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大阪第三学科たより
2019年


2019年12月20日号
2019年12月6日号
2019年11月22日号
2019年11月8日号
2019年10月18日号
2019年10月4日号
2019年9月20日号
2019年9月6日号
2019年7月19日号
2019年7月5日号
2019年6月21日号
2019年6月7日号
2019年5月17日号
2019年5月3日号
2019年4月19日号
2019年4月5日号
2019年3月22日号
2019年3月8日号
2019年2月22日号
2019年2月8日号
2019年1月18日号
2019年1月4日号


2019年12月20日号

大学入試共通テスト、英語民間試験に続き、記述試験も実施見送りへ。そもそも
公平性が必須の入試、営利目的の企業などに託すのは無理な話だったのでは・・

[第801回ゼミ報告]
12月11日のゼミは萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』の第3章「パックス・アメリカーナと金融危機の鎮静化」の「3 国際収支危機とケネディ政権−1960年「ドル危機」と金価格高騰」「4 国際収支危機とジョンソン政権―1967年「ドル危機」と金プール協定の破綻」を行いました。1957〜58年経済恐慌は金融危機を伴っていないが、戦後ニューディール体制が揺さぶられ始めた。1960年金価格高騰というドル危機は、アメリカの貿易黒字が急減し、移転収支は赤字、海外軍事支出・経済援助の拡大、資本輸出の拡大で、世界各国でドル短期債権が膨大に蓄積されアメリカの金保有額を超えた。ケインズ主義政策に基づき戦後ニューディール体制を支え、ケネディ政権の政治基盤を形成した巨大輸出企業は現地生産・現地販売へと転換した。戦後IMF体制は固定相場制のもとドルを国際通貨としたが、通貨当局の重金主義的行動で制約を受けていた。国際収支危機の深刻化で1968年には金プール協定が破棄され、金の二重価格制となったが、直接的要因はヴェトナム戦争であった。ジョンソン権は資本流出に対して直接投資抑制策を行った。しかしそれは多国籍活動の規制ではなく活発化から多くの収益をアメリカに還流させようとする政策であった。ニクソン政権では資本移動の完全に自由な体制が実現され、戦後ニューディール体制の崩壊は不可避となった。
討論では、1957〜58年恐慌は不況ではないか、リーマンショックを恐慌とするのか、恐慌の定義がない。ケインズ主義とニューディールの関係はどうか。ケネディは軍事ケインズ主義との指摘。多国籍化の問題は大きい、資本輸出では対外収支が赤字となり、アメリカで製品を作らず輸入することになり、黒字が縮小する。国際通貨のドルとして欧州にドルがたまり、ユーロダラーが成立する。政府の行動では、資本の側での金融資本・製造業・資本輸出と、国内の農業生産者・労働者との間の綱引きが政策に反映している。金融資本の動きを書いているが、この時代にバラン・スウィージーが自己金融化を分析したが、その関係はどうか。

*1月8日ゼミでは、萩原本の第4章前半、1節・2節を行います。
*次回の会場は、いつもの淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
12月25日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻30章 貨幣資本と現実資本T

1月8日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第4章 自由主義(前半)

1月22日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻31章 貨幣資本と現実資本U

2月12日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第4章 新自由主義(後半)

その後 2/26, 3/11, 3/25, 4/8, 4/22, 5/13(アイクルの部屋)

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2019年12月6日号

彼の東大経済学部がマルクス経済学の専任講師を置かず、と学部長発言報道あり。その事実はなくNIKKEI STYLE編集者の独断と釈明。その真相、背景に何が・

[第800回ゼミ報告]
11月27日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻第29章「銀行資本の構成諸部分」を行いました。この章では銀行資本を資産(借方)の側から研究する。銀行学派は通貨と資本を区別するが、啓蒙された経済学では貨幣は資本ではないという。銀行の持つ資産は大部分が現実の価値を表さない架空資本・擬制資本である。公信用として国債自体は資本として投下されず国務に費消しマイナスの資本として表れ、架空資本の運動である。労働力は利子を生む資本であると解釈され、労働者は利子を手に入れるため労働しなければならないという、無思想な資本観念に固められる。株式は前貸資本であり現実資本に見えるが、剰余価値に対する配当請求権であり、幻想的・投機的なものである。預金は常に貨幣であるが、現実には利子生み資本として貸し出され、預金者相互の相殺という役割を持ち、単なる帳簿金額として機能する。貨幣資本の大部分は貸し出される資本であり、預託資金では無く、純粋に架空的である。1844年銀行条例廃止後、金準備の保証なしに国家保証の下で銀行券発行が可能となり、紙幣の架空貨幣資本が創造され前貸しされた。ビルブローカーは準備金を持たず銀行に割引手形を担保に短期の借入をし、銀行はその手形を再割引するが、結局ビルブローカーは銀行準備金を利用して巨額の架空取引を行っている。
討論では、この章の草稿をマルクスが書いたのが1865年、エンゲルスが編集して出版したのが1894年で約30年の時間差があり、その間に資本主義はさらに、金融資本化への道を進み、また大工業化と独占体などと姿を変えている。その新しい現象をマルクスは予想はしても、エンゲルスは現実に見ていて、それが利子生み資本論の編集に影響している。銀行資本の分析から架空・幻想・物神性を見ている。商品取扱資本は架空ではないが、貨幣取扱資本では架空性が問題となる。労働力の利子生み資本論は現代の人的資本論・人財論に通じる。

*前回のゼミで第800回となり、皆さんで記念写真を撮りました(写っていない方もおられます)。次回から43年目に入りました。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
12月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第3章 アメリカ(後半) 

12月25日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻30章 貨幣資本と現実資本T

1月8日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第4章 新自由主義的・・

1月22日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻31章 貨幣資本と現実資本U

その後 2/12, 2/26, 3/11, 3/25, 4/8, 4/22, 5/13(アイクルの部屋)


800回記念写真

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2019年11月22日号

桜を見る会、出席した人に誰からのご招待と問えば、後援会からのお誘い、前夜祭はどうだったと問えば、激安会費で旨い寿司に、さすが総理、と答えた、とか

[第799回ゼミ報告]
11月13日のゼミは、萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第3章「パックス・アメリカーナと金融危機の鎮静化―J.M.ケインズと戦後ニューディール体制の時代」の前半「1.ケインズ主義的財政・金融政策の確立―戦後ニューディール体制の歴史的意義」「2.1957年〜58年経済恐慌と寡占企業―金融危機なき経済恐慌はどのように起こったのか」を行いました。大恐慌以後1971年の金ドル交換停止まで、金融危機の勃発は鳴りを潜めたのは、大金融業者・株式仲買人を、通貨信用の中央集権的管理とケインズ的財政政策により、封じこめたからである。戦後ケインズ財政は多額の国債を金融市場にもたらしたが、1951年の財務省と連邦準備制度理事会による「アコード」で戦後の金融政策が確定し、連邦準備制度の財務省への従属に終止符が打たれた。1957〜8年経済恐慌は戦後アメリカにおける本格的な経済恐慌であったが、鋭い金融危機を伴わず、また物価も下落せず、逆に上昇するという特徴を持っていた。企業売上の急減は企業の操業度を減少させ企業利潤率の急減を引き起こすが、寡占経済では価格を上昇させ、売上利益率を維持する戦略をとる。X字型回復ののちケネディの財政支出政策は軍事ケインズ主義の確立である。
討論では、冒頭に報告者から、この本の分析がアメリカに限定されているが、この時代のアメリカは先進国で唯一の非戦災国ということで特殊な立場にあり、これで世界経済を代表させることはできないのでは、との指摘があり、それに対して、この本が2019年度のアメリカ経済史学会賞を受賞しているように、著者の50年にわたるアメリカ経済分析の集大成の本である。世界経済というよりアメリカ金融史で、その点ではアメリカオンリーであり、ヨーロッパや日本との関連があまり書かれていない。資本論との関係では、歴史的に違いを書くが、共通の法則・論理の叙述がここでは必要だ。この時代の特徴としてバラン・スィージーの独占資本による自己金融と多国籍企業化が問題である。

*次回は第800回ゼミとなります。1977年10月20日に始まった当ゼミは、足掛け42年目を過ぎ、43年目に入りました。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
11月27日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻29章 銀行資本の構成諸部分

12月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第3章 アメリカ(後半) 

12月25日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻30章 貨幣資本と現実資本1

1月8日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第4章 新自由主義的・・

その後 1/22, 2/12, 2/26, 3/11, 3/25, 4/8, 4/22, 5/13(アイクルの部屋)

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2019年11月8日号

最初から無理と指摘されても進めてしまうのが今の政治。私的資本の儲けの論理が動く試験に公共性はなく公平性もゆがめられる。なんと直前でやっと中止

[第798回ゼミ報告]
10月23日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻28章「通流手段と資本:トゥックとフラートンとの見解」を行いました。28章は通貨の前貸しと資本の前貸しを論じた個所として様々な読み方がおこなわれ、エンゲルスが明記しているように、彼の書き込みでその適否を巡って議論が絶えなかった。通貨と資本の区別について、トゥックの議論の根底には基本的な概念の混同がある。商人と消費者間の取引は貨幣の流通であり、商人相互の取引は資本の流通であると見誤り、収入の貨幣形態と資本の貨幣形態の区別であり、通貨と資本の区別ではない。貨幣はいつでも蓄蔵貨幣の形態で、その金属製の肉体での存在という見解に対して、マルクスの批判では、需要は資本として金ではなく、貨幣資本の絶対的形態としての金にたいして生じ、資本としての資本ではなく、貨幣として資本である。金の流出は単なる資本の問題ではなく、独自の機能をもつ貨幣の問題であり、国際支払手段としての世界貨幣の問題である。国内的流通手段・支払手段の運動は、世界貨幣としての貨幣の運動とは関係なく、国内で実現される商品の総価格の運動によって規定される。恐慌時の通貨流通を検討したのち、逼迫の時期の問題は貨幣形態にある資本と商品形態にある資本の対立であり、求められるのは貨幣形態にある資本である。ただ恐慌期の資本不足が必然的な付随現象ではなく、恐慌の原因は商品の供給過剰であり、それは後で論じられる。
討論では、マルクスの原稿へのエンゲルスの編集は26章と28章との間に27章を入れた。本来は通貨論争として26章の次に28章が来るべきだ。イギリスでは中央銀行の機能はイングランド銀行に集中されたが、それまでは各地の私営銀行が紙幣を発行していた。それは商業資本の発展が関係している。私営銀行にとって資本は架空資本である。

*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
11月13日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第3章 アメリカ(前半) 

11月27日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻29章 銀行資本の構成諸部分

12月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第3章 アメリカ(後半) 

12月25日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻30章 貨幣資本と現実資本1

その後 1/8, 1/22, 2/12, 2/26, 3/11, 3/25, 4/8, 4/22(アイクルの部屋予定)

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2019年10月18日号

かつては事前の予告なしに、いきなり台風に巻き込まれ、大きな被害が広がった。今日、我々は時々刻々と予想進路と規模を知るが、それでも大きな被害が19号

[第797回ゼミ報告]
10月9日のゼミは萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章「戦間期における世界恐慌―1929年大恐慌における金融危機の論理」の後半「3.大恐慌の悪化(1931年末〜32年)」「4.大恐慌の帰結(1933年3月)」を行いました。1931年末の金融危機は29年10月の危機を上回る深刻なもの、29年が「株式恐慌」とすれば31年は「証券取引所恐慌」であった。この要因には重化学工業の寡占大企業における資本蓄積の深刻な危機であり、生産高を急減し雇用を極力抑えた。国内の信用破綻からの貨幣飢饉により31年中葉から通貨流通高が急激に上昇した。ここでの復興金融公社(RFC)は巨大金融独占への援助機関として機能し、大資本を救済することを目的とした。33年には4日間の全国銀行休業を行ったが、それは「休日」ではなく「全滅」と呼ぶのが適切である。大恐慌の激化から回復にかけて、欧州でのイギリスやドイツのブロック化によりアメリカ経済は欧州への貿易を相対的に低下させた。
討論では、恐慌への対策は結局トップ企業のみが生き残るものだ。農業地帯の銀行破産が激化したということは農業恐慌で大企業化した過程ともいえる。3章初めの「大金融業者と株式仲買人を封じ込めた」とはどういう内容なのか、彼らの何が悪かったのか。グラス・スティーガル法は国家装置として有効に機能した。4日間の銀行休業で何が行われたのか、払い出し用現金の準備、決済の延期など。ローズヴェルトの階級的基盤は何か、自由主義。国債による架空貨幣資本蓄積の急増という歪曲を正すというが、何を正すのか、むしろ歪曲の完成ではないか。

*働き方ASU-NETのつどい『この働き方、おかしくない? 「雇用によらない働き方」を考える』(10月30日(水)18時30分、エルおおさか)を行います。基調講演は、北健一さん(ジャーナリスト)です。ご参加を
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
10月23日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻28章 通流手段と資本T&F

11月13日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第3章 アメリカ(前半) 

11月27日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻29章 銀行資本の構成諸部分

12月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と資本論』第3章 アメリカ(後半) 

その後 12/25(アイクルの部屋)

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2019年10月4日号

「越後屋お主も悪よのう」、「いえいえお代官様ほどでは」、とは時代劇の世界だけではなかった。お菓子の底に小判を忍ばせ、K電力役員と原発町元助役が密議。

[第796回ゼミ報告]
9月25日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻第27章「資本主義的生産における信用の役割」を行いました。貨幣そのものは流通費を節約し、信用によってさらに節約され、加速化される。株式会社の形成で規模が拡大し、資本の限界内の私的所有としての資本の止揚であり、機能資本家は経営者に転化し、資本所有者は貨幣資本家に転化する。カルテルが結成され、個々の事業部門が統一的指導をもつ一大株式会社に集中する。資本の集中・巨額の収奪の最終目標は個人からの生産諸手段の収奪であるが、社会的生産の発展により、結合された生産者の生産手段は社会的所有となりうる。株式制度のうちに社会的富と私的富との対立が新たな姿態を作り上げる。資本主義的株式企業も協同組合企業も結合的生産様式への過渡形態だが前者は消極的、後者は積極的に止揚される。
討論では、株式会社で一般的利潤率の均衡化に参加しないとは何か(S453)、いっさいの尺度・一切の弁明の根拠が消滅するとは何か(S455)。この時代では銀行券が中央銀行でなく各銀行がそれぞれ発行していた。株主全員が平等ではない、一般株主は配当を受け取るだけだが、一部の支配株主は利潤率による内部留保にも関わる。鉄道などはC+VのCの固定資本が大きく利潤率の均等化には参加しない。社会的富が新たな姿をとるとは、古い協同組合から新たな協同組合を展望し、そこで信用制度を論じている。未来社会論について過渡期は長い・社会主義と労働証券などを議論する。

*10月9日ゼミは、萩原伸次郎本の第2章「戦間期における恐慌」の後半「3.大恐慌の悪化」「4.大恐慌の帰結」を行います。
*働き方ASU-NETのつどい『この働き方、おかしくない? 「雇用によらない働き方」を考える』(10月30日(水)18時30分、エルおおさか)を行います。基調講演は、北健一さん(ジャーナリスト)です。ご参加を
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
10月9日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章戦間期(後半) 

10月23日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻28章 通流手段と資本T&F

11月13日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第3章 パックス・A 

11月27日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻29章 銀行資本の構成諸部分

その後 11/27, 12/11, 12/25(アイクルの部屋)

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2019年9月20日号

石油原油市場が一時高騰、なんとドローン戦隊が精油設備を攻撃したとのこと。
設定された目標に向かい進むドローンに、そこに人がいるとは通じない時代に

[第795回ゼミ報告]
9月11日のゼミは萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章「戦間期における世界恐慌―1929年大恐慌における金融危機の管理」の「1.大恐慌の歴史的前提」と「2.大恐慌の発生(1929年10月〜(30年末))を行いました。マルクスの時代の恐慌は貿易金融がカギを握っていたが、アメリカでは20世紀にはいり金融独占が活躍していた。大恐慌へ進む構造的要因は、第一次大戦後の第一次産品の過剰生産、欧州の失業構造化、国際通貨体制の不安定化、ドイツ巨額賠償問題である。アメリカ投資銀行による外国投資で過剰貸付があり、株式市場が投機的現象・信用膨張・一大株式投機ブームがおこった。信用の動揺・攪乱、物的富の貨幣転換・信用主義から重金主義への転化ということで、29年恐慌はマルクスの時代と違い産業寡占・巨大金融機関支配時代に、ヴァルガの予想通り起こった。多くの銀行が破産する中で、金融独占は流動性を維持していたし、また巨大寡占企業は生産低下で労働者の大量解雇で乗り切った。恐慌後は自動車・機械・鉄鋼の寡占大企業は雇用削減・価格下落阻止で倒産を防ぎ、資本ストックは膨大な規模で存続していた。恐慌でアメリカからの金流出が起こったが、それは一時的なもので、貿易黒字堅持・利子配当の高水準などによりアメリカへの金流入が起こっていて、恐慌を緩和していった。しかしそれが各国での金本位制停止を引き起こしていた。
討論では、29年恐慌は過剰生産恐慌であったのかどうか。この段階では金本位制であり、金の流出入が問題となる。恐慌の本来の解決は、軍事部門を主体として第2次世界大戦である。

*9月25日ゼミは、『資本論』第3巻27章「資本主義的生産における信用の役割」です。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
9月25日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻27章 資本主義・・信用の役割

10月9日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章戦間期(後半) 

10月23日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻28章 通流手段と資本 T&F

11月13日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第3章 パックス・A

その後 11/27, 12/11, 12/25(アイクルの部屋

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2019年9月6日号

デモ行進にゆれる香港、背後の中国が米国の仕掛ける関税戦争のルツボにはまり、EU離脱どうする英国、そしてかつての隣国支配に頬被りの我が国あり・・

[第794回ゼミ報告]
7月24日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻26章「貨幣資本の蓄積。それが利子率におよぼす影響」の後半(新日本版P.720,S.432から)を行いました。ノーマンの議会証言への批判で、利子率は何によって規制されるのか、現金払いと信用買いとの差額であり、貨幣資本の需給で規定される。オウヴァストンへの批判では、商品と貨幣資本の需給関係を取り違えて、1847年恐慌での高利子率は再生産過程の攪乱で貨幣資本の逼迫が爆発にいたった。貨幣資本の価値の増大には現実資本の貨幣価値の低下が対応し、利子が上昇したのは、利潤が減少し、商品の貨幣価値が下落したからである。産業的生産の拡張に伴い信用制度を基盤として産業的生産が拡張される。手形振出は信用貨幣への転化であり、手形割引はほかの信用貨幣・銀行券への転化である。有価証券担保の前貸しは、貨幣の前貸しであって、資本の前貸しではない、とエンゲルスは書く。マルクスは32章と33章で担保がない限り、また信用制度が発達すれば、支払い手段の需要は貨幣資本への需要としている。この部分は大谷禎之介によれば、MEGA「補論」の途中から終わりまであり、用紙の使い方からテキストして書かれたものでなく、議会証言への批判は32章にもあり、28章・33章とともに、「貨幣前貸しと資本前貸しを論じている。
討論では、日本では土地担保で、それにプラス連帯保証を求められる。失敗をゆるさず、アメリカに比べベンチャーが育たない。資本借入で新規事業では、イギリスでは鉄道投資から始まった。

*9月11日ゼミは、萩原伸次郎本第2章の前半、1〜2を行います。後半の3〜4は10月9日ゼミで行います。
*9月21・22日に、基礎研研究大会が大阪経済大学で開催されます。全体テーマは「森岡孝二の理論と実践」で、2日間にわたり森岡先生の理論と社会運動を議論します。また、2日目・22日午前の「森岡孝二研究」分科会では、松浦章さんと高田好章がそれぞれの森岡研究を報告します。森岡先生の追悼ビデオとラジオ放送も紹介する予定です。乞うご参加。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
9月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章戦間期(前半) 

9月25日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻27章 資本主義・・信用の役割

10月9日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章戦間期(後半)

10月23日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻28章 通流手段と資本 T&F

その後 11/13 11/27, 12/11, 12/25(アイクルの部屋)

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2019年7月19日号

建物から黒い噴煙が空へ湧きあがり、窓からは炎が赤く噴き出て、戦場のような、これが日本の京都だと信じられない光景に、なぜこんな事が、言葉がでない。

[第793回ゼミ報告]
7月10日のゼミは、萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』の「はじめに」と第1章「パックス・ブリタニカと経済危機―19世紀国際金本位制下での金融危機の論理」を行いました。資本論第3部第5編を信用制度論か利子生み資本の分析か、大谷禎之介説に対して三宅義夫説を主張している。信用により取引・流通手段・紙幣代位で貨幣が節約される。信用による架空資本の形成が不可欠だが、金融危機では突然の減価で重金主義に変化する。そこでは支払手段機能が不可欠であるが、終極的には個人的消費よって限界づけられている。貸付・為替手形による信用膨張・鉄道投機熱により準備金が流出し、ピール条例で金融引き締め、ピール条例停止、そして産業的繁栄へ、再び崩落へと進む。1848年恐慌での生産の縮小・価格低下から、低利・貸付資本の豊富・産業資本の拡張で繁栄へ、過度の緊張から恐慌局面へ、下落した証券買い集めで、信用制度が発展する。パックス・ブリタニカでは国際的金本位制下での為替相場が貨幣金属の国際的運動のバロメーターであった。信用が揺らぐと、現実的な富は突然、金銀に転化される。
討論では、重金主義はカトリック的で、信用主義はプロテスタント的だがカトリックの基礎から解放されていない、とは、金銀に飾られたカトリック教会に対して、聖書のみによるプロテスタント教会とを比喩し、それでもカトリックに基礎、つまり神を信仰し、金を信じているということ。マックス・ウェーバーのプロテスタンティズムとの関連は。恐慌はこれまでは金融恐慌からではなく過剰生産恐慌から始まっていたが、1980年代末のS&L危機から金融危機から恐慌が始まったと主張している。パックス・ブリタニカでは10年周期恐慌ということか。

*7月24日ゼミは、資本論3巻26章後半、P.720(S.432)から行います。
*8月は、通年通りゼミをお休みします。
*9月11日ゼミは、萩原伸次郎本第2章の前半、1〜2を行います。後半の3〜4は10月9日ゼミで行います。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
7月24日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻26章 貨幣資本の蓄積・(後半)

9月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章戦間期(前半)

9月25日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻27章 資本主義・・信用の役割

10月9日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎『世界経済危機と『資本論』』第2章戦間期(後半) 

その後 10/23, 11/13 11/27, 12/11, 12/25(アイクルの部屋)

[一番上に]


2019年7月5日号

晩餐会招待に、にこやかに握手はしてはいるが、互いの腹の中の探り合いでは。グレー[Gray]な人たちが20人集まるから「G20」という説も聞こえてくる。

[第792回ゼミ報告]
6月26日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻25章後半P.700(S.423)から26章前半P.720(S.432)までを行いました。国債証券・株式の下落、ロンドン・マンチェスター・東インド間の船荷での商品売買に船荷証券と為替手形がやり取りされ、金融市場で担保に入れられ貨幣を手に入れるという、投機損失を埋め合わせる「いかさま」なやり取りは、スエズ運河と電信の発達で不可能となった。鉄道発展期での投資は大きな詐欺に結びつき、高利な鉄道株で借り入れが行われ貨幣投下され、手形が銀行の準備金となった。中国市場・モーリシャスのサトウキビで過剰な取引が船荷証券を巡って行われ、融通手形まで出てきた。1847年恐慌の原因調査では、鉄道建設による信用の拡張もあり、手形を介して大量の輸入と消費の低下をもたらし、投資を回収できなくなったのが原因である。イギリス・インドの両市場で過剰競争によって、両市場とも投資が回収できない、それは1847年の10年後の1857年夏の事態である。輸入超過で銀行から貨幣が流出し、銀行法を停止させたが、それがなければ破産者が続出したのである。諸取引の制限と貨幣の過剰から、恐慌では銀行券を入手することが困難となる。結局は生産階級よりも貨幣取り扱い業者に有利となる。
討論では、船での商品売買で為替手形と船荷証券のやり取りに詐欺的手口があるが、電信とスエズ運河で不可能となるとあるが、現在でも詐欺的手口はあるのでは。手形は今はインターネット上のやり取りになっている。信用は製造業を大きく発展させ、さらに鉄道網と株式は相互に発展させた。過剰生産恐慌というのは資本主義のみの現象である。エンゲルスが編集したこれらの章への研究の結果、大谷禎之介は「信用制度論」ではないとの説に対して、萩原伸次郎・三宅義夫の反論がある。

*7月10日のゼミから、新しいテキスト、萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」(新日本出版、2018)が始まります。
*7月24日ゼミは、26章前半P.720(S.432)から行います。
*8月は、通年通りゼミをお休みします。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
7月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」第1章 パックスB 

7月24日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻26章 貨幣資本の蓄積・(後半)

9月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」第2章 戦間期 

9月25日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻27章 資本主義・・信用の役割

その後 10/9, 10/23, 11/13 11/27, 12/11, 12/25(アイクルの部屋)

[一番上に]


2019年6月21日号

逃げた犯人は山のベンチで寝ていて捕まり、ナイフを振り回す逃走犯は車を捨ててどこに逃げたのか。年金不足2千万円報告書は、受け取らないと逃げている。

[第791回ゼミ報告]
6月12日のゼミは、個人報告で、「D.ハーヴェイ『資本主義の終焉』について」を行いました。ハーヴェイの論の特色として、袋小路は致命的なのか、それは危険なのか、直面する選択肢は、と問い、17の矛盾を取り上げ、それに対する使命を対応させている。「資本主義」ではなく「資本」がもたらす基本的な7つの矛盾を示す:使用価値と交換価値、労働の価値と貨幣、私的所有と国家、私的領有と共同の富、資本と労働、資本は過程なのか物なのか、生産と資本増大の実現。報告は第3部を中心に、個々の企業は複利で成長を目指すが社会的集計で可能か、環境危機=資本主義終焉論に疑問を出し、人間性の疎外と反抗では労働の疎外から必要の疎外、解放のための政治、右翼運動の台頭のような政治対応の矛盾を取り上げ、最後に、資本主義以後の社会として、人間主義の光と影、人間性の追求と革命的暴力との矛盾と、資本に抗する革命的人間主義を出す。最後に、17の矛盾に対して、17の目標・使命を提示する:使用価値・交換手段・共同権・領有の制限・階級・生活速度・生産決定・技術・分業・連合体・地理の多様化・平等・再生産・自由・ゼロ成長・自然・疎外、である。報告者から私見として、革命的ヒューマニズムとは何か、まず変革の行動をする人々を組織する原理が重要として、理念としてユーゴの自主管理での職場と地域での決定権を伴う民主主義での運営を取り上げる。日本語版解説では、自動崩壊論を否定しているという。さらに、資本・資本主義の終焉をテーマとして、水野和夫、若森章孝、メイソン、シュトレーク、ライシュ、ゴルツの著書を紹介し論点を示した。
これに対して参加者からの討論は広範囲に行われた。

*7月10日からのテキストは、萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」(新日本出版、2018)に決まりました。
*6月26日ゼミは、25章後半P.700(S.423)から26章前半P.720(S.432)まで行います。
*8月のゼミ開催(8/14, 8/28)の有無がまだ決まっていません。昨年・一昨年は休みました。一応、8月のゼミは休みとして予定しておきます
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
6月26日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章(後半)・26章(前半) 

7月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」第1章 パックスB 

7月24日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻26章 貨幣資本の蓄積・・(後半)

9月11日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」第2章 戦間期 

その後 (8/14, 8/28) 9/25, 10/9, 10/23, 11/13 11/27, 12/11, 12/25

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2019年6月7日号

某大国の国賓、イギリスで人種差別的政策に大規模な反対デモが待ち受け、官邸猫の妨害で立ち往生。さて日本、江戸将軍でもできなかった桟敷に椅子の異常接待。

[第790回ゼミ報告]
5月22日のゼミはマルクス『資本論』第3巻25章「信用と架空資本」(前半 P.700(S.423)まで)を行いました。第5編は信用制度と利子生み資本を論じたものではなく、あくまでも、信用制度のもとにおける利子生み資本そのものを論じたものである。25章から27章までは信用制度の概説である。信用制度と諸道具の立ち入った分析であるが、公信用は対象外になっている。商品は手形と引き換えに販売される。手形は商業貨幣を形成するが、相互的前貸しが信用の本来の基礎をなる。それに対し、本来の信用貨幣である銀行券は貨幣流通ではなく手形流通に基礎を持っている。貸付可能資本は銀行が自由に前貸しできる資金として、生産者・商人の準備金・預金などで銀行に流れ込む。草稿とエンゲルス版との対応表が示された。
討論では、製造や商業取引では利潤率を巡って争われるが、信用取引・信用制度・利子生み資本まで行くと、利子を巡る取引が問題となる。これは株取引についてもいえる、その会社の利益ではなく株価が問題となる。銀行券を持参払いとして扱う。イングランド銀行の銀行券だが、土地銀行である。Nationalkreditの訳は「国家信用」(新日本新書)と「国民信用」(長谷部訳)と違っているが、どうか。ここでの信用には公信用は除外されている、いま問題になっているMMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)では、財政赤字にたいしてお公信用が重要な論点となっている。国債残高がGDPの2倍以上になっているが。

*6月12日のゼミは、竹内たかおさんの個人報告で、報告内容は「ハーヴェイ『資本主義の終焉』についてです。
*次回ゼミで新テキストを決めます。テキスト候補は、エレン・メイクシンズ ウッド『資本の帝国』、斎藤幸平『大洪水の前に: マルクスと惑星の物質代謝』、萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」です。
*6月26日ゼミは、25章後半P.700(S.423)から26章前半P.720(S.432)まで行います。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
6月12日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
個人報告 ハーヴェイ『資本主義の終焉』について     

6月26日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章(後半)・26章(前半) 

7月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
〈テキスト未定〉

7月24日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻26章 貨幣資本の蓄積・・(後半)

その後 (8/14, 8/28) 9/11, 9/25, 10/9, 10/23, 11/13 11/27, 12/11, 12/25

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2019年5月17日号

5月上旬、角田修一先生の研究室に伺い、手にした『賃労働と資本』と『賃金・価格・利潤』の文庫本には蔵書印と赤線と書き込み・読了日が。記念にいただく

[第789回ゼミ報告]
5月8日のゼミは、角田修一『社会哲学と経済学批判』の「第16章 民主主義と資本主義」を行いました。この章ではアメリカのラディカル派経済学、とくにボウルズ、ゴードンを取り上げる。大企業体制を超えて経済の民主的対策を論じて、「経済の権利章典」には民主的労働現場の権利、経済の未来を決める権利、より良き生活様式委の権利などを提唱する。民主主義と資本主義の間の矛盾を個人の権利と所有権との対抗・衝突の関係と理解し、マルクス(主義)には選択の条件、個人の尊厳など、基礎的な理論的用語が欠落しているという。資本の3つの権力:生産労働に対する指揮命令の権利、投資に対しての支配権、国家の経済政策への影響力の行使、が備えられているという。そして「経済」民主主義から民主主義の「社会」理論へと展開する。ポスト・リベラル民主主義の経済学では、21世紀の社会経済学は、19世紀の資本・土地・労働ではなく、身体・労働・知識の「三位一体」だという。
討論では、報告者から、民主主義と資本主義との関係が存分に論じられず、それはボウルズ達の見解を下敷きしたからであり、著者独自の展開がほしい。この本の全体をみると著者の幅広い問題意識を具現化し、マルクスの枠にとどまれず、その問題意識・研究室に態度は敬意を評したいと、角田氏への賛辞を送られた。討論では、「言説」がよく出てくる、語ること、見解であろうか。構造主義の影響はどうか。2018年4月11日ゼミから1年余り、13回のゼミで、角田本を終えました。

*5月22日ゼミの資本論3巻25章はP.699(S.423)まで。6月26日ゼミで、その後P.700(S.423)から26章前半P.720(S.432)まで行います。
*6月12日のゼミは、竹内たかおさんの個人報告で、報告内容は「ハーヴェイ『資本主義の終焉』についてです。
*5月8日ゼミで角田本が終わりました。次のテキスト候補に、エレン・メイクシンズ ウッド『資本の帝国』、斎藤幸平『大洪水の前に: マルクスと惑星の物質代謝』、萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」が出ています。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
5月22日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章 信用と架空資本(前半)

6月12日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
個人報告 ハーヴェイ『資本主義の終焉』について    

6月26日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章(後半)・26章(前半) 

7月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
〈テキスト未定〉

その後 7/24, (8/14, 8/28:未定) 9/11, 9/25

[一番上に]


2019年5月3日号

時代をどのように切り分けるか。個々の人々で、様々な集団で、学問分野で、さらに世界の人々によって異なる。ここ数日テレビの一色に、そんなことを考えた。

[第788回ゼミ報告]
4月24日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻24章「利子生み資本の形態における資本関係の外面化」を行いました。貨幣資本と利子生み資本について、この章の初めの部分に延々と概念的な記述が続く。利子生み資本により資本関係が最も物神的な形態に到達した。資本の一般的形態では社会関係が対立しているが、利子生み資本では消え去っている。資本が大きさという量の関係で直接に自己を増殖する価値として現れる。G−G’は没個性的な概念で、完成された資本である。潜勢的に自己増殖する価値として貸し出される。資本の単純な姿態で、再生産から独立した形態となる。それは、俗流経済学では願ったり叶ったりの形態である。ルターは利子を他人の労働による贅沢を指摘して論難した。もし複利で貸し付ければ、天文学的な数字となり、財政運営にとって有利と描くが、社会的生産力の発展で資本価値が減少することを見ていない。
討論では、株式は庶民も行っていて、投資信託に投資をしている現実をどう考えるのか。「物化」という訳語に「ザッハ」とフリガナするのはおかしい。ここではVersachrung となっている。マルクスは馬鹿話としてミュラーを取り上げているが、ロマン主義経済学者で、共同体・市民社会を論じていて、一蹴できない。「外面化」とあるが、顕在化、現れ出るといいうこと。利子に対する宗教上の非難が出てくるのは、それが広く行われているから。イスラム教での利子は。ユダヤ人とはどう規定するのか。

*5月8日ゼミで角田本が終わります。次のテキスト候補には、萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」が出ました。5月8日ゼミで推薦するテキストを持ち寄りください。次のテキストを決めます。
*またまた悲しい知らせが入りました。大谷禎之介先生が4月29日に亡くなられました。近々、恐慌論の本が共著で出る予定です。
*5月22日ゼミの資本論3巻25章はP.699(S.423)まで。6月26日ゼミで、その後P.700(S.423)から26章前半P.720(S.432)まで行います。
*6月12日のゼミは、個人報告で、報告内容は「ハーヴェイ『資本主義の終焉』についてです。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
5月8日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第16章民主主義と資本主義

5月22日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章 信用と架空資本(前半)

6月12日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
個人報告 ハーヴェイ『資本主義の終焉』について   

6月26日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章(後半)・26章(前半) 

その後 7/10, 7/24, (8/14, 8/28:未定) 9/11, 9/25

[一番上に]


2019年4月19日号

消費税を上げるとか、上げないとか。解散するとか、しないとか。発言させたとか、個人の見解とか。発言者は側近、となれば、アドバルーンを上げて様子見か。

[第787回ゼミ報告]
4月10日のゼミは、角田修一『社会哲学と経済学批判』第15章「抗争的交換と可変資本節約法則の展開―ラディカル派経済学の労働過程=労働市場論とマルクス」を行いました。現代アメリカのラディカル派社会経済学者・ボウルズとギンタスを取り上げ、資本制生産組織を特徴づけるものとして、企業内階層性・ヒエラルキーが搾取手段であり、労働規律が企業ヒエラルキーを正当化し、資本蓄積を行う。利潤・支配という至上命令のもと、少数が多数を支配する形は民主主義とは正反対である。資本主義社会での階級・階層・所有・権力を解くカギを見つけようとする。ここから、ポスト・リベラル民主主義における経済民主主義と民主的企業システム、労働の場における民主主義への展望をみる。抗争的交換理論はラディカル派の新しい理論体系であり、可変資本節約法則から非自発的失業の存在を説く。資本と労働の関係に強制関係・権力関係の内在をみる抗争的交換理論は、マルクスとの連続性・共通性があり、マルクス理論を現代的展開する上での不可欠の課題であるという。
討論では、絶対的剰余価値があって相対的剰余価値がある、「強制」が絶対的剰余価値ということか。制度としての強制。強制・支配の法則とは何か。資本の人格化が資本家、「物と物の関係」と「人と人の関係」の関係。過労死は資本主義でなくなると消滅するのか。やりがい・いきがい過労死、昔も過労死はあった。支配・統制と暗黙の支配。ショートサイド、ロングサイドとは、取引に有利かどうか。

*5月8日ゼミで角田本が終わります。次のテキスト候補には、萩原伸次郎「世界経済危機と『資本論』」が出ました。5月8日ゼミでテキストを持ち寄り、次のテキストを決めます。
*悲しい知らせが入りました。今読んでいるテキストの著者:角田修一先生が4月17日にお亡くなりました。お元気だったら、ゼミに来ていただき、直接いろいろと教えていただきかった、それがかないませんでした。
*6月12日のゼミは、竹内たかおさんの個人報告で、報告内容は「ハーヴェイ『資本主義の終焉』についてです。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
4月24日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻24章 利子生み資本・・外面化

5月8日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第16章民主主義と資本主義

5月22日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章 信用と架空資本   

6月12日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
個人報告 ハーヴェイ『資本主義の終焉』について 

その後 6/26 (アイクルの部屋)

[一番上に]


2019年4月5日号

にわかに「万葉集」ブームが到来、書店へ多くの人が行くとか、大宰府には多くの人が訪れるとか、春日大社にも立札がたてられたとか、便乗詐欺まで出ている

[第786回ゼミ報告]
3月27日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻23章「利子と企業者利得」の後半(P.641 ,S.392から)を行いました。現実の生産過程では労働力と対立し、不払い労働を取得する手段として現実資本は機能するが、利子の形態では賃労働との対立は消滅している。利子生み資本は所有する資本として機能資本と対立する。利子は利子率により規定されるのに対し、企業者利得は生産的労働の搾取として資本家自らの「骨折り」が必要となる。企業者利得は賃労働に対立する監督賃金として、複雑労働で自分自身に高額な賃金を払う観念が展開される。利子は単なる所有者であることによるが、企業者利得は使用する資本の非所有者であっても機能資本家に帰属するという対立がある。利子は生産からの超過分だが、利子生み資本が生産と関わりなく利子を生むという属性を廃除しない。生産過程が資本から切り離されれば、産業資本家は資本所有者と区別され、資本と関わりない職務執行者として、賃労働者として現れる。指揮・監督の労働はあらゆる社会的労働から生じるが、それゆえ監督賃金の正当化の根拠とされる。それがまた資本家を余計な人物とする。
討論では、企業者利得の一部分が監督賃金ということか、それでは、日産のゴーンが多額の報酬をもらうことと、ソフトバンクの孫正義・ユニクロの柳井正の報酬との違い、ゴーンは管理人報酬で多くもらうことで隠そうとするが、後者は高額でも問題にされない。所有資本と機能資本の間には利子と企業者利得、監督労働に対する賃金はその分割となる。所有資本・利子生み資本には、搾取の責任がない、ということになる。第5編は貨幣資本と現実資本の対立をとらえている。搾取する労働と搾取される労働は同じ労働である、との記述(p.648,S.396)、ここで資本の社会的形態が利子として表現、資本の経済的機能が企業者利得として抽象化されると、まとめられている。オーケストラの指揮者の存在はどのような組織でも必要。

*第2週ゼミでのテキストの件、5月8日ゼミで角田本が終わります。次回4月10日に次のテキスト候補を皆様から提案願い、話し合います。
5月8日ゼミでテキストを持ち寄り、次のテキストを決めます。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
4月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第15章 抗争的交換・・

4月24日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻24章 利子生み資本・・外面化  

5月8日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第16章民主主義と資本主義

5月22日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻25章 信用と架空資本   

その後 6/12, 6/26 (アイクルの部屋)

[一番上に]


2019年3月22日号

新幹線の東京行はE席に座る、富士山が見えるから。300年ぶりに噴火すると。御殿場で1m、新宿で1cmの灰と予想。窓から見えるは灰ばかり、否、不通!

[第785回ゼミ報告]
3月13日のゼミは、角田修一『社会哲学と経済学批判』第14章「価値論のコンフィグレーション―市場経済の生産関係アプローチ」を行いました。ここでは価値概念を対象に、ポスト・マルクスの価値論を取り上げて、マルクスの商品価値概念の優位性を明らかにし、マルクスとの断絶面と連続面を問題とする。コモンズは制度学派として価値論を展開した。価値のとらえ方を機械論的だけでなく心理学的価値があり、さらに取引価値として希少価値がある。新古典派の源流であるメンガーは、希少性・私的な支配欲求の表現として、消費者の主観的評価を取り上げ、価値の大きさは主観的なものであるという。ジェボンズは経済の目的を最小の苦痛で快楽・幸福を最大にすることであり、所有対象にならないものには効用を認めず、価値は交換比率であるとする。ワルラスは交換価値の理論を純粋経済学とし、社会経済学・技術・効用・利益は応用経済学であるとする。これに対してマルクスの理論的優位性は、生産を総体的に、生産・分配・交換・消費として把握し、商品生産の所有法則により、資本主義的取得法則を導き、私的労働の社会的性格をあきらかにし、私的労働が社会的形態の労働として社会的分業を問題にする。ここでは生産物の社会的配分は初めから考慮されている。取引価値論や効用価値論からのマルクスの価値論への批判があるが、結局、新古典派経済学は価値論を放棄したのである。
討論では、(注11)にある『序説』訳注のヘーゲルへの言及をまちがいとして、本質論ではなく、普遍・特殊・個別の三契機の指摘は正しい。制度派や新古典派を対象にして、コンフィグレーションをする角田氏の意欲は積極的に評価できる。帝国主義論として総括したレーニン以後、総括するような論者は出ていない。ここで、ポストマルクス、アフターマルクスとして、制度派・新古典派を対象にしたのは、マルクスの経済学批判と同じような問題意識をもっていたからだ。マルクスの価値論ととらえ方とは違うとらえ方を明らかにしている。

*3月27日ゼミは、『資本論』第3巻23章の後半(P.641 ,S.392から)を行います。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
3月27日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得・後半

4月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第15章 抗争的交換・・ 

4月24日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻24章 利子生み資本・・外面化

5月8日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第16章民主主義と資本主義

その後 5/22, 6/12, 6/26 (アイクルの部屋)

[一番上に]


2019年3月8日号

作業服に反射テープのベスト、作業帽にマスクとサングラス、凝った変装姿の男が脚立を載せたスズキのワゴンに。今年のハロウィン変装はこれで決まり!

[第784回ゼミ報告]
2月27日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻23章「利子と企業者利得」前半(P.641, S.392まで)を行いました。利子は生産的諸資本の運動にとって外的存在であり、自己資本のみでは利潤の分割は生じず、産業資本の運動とは無縁のものである。産業資本家は私人として自由に処分できるのは利潤だけで、貨幣資本家も利子だけである。総利潤から生産的資本家は利子を支払い、残る部分は産業利潤、企業者利得という形態をとる。利子は生産過程を度外視した資本所有の果実であり、企業者利得は生産過程からの資本の果実である。これらは量的な分割が質的な分割になる。利子が独自のカテゴリーとして実存すれば、総利潤のうち利子を超える部分が対立的形態をとるが、歴史的には資本や利潤の観念よりも前に、伝来の形態として実存し、利子が総利潤の一部分であるという事実は18世紀半ばにやっと発見された。産業資本家が自己資本か、あるいは借入資本で仕事するかということは、貨幣資本がひとつの特殊な資本として対立し自立するということを変えるものではなく、機能資本家と利子生み資本家との競争がどのように行われるのか。なおここで現行版ではマルクスの注が削除されている。
討論では、機能資本と利子生み資本との間に関わるような実際の競争はあるのか、ひとつの場で競争、あるいは利子生み資本同士の利子率での競争、機能資本同士の利潤をめぐる競争となる。総利潤の分割ではゼロサムの競争か。量的な区別が質的な区別に転化する。人格化として資本家の役割はどうか。総利潤が前章まで問題にされた、純利潤ははじめてか、企業者利得として。機能資本の場合も利子生み資本として自立化。利潤の偶然的な量的分割について共同出資では質的分割が転化しない、とはどういうことか。利子は平均利潤に参加するのか、商業利潤・地代の場合はどうか。

*3月13日ゼミは、角田本14章を行い、その後15・16章と続きます。
*3月27日ゼミは、『資本論』第3巻23章の後半(P.641 ,S.392から)を行います。
*次回の会場は、同じく淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
3月13日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第14章 価値論のコンフィ・・

3月27日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得・前半

4月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第15章 抗争的交換・・

4月24日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻24章 利子生み資本・・外面化

その後 5/8, 5/22, 6/12, 6/26 (アイクルの部屋)

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2019年2月22日号

まだまだ続く「統計不正」問題。とうとう「戦後最長の景気拡大」まで怪しくなってきた。「景気はどうでっか」と問えば、「ぼちぼちだっせ」と答えようか・・

[第783回ゼミ報告]
2月13日のゼミは、角田修一『社会哲学と経済学批判』第12章「大塚久雄共同体論の歴史と論理―前資本制生産様式における人格的依存関係と共同体」を行いました。本源的蓄積過程を共同体解体過程に求める大塚の見解には、マルクス『要綱』の方法への大きな誤解がある、と批判する。共同体の土地所有関係が前資本主義的生産の基礎であり、階級関係の両極分解を経て、封建制解体から中産的生産者層が進行して資本制へ移行し、その意識形態にプロテスタンティズムの経済倫理を読み取り、マルクスとウェーバーへの新たな架橋を作った。そもそも『要綱』研究で「諸形態」論のスタート地点が異なり、マルクスは資本となるべき貨幣資産の由来で商業・高利貸しを重要視し、貨幣の章で人格的依存関係が物象的依存関係になると説く。共同体が自己展開するのでなく、小ブルジョアの両極分解も産業資本の主要契機でなく、隷属関係解体と生存条件剥奪が労働者形成には決定的である。
討論では、大塚のウェーバーへの肩入れの問題、大塚史学に対する京大陣:堀江栄一・尾崎芳治からの批判がある。大塚は封建制というが、マルクスは奴隷制・農奴制と使い、違いは奴隷制・農奴制に共同体との関係を重視したのでは。歴史的な事実をどうとらえるか、土地所有と共同体、共同体解体における私的所有は実際にはどうなのか。概略図で、先行する共同体を「恵まれた関係」としているが、共同体で個人は本当に恵まれているのか、個人が埋没しているのでは。そこでの家父長制はどうなのか。現在では共同体として共有地の解体が重要である。アジアは水利権が重要であり、ヨーロッパではそのウエイトは低く、共有地・コモンズが重要視され、かつて山は農業にとっては重要で、今は科学肥料があるが。

*2月27日から会場は、「アイクルの部屋」(地下鉄・淀屋橋駅11番出口徒歩3分 大阪市中央区道修町3-3-10 日宝道修町ビル3階)です。
*2月27日ゼミは、『資本論』第3巻23章の前半を行い、後半は次回に回します。
*3月13日ゼミは、角田本14章を行い、その後15・16章と続きます。
*次回の会場は、初めての淀屋橋道修町・アイクルの部屋です。

****** ゼミ日程 *******
2月27日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得・前半

3月13日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第14章 価値論のコンフィ・・

3月27日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得・前半

4月10日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第15章 抗争的交換・・ 

その後 4/24, 5/8, 5/22, 6/12, 6/26 (アイクルの部屋)


「NPO法人働き方ASU-NET」事務所での最後のゼミ 2019年2月13日

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2019年2月8日号

豚コレラが愛知から長野・近畿圏に広がっている。異常発覚の翌日に出荷し感染が広がったという。さて官庁では、問題なのに発表し、統計不正の感染拡大あり

[第782回ゼミ報告]
1月23日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻22章「利潤の分割、利子率、利子率の「自然」率」を行いました。本章の主題は、現実の資本運動の存在を基礎に、利子生み資本の独立な姿と利潤に対する利子の独立化である。利子の量的限界は、最高は利潤そのもの(監督賃金を引く)でこれを超える場合機能資本家は損失をこうむり、最低はゼロに近くに貸し付けの手控えで規定できない。最高と最低の限度内の利子率を上下させるのは、機能資本家と貸付資本家との競争である。資本主義発展と利潤率との反比例、初期は利子率が高く次第に低くなる、資本主義以前は高利。産業循環と利子率の関係での詳細分析は考察の範囲外とする。自然的利子率や労賃の自然な率とかは存在せず、利子は剰余価値の純粋な量的分割から出てくる。利子率は常に一般的利潤率に規定されるが、利子率は日々固定された姿で現れる。
討論では、宇野派からの批判は利子率を原理論ではなく段階論とするものである。長い目で見ると利子が利潤を超えることはあるが、利子の量的な最高と最低をどのように見るのか、最初は利子率が単一資本同士の競争で決まるということで、総資本としてはどのように見るのか。利子率がゼロに近くなると、貸したくなくて資金を引きあげる、ということが起こるが、実際はどうか。ここでの金利生活者とはどのような階級か、貴族か。企業者利得と監督者賃金の違いはどうか、監督者・管理者とはオーケストラの指揮者、自ら演奏(労働)はしない、ということでいいのか。ビットコインの問題まで議論は進む。

*『資本論』第3巻23章は、2月27日と3月27日と2回に分けて行います。前半・後半の区切りは、報告者にお任せしています。
*2月23日に森岡孝二先生追悼のつどいが開催されます。この学科の創設から長く指導していただきました。皆様のご参加を待っています。
*会場の働き方ASU-NET事務所の利用は次回が最後となり、2月27日から会場は、「アイクルの部屋」(地下鉄・淀屋橋駅11番出口徒歩3分
大阪市中央区道修町3-3-10 日宝道修町ビル3階)に変わります。
*次回の会場は、いつもの南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
2月13日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
角田修一『社会哲学と経済学批判』第12章 大塚久雄  

2月27日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得(前半)

3月13日(水)午後6時半〜9時  淀屋橋道修町・アイクルの部屋
角田修一『社会哲学と経済学批判』第13章 制度化理論 

3月27日(水)午後6時半〜9時   淀屋橋道修町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得(後半)

その後 4/10, 4/24, 5/8, 5/22, 6/12, 6/26 (アイクルの部屋)

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2019年1月18日号

企業が品質不正の日本で、官庁が統計不正。毎勤調査を師は、不払い残業を含まず、性別がないことを批判。今度は正に、毎月「不正」勤労統計調査である。

[第781回ゼミ報告]
1月9日のゼミは、角田修一『社会哲学と経済学批判』第11章「シュモラーとウェーバーにおける社会科学と経済学の方法―ヘーゲルとマルクスからみた両者の差異」を行いました。ここでは、人間の社会経済関係と社会経済制度、社会経済的行為と社会経済的意義、この4つの相互関連を明らかにする。ドイツ歴史学派はドイツ観念論の流れで理論的方法を立てる。シュモラーでは国民経済は観念によって成りたち、メンガーなどオーストリア学派では対象を著しく狭いものにし、発展の問題を無視した、と批評する。またマルクスに対しては、因果系列の論理しか持たずというが、機械論的方法とはシュモラーの方である。またウェーバーに対しては、経済的なものと倫理的なものの関連でプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の論文を書いた、という。ヘーゲルが理論的理念と実践的理念が絶対理念で一体化され、マルクスは理論的概念把握の方法を受け継ぎ、ウェーバーは実践的理念がこの世界を作り出しているという考えを受け継いだ。マルクスとウェーバーの関係の検討は、日本の社会科学と経済学にとり不可欠の課題である。ポスト・マルクス経済学は、個人主義的な行為アプローチを批判し、前世紀から引き継ぐべき課題を発展させる必要がある。
討論では、20世紀最大の社会科学の源流に、ポスト・マルクスに、ウェーバーを何故入れるのか。ポスト・マルクスは、マルクス以後の経済学としてマルクス派のみではないか。三木清がマルクス主義にはいるのかどうか。ウェーバーは何故人気があるのか、支配・官僚制の分析、戦前のマルクス研究禁止でウェーバー研究へ。ヘーゲルとマルクスを一緒に扱うのに、疑問である。ハイエクはそれなりに理論的だが、フリードマンの罪は深い。

*2月23日に森岡孝二先生追悼のつどいが開催されます。この学科の創設から長く指導していただきました。皆様のご参加をお願いいたします。
*会場である働き方ASU-NET事務所の利用が2月末までとなり、3月以降は会場は、以前の天六・住宅情報C、あるいは他の会場を交渉中です。
*会場はいつもの南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
1月23日(水)午後6時半〜9時 南森町働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第3巻22章 利潤の分割……  

2月13日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
角田修一『社会哲学と経済学批判』第12章 大塚久雄   

2月27日(水)午後6時半〜9時  南森町働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得

3月13日(水)午後6時半〜9時 会場未定
角田修一『社会哲学と経済学批判』第13章 制度化理論  

その後 3/27 (会場未定)

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2019年1月4日号

新年おめでとうございます。今年は巷では、M.T.S.H.の後はと。我は、これまでもこれからも、数えの簡単なBC. AD. とY年(Yoshi年暦略)を使うなり、と

[第780回ゼミ報告]
12月26日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻21章「利子生み資本」を行いました。ここでは資本はその大きさに比例して同じ年平均利潤を、以前より狭い限界内で、完成された姿態でもたらされる。貨幣は追加的な使用価値として、資本の機能をもち、利潤を生産する手段として特殊な商品になる。機能資本家が資本の所有者に支払う部分が利子であり、生産様式に適合し正当となる。利子生み資本の場所転換の契機は商品変態・再生産でなく、貸付による機能資本家の利潤の一部の転換で、利子となる。貸付資本にとっては資本の還流は返済の形態をとり、貸し出された資本は二重に、まず機能資本家へ、次に貨幣資本家へ移転して、出発点に戻る。貸付期間中に貨幣資本家が譲渡し借り手に引き渡すのは、貨幣が資本に転嫁し、価値の大きさを保持し、一定の平均利潤を生産するという、使用価値である。資本主義的生産の基礎上では、貨幣は即自的・潜勢的に資本であり、また資本として販売され、他人の労働に対する指揮権・取得の請求権を与え、自己を増殖する。利子には競争による法則のほかに分割の法則・自然率は実存せず、利子率の自然率とは、自由競争によって確定される利子率である。
討論では、21〜24・30章以外は何を論じたのか不明、利子生み資本を論じるに、信用制度はどう扱うか、ヘッジファンドでも通じるのか。ここは抽象的に論じ、具体的に論じるには銀行が必要。利子付き資本の物神性が問題。平均利潤の完成された姿態は、それを想定して論じる。それが狭い限界内というのは何か。資本としての資本、可能的資本として規定。利子の元には労働力、一定期間という時間的要素が加わる。法律的形態は生産様式に照応する正当性の問題、これを個人的所有に結び付けるのは違う。

*2月23日に森岡孝二先生追悼のつどいが開催されます。この学科の創設から長く指導していただきました。皆様のご参加をお願いいたします。
*会場である働き方ASU-NET事務所の利用が2月末までとなり、3月以降は会場を、主に以前の天六・住宅情報Cの予定です。
*会場はいつもの南森町・働き方ASU-NET事務所です。

****** ゼミ日程 *******
1月9日(水)午後6時半〜9時 南森町・働き方ASU-NET事務所
角田修一『社会哲学と経済学批判』第11章 ウェーバー 

1月23日(水)午後6時半〜9時 南森町働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第3巻22章 利潤の分割……  

2月13日(水)午後6時半〜9時  南森町・働き方ASU-NET事務所
角田修一『社会哲学と経済学批判』第10章 大塚久雄  

2月27日(水)午後6時半〜9時  南森町働き方ASU-NET事務所
マルクス『資本論』第3巻23章 利子と企業者利得

その後 3/13, 3/27 (天六・住まいの情報C)

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