論24章の個人的所有の再建を手がかりとして検討する。「収奪者の収奪」による「個人的所有の再建」とは何か、エンゲルスによる、生産手段は社会的所有、消費財は個人的所有、生産は集団的・分配は個人的という理解に対する論争が起こった。取得法則の転回論は単純再生産の帰結として現われ、商品生産の所有法則の資本主義的取得法則への転回となる。商品交換で成り立つ現代社会は人格(私的所有者としての社会的承認)−物象(商品・貨幣)−労働(私的労働)という3項が媒辞として推理的連結にあるが、社会的システムとして商品のシステムは完結できず、資本のシステムとして自立した社会システムが完成する。しかし資本のシステムはそれ自体を否定する矛盾したシステムであり、労働に即したシステムを自己の否定として措定する。それが個人的所有の再建である。個人的所有の再建運動は資本家と労働者の階級闘争として現象し、それは取得法則の転回と私的所有の否定が生み出す「否定の否定」の表現としての労働者階級の運動である。マルクスは労働運動について、過去は賃金と労働時間の運動に限られていたが、現在は資本支配の廃止のために労働組合として組織され、未来は完全解放のため労働者階級は意識的に社会運動と政治運動を支援し、労働する諸個人の自己解放によって解決する、という。企業は、アソシエートした労働する個人がつく出したものであることを社会的に承認させることが最後の越えるべき一線である。現代社会が直面する問題として、私的所有と資本の矛盾から不可避的に生ずる労働運動や社会運動を個人的所有の再建運動と位置付けることが課題である。
討論では、商品のシステム・資本のシステムというシステムとは? 矛盾したシステムそれ自体を否定して反対物への転化は矛盾であるのか。中間層解放の理論はどうか。資本論レベルでいいのか。企業の分析がない、資本とイコールでいいのか。個別的と連続的、これで見ている。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*次回のゼミで『資本論』3巻が終わります。次の古典物テキストはあらためて『資本論』1巻、4月から新たな気持ちで資本論通読の始まりです。

*4月9日のゼミで『21世紀とマルクス』は第14章をもって終わることになりました。次のテキスト募集中、最有力候補は、有井行夫『株式会社の正当性と所有理論』(青木書店、1991年)です。ご意見募集中!

****** ゼミ日程 *******
3月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3部への補足と補遺    

4月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』14章「世界市場と人間的解放」

4月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻 序言・あとがき等     

その後は 5/14(天六)、5/28(場所未定)、6/11(場所未定)

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2008年3月7日号

滑走路に勝手に入っり、横切っり、どうなっているの日航さん。横風に振られながらも無事着陸したルフトハンザさん、すばらしいの一言。

[第546回ゼミ報告]
2月27日のゼミはマルクス『資本論』3巻第51章「分配諸関係と生産諸関係」と第52章「諸階級」をおこないました。3つの収入形態:労賃(労働者)、利潤(資本家)、地代(地主)は分配関係であり、それを自然法則とみる古典派経済学を批判し、さらにその歴史的性格を認めながら生産関係を自然法則とみるJ.S.ミルを批判した。それはイギリス・ドイツにおける労働運動がミルの影響を強く受けていたためである。資本主義的生産様式は歴史的規定をもつ生産様式であり、社会的生産力と一定の発展段階を前提とする。分配関係を年間生産物が3つの収入に分配されるという事実から出発することに誤りがある。資本主義的生産様式の2つの特徴は、生産物を商品として生産し商品であることが生産物の支配的で規定的な性格であること、生産の直接的目的・規定的動機が剰余価値の生産であることにある。資本主義的分配関係は資本主義的生産関係から生まれる。すなわち分配関係はただ生産関係の一面を表しているだけである。労働過程の特定の歴史的形態は物質的基礎と社会的形態を発展させ、ある成熟段階に達すればより高い形態に席をゆずる。その危機の瞬間とは生産の物質的発展と生産の社会的形態との間の衝突である。近代社会の3大階級はそれぞれの収入源泉の所有者であるが、典型的なイギリスでも純粋に現れず、中間階層・過渡的階層が規定を紛らわしくしている。何が階級を形成しているのか。収入源の同一性に階級規定を求める誤り。
討論では、ミルを俗流と言わず、折衷派という。ミルでの自由論、福祉国家、社会主義。生産関係では社会的生活過程ともいう。流通過程は生産あるいは分配か。分配過程では生産手段の分配として本源的蓄積が問題となる。収入論は階級論である。物化、人格化を現すもの。階級論での所有の問題はどうか。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*3月26日のゼミで『資本論』3巻が終わります。次のテキストは議論の末、『資本論』1巻に決まりました。2・3巻で8年かかりました。再び1・2・3巻を読了するには10年かかる、とのことでハテ皆は何歳に。

****** ゼミ日程 *******
3月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』第13章「私的所有の否定と・」

3月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3部への補足と補遺   

4月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』のいずれかの章      

4月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』1巻第1章          

その後は 5/14(天六)、5/28(場所未定)

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2008年2月22日号

国を守る船がその国の人を殺す、「自爆テロの船だったら」と大臣の発言、ぶつけられた船の親子が冷たい海に放り出されてまだ見つからないのに。

[第545回ゼミ報告]
2月13日のゼミは『21世紀とマルクス』の第12章「資本・市場・競争−新しい社会形成の契機を求めて―」を行ないました。市場とは資本の運動の一側面の別称でしかなく、その本性は資本以外のものではない。私的労働が社会的性格を価値という形態でうけとる。商品交換ではそれぞれが自由意志の主体で平等であり、個人的な特殊性ははいってこない。限界効用理論では物と物との譲渡を貨幣と財の使用価値の譲渡とみ、無限の欲望主体と希少性から、相互に異なる効用を同一の効用に同質化・一般化するという暴力的抽象がある。近代社会では個人は抽象的な人格と主観とに、抽象的な普遍と特殊性に分裂し、内面化(ルター化)された宗教は外的・世俗的な権威を否定し、内面的な自由としての信仰を要求し、経済活動は宗教的規範から解放されて、経済社会が純化・自立化する。競争原理である市場で現れるのは利潤とコストの変動であり、剰余価値とは販売価格から費用価格を超える部分として、資本の素材自身が利潤を生むという近代経済学の利潤論が出来上がる。それは各要素の依存関係として収穫逓減の法則では技術革新を排除し資本の有機的構成の高度化というファクターを見落としている。労働の社会的生産力の発展は資本家にとっては可変資本の縮減として現れることから、総資本の集積へと進む。大工業は機械体系として社会全体の支配的な生産方法となるが、そこから労働する個人の解放が「アソシエートした労働する個人」の奪回となる。産業将校(マネージャー)がアソシエートした社会で指揮・管理を遂行し、新たな社会を形成する主体となる。
討論では、非正規が多くなった現代では産業将校を主体に考える管理論はあわないのではないか。連帯というがアソシエートしていない現実がある。占有と所有の区別がない。大工業とは一国国民経済の考え方で、グローバリゼーションが進んだ現代では市場主義の蔓延と国家の力をぬきに考えられない。新しい社会の変革契機を求めるのに、市場の問題を貫徹していない。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*1月23日ゼミで『資本論』3巻50章「競争の外観」が終わりました。2月27日のゼミは51・52章になります。

*いよいよまもなく『資本論』3巻が終わります。新たな古典物をどうするか、ゼミ参加者の皆様からのご意見をお待ちしています。

****** ゼミ日程 *******
2月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3巻第51・52章    

3月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』第13章「私的所有の否定と・」

3月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3部への補足と補遺       

4月9日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀とマルクス』のいずれかの章        

その後は 4/23(天六)、4/23(場所未定)、5/15(場所未定)

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2008年2月8日号

朝起きてびっくり、一面の銀世界にシーンと静まるような風景。手に取った新聞には冷凍餃子事件が一面に。日本の食卓が如何に冷凍食品頼みか。

[第544回ゼミ報告]
1月23日のゼミはマルクス『資本論』3巻第50章「競争の外観」を行いました。諸商品の価値は不変資本補填部分、労賃たる可変資本部分、資本の利潤と地代にあたる剰余価値部分に分解され、後の2つが新たに付け加えられた労働を表し、労賃・利潤・地代の3つの収入形態に分解される。労賃は生活諸手段によって肉体的最低限度を、剰余価値は労働日の肉体的最高限度をもつが、地代は一般的利潤率をこえる超過分として限界付けられている。騰貴する独占価格が可能になるとしても、他の利潤の一部を移すだけである。労賃・利潤・地代を商品の構成要素であるとみなすところから、商品の価値構成部分が観念として逆さまに現れる。価値規定が資本家の関心を引くのは商品の生産費を増大・減少させる限りであり、労賃・利子・地代は資本家がその価格で売らなければならない規制的限界として現れる。世界市場での競争であっても同様で、新たに付け加えられた価値でも3つの収入の形態に分解するのは自明のことである。
討論では、50章の位置づけについて、まとめてあり新しく言われていることは何もないというがどうか。ここでは俗流経済学批判、特にスミス批判に当てられている。彼らの立ちうる根拠を暴露し、資本家に染み付いているものは何故かを書いている。特に競争に目を向けて、競争とは何か、競争に現れる外観を描いている。1巻は個別資本の目からみているが、2巻と3巻では複数の資本が現れている。そこでは競争はあるが、まだそれらが釣り合っている状態で、本当の競争を持ち込んでいない。「限界」の言葉がでてくる。平均利潤と独占価格については。競争を市場の調整力と見るが、バブルの時のように価格騰貴に突き進んでしまう。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*1月23日ゼミで『資本論』3巻50章「競争の外観」が1回で終わりました。2月27日のゼミは51・52章になります。

*いよいよまもなく『資本論』3巻が終わります。2巻に続き2002年6月26日に始まった3巻は6年弱かかりました。新たな古典物をどうするか、ゼミ参加者の皆様からのご意見をお待ちしています。(2巻は2000年2月23日から2002年5月22日まで2年3ヶ月)

****** ゼミ日程 *******
2月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀のマルクス』第12章「資本・市場・競争」

2月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3巻第51・52章   

3月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀のマルクス』のいずれかの章     

3月26日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3部への補足と補遺       

その後は 4/9(天六)、4/23(天六)、4/23(場所未定)

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2008年1月18日号

13年目の1月17日が来た。何かのきっかけで人生の道筋を大きく変えられることはあるが、それが一瞬にして多くの人々で起きた事が重要。

[第543回ゼミ報告]
1月9日のゼミは『21世紀のマルクス』第11章「社会的分業の「ネットワーク」化と商品生産の揚棄」(浅川雅巳)を行ないました。この章は商品生産揚棄を具体化するような萌芽がどこまで形成されているかを確認することである。マルクスの要綱では、私的な交換である資本主義以前の社会、諸個人間が位階的に配分され交換される資本主義社会、アソシエートした諸個人の自由な交換である未来社会を描いている。自由な交換は未来社会では生産行為内部の交換と個人の消費財の交換があり、協議した計画にしたがって社会的労働を支出し、生産の目的は使用価値の生産と実現である。資本主義以前は人格的依存と制限による交換の未発達な社会であり、資本主義では物象的依存関係として貨幣関係に基づく交換が発達した社会であり、最後に未来社会では個人が普遍的発展により共同体的な自由な個体性となる。すなわち生産の共同体的性格により、個々人の労働力支出は直接に社会的労働としての内実を持ち、私的労働システムでは制御できない段階に達している。社会的分業としてのネットワークは非市場的・非ヒエラルキー的な企業間関係を特徴として、SCM(サプライチェーンマネージメント)が需給ギャップの発生を徹底的に排除するものとなる。さらに消費者によるネットワークの問題として、物象的依存関係では消費者は生産から切り離されているが、生活の共同化により、企業間の協力による生産と消費の関連が出てきて、自立主体的な個人の形成により、生産と消費の双方向コミュニケーション組織、主体的な新しい協同形態が模索される。市場経済は協同経済への転換が必要であり、それらは共存できない。
討論では、括弧が多すぎて読みにくい。現代の事項を楽天的にみている。企業の間には激しい競争があり、またSCMが企業の情報の丸見えにより企業間の支配関係に影響される。同様な例で製造小売業もある。そこでは自立性が損なわれることが重要である。ここでは所有の問題、国家の産業政策、市民社会とどうみるか。社会保障制度は市場の中か、外なのか。ネットワークにも当然支配関係が見えている。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。

*次回のテキストは、マルクス『資本論』3巻第50章「競争の外観」ですが、大きな章なので、次回と次々回との2回にわたって行ないます。

****** ゼミ日程 *******
1月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3巻第50章「競争の外観」の一部

2月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀のマルクス』第11章「資本・市場・競争」

2月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3巻第50章「競争の外観」の続

3月12日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀のマルクス』のいずれかの章 

その後は 3/26(天六)、4/9(天六)、4/23(場所未定)

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2008年1月4日号

新年おめでとうございます。何故か正月を迎える季節ではなさそう、と思っていたら突然の寒波。今年も厳しい年明けに、雪崩のニュースも。

[第542回ゼミ報告]
12月26日のゼミは、『21世紀のマルクス』第10章「賃労働からアソシエートした労働へ」(大谷禎之介)を行ないました。資本主義社会の消滅後、市場は残るかという問題について、マルクスによれば、市場とは交換価値による全生産の規制が行なわれるような商品の流通部面であり、労働する諸個人が労働諸条件から分離されている資本主義的生産では労働力売買されるが、資本主義的生産が消滅されるということは、この分離状態が消滅し、労働力売買および労働市場が消滅することをいう。すなわち労働市場なき市場経済はフィクションである。マルクスは未来社会をアソシエーションと呼び、自由な個人が社会的労働を意識的計画的に統御する社会的生産で、社会的所有と個人的所有のもとで協同組合的社会を想定した。アソシエートした労働は、直接に協業としての社会的労働あり、全生産を共同して意識的に制御し、合目的的に個性と能力を自由に発揮し全面的に発展させる行為となる。アソシエートした労働の生産様式とは、交換価値による全生産の規制からアソシエートした諸個人による自分たちの全生産の制御へ、というマルクスの理論的把握はリアリティをもった社会的生産の姿である。
討論では、マルクスの理論をきちんと整理したことは賞賛に値する。未来社会で市場は残るかどうかの問題について、生産力の前提はどのようになっているのか。主体の協同組合はどうなのか。過渡期の問題が重要でありそれをどうするのか。社会的労働を地球的規模で考えるのか。全国単一のプランかどうか。アソシエートした組織の範囲は、一企業か一地方か一国かどうか、それがはっきりとしていない。市場を論じている人は問題の次元が別であり永遠にあるとはしていないのでは。いま大事なことは資本主義がどのようになるかである。過渡期の問題は現存した社会主義の問題を考える必要がある。過渡期には労働市場なき市場はありうるのでは。世界規模では市場は消滅しないのでは。結局、過渡期問題は組織と管理の問題となる。

*次回の会場はいつもの天六・大阪市立住まい情報センターです。
*次回のテキストは、大谷禎之介編『21世紀のマルクス 資本システム批判の方法と理論』の第11章「社会的分業の「ネットワーク」化と商品生産の揚棄」浅川雅巳論文です。

****** ゼミ日程 *******
1月9日(水)午後6時半〜9時  天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀のマルクス』第11章「社会的分業の・・」 

1月23日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3巻第50章「競争の外観」の一部

2月13日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
『21世紀のマルクス』のいずれかの章        

2月27日(水)午後6時半〜9時 天六・大阪市立住まい情報センター
マルクス『資本論』3巻第50章「競争の外観」の続 

その後は 3/12(天六)、3/26(天六)、4/9(場所未定)

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