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大阪第三学科たより
2023年


2023年5月19日号
2023年5月5日号
2023年4月21日号
2023年4月7日号
2023年3月17日号
2023年3月3日号
2023年2月17日号
2023年2月3日号
2023年1月20日号
2023年1月6日号


2023年5月19日号

アメリカ男80歳、日本男65歳、ドイツ男64歳、カナダ男51歳、イタリア女46歳、フランス男45歳、イギリス男43歳:G7面々の男女・年齢

[第858回ゼミ報告]
5月10日のゼミは、柄谷行人『力と交換様式』第1部第3章「交換様式Cと力」を行いました。CはBと同時に共同体と共同体の交換から始まるが、遊動的段階では交換を必要せず。他者との交換には信用が必要で、両者を拘束するのが「力」、交換が広がると社会が拡大し変容する。そこに国家がBとCに結びつき発展する。Cの拡大は貨幣経済の拡大であり、貨幣の力に付着は「霊」の力、市場の力である。貴金属としての貨幣は国家による保証、貨幣が肯定的に見られたのは商人資本主義の段階である。古代社会でもフェニキア人のように国家が商業に専念し、CよりBの発展に寄与した。交換=交通の発展で軍事力は交易を補助し、Bが拡大し世界帝国が実現し、Cがそれ以上の発展を抑えた。帝国は法に基づく政治形態で社会正義の擁護者となった。それは都市国家が帝国に発展していった過程であるが、貨幣の急進的平等主義が氏族的共同体を破壊し、急激な富の不平等化をもたらした。帝国主義は宗教で普遍主義と一神教として現れた。マルクスは下部構造の決定を重視したのに対して、柄谷は上部構造の反作用を重視した。
討論では、交換様式Cは、必ずしも資本主義時代としていない。下部構造として交換様式の「力」を論じているが、前著ではそこまでは言っていなかった。マルクスは下部構造としての生産様式から説いている、ということがあるが、下部構造が決定をするとはしていない。それでは「力」とは何か。交換様式をA・B・Cとするが、それぞれが別の時代ではなく、それぞれが主流となっているものを論じる。Aだけの時代から、ABCの3つがあるが、Bが主力の時代、Cが主力の時代には「帝国」を論じる。B+Cはオリエントで、帝国はB+Cで結びついている。交換と信用はどうか、AからBでも信用が問題となるが、Cでは不可欠である。人類の時代の流れでは、家族間から共同体へ、さらに共同体と共同体との関係が問題となる。商品の流通は共同体を崩していくのではないか。

****** ゼミ日程 *******
5月24日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第3章 イノベーション

6月14日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第4章 交換様式Dと力

6月28日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第4章 緑の資本主義

その後 7/12, 7/26 [アイクルの部屋]

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2023年5月5日号

観光地に多くの人、イベントに長蛇の列、ゴールデンウイーク、3年ぶりの
光景がテレビに、そこにクレムリンにドローンと北陸の地震のニュース

[第857回ゼミ報告]
4月26日のゼミは、斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第2章「なぜ過労死はなくならないのか」を行いました。あらゆる富が商品化される資本主義。際限のない価値の拡大と、労働者と自然環境への犠牲・攪乱。生産の目的は使用価値でなく価値。資本とは価値の自己増殖、金儲けの永遠の運動。価値が自立した主体となって人間を振り回す。価値・資本蓄積は生産という秘められた場所でしか増えない。労働と労働力:労働力による賃金以上の剰余価値を資本家は受け取る。長時間労働による絶対的剰余価値の生産、サービス残業・過労死。労働力は本来社会的富の一つであるが、資本主義ではその富を商品に閉じ込める。資本論に書かれた過労死、150年後の日本でも、今なお労働力・富の破壊。労働者の自由、二重の意味、身分の自由と生産手段からの自由(持たない)。なぜそこまで働くのか、資本主義では生存保障はなし、自己責任、その落とし穴:仕事を失う恐怖、自由を手放す、資本の論理への包摂、魂の包摂、24時間戦えますか。労働運動:労働日の制限・短縮をマルクスは主張、賃上げより労働日の短縮:労働者の団結・交渉が不可欠。労働日への相反する動き:テレワーク・ワーケーション:仕事とプライベートの境界があいまい、24時間働ける、スマホ中毒、デジタル・プロレタリアート。労働時間短縮の動:フィンランド週休3日。
討論では、初期マルクスの視点で、資本の枠に、商品も、また人間も労働力の商品として閉じ込められていると主張する。疎外論の記述が資本論では少ない。富とは、人間が豊かになること、共同体。・コモンに結び付く。共有地、入会権、人と人との関係性が解体される。人間の個々の可能性、全面的展開が商品への閉じ込め。「富」は資本論に書かれているのか。人間と自然、物質代謝と生産力主義、エンゲルスの自然からの復讐論に対し、マルクスは資本主義的農業での物質代謝の亀裂・攪乱を。労働運動が主体的にならない問題、民主的・下からの運動。

****** ゼミ日程 *******
5月10日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第3章 交換様式Cと力 

5月24日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第3章 イノベーション・・

6月14日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第4章 交換様式Dと力

その後 6/28, 7/12, 7/26 [アイクルの部屋]

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2023年4月21日号

「仲間内で人事を決めるは不公平だ」と政権与党の「長」が宣う。仲間内で人事をしているは正に政権与党。学術の独自性・自主性を損なう発言だ!

[第856回ゼミ報告]
4月12日のゼミは、柄谷行人『力と交換様式』第1部第2章「交換様式Bと力」を行いました。ここでは、読み取るべき事項と疑問点を主に報告すると前提。国家での権力成立を歴史的・論理的な叙述への意欲的試み。交換様式Bの成立には交換様式Aを制圧しなければならない。国家をもたらす社会契約を要件として、軍事的征服ではなく、自発的隷従こそ国家を可能にする。国家をもたらす力は交換様式Bという経済的土台から生じる。そこでは上意下達の官僚機構が必要として国家が民族を創ったとまで主張する。交換様式から国家の導出という主張から初期国家はどのように成立したのか、古代的国家との違いは何か。国家の成立には他の共同体を従属させる支配的な共同体成立が必要。戦争での共同体間の力関係が国家を成立させる。リーダーの後継者が複数あれば後継争いが過熱し、支配装置そのものが崩壊へと向かうため、血族を後継とすることで勢力間の均衡を図って権力機構の崩壊を最小に留めている。交換様式を力説しながら、なぜか交換そのものを考察せず、交換と生産の関係も考慮しない。未開社会から安定的な国家への移行を論理だけで詰めるのは飛躍であるが、その移行を「霊」的とするのは説明を回避している。国家成立前に想定している平等性について、国家論に至らないにしても、未開社会の平等性について再検討が必要。報告者は前著『世界史の構造』(2010年)と対比して論を展開された。
討論では、国家の変遷を交換様式だけで説明できるのか。共同体の構成を明確にしていない。様々な論者の説を出すが、その評価は適切なのか、論者の説への解釈が異なっていることがある。氏族社会と部族社会との共同体としての関係が不明。支配機構・官僚制と戦争との関係はどうか。共同体内での力関係から血族関係が受け継いでいく。貢納の確実性には定住が必要、実りのある時に貢納するには場所が限られる。交換の内実を解かず、再分配される物は何か、書かず。貢納は再分配であり、最初に生産がある。「霊」とは何か、更なる説明が必要。

****** ゼミ日程 *******
4月26日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第2章 なぜ過労死は・・  

5月10日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第3章 交換様式Cと力 

5月24日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第3章 イノベーション・・

その後 6/14, 6/28, 7/12, 7/26 [アイクルの部屋]

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2023年4月7日号

近年、北の守りではなく、南の海域が重要視され、かの国の空母が航行する近くの海に、陸将ら幹部の乗ったヘリコプターが墜落と速報が駆け巡る…

[第855回ゼミ報告]
3月22日のゼミは、斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』の第1章「「商品」に振り回される私たち」を行いました。人間は、昔から自然へ働きかけ、物質代謝、労働は人間と自然との行為、媒介し規制し制御する一過程。人間と自然との関係に決定的な変化、資本主義の特殊性。資本論冒頭の商品分析の主語は「富」。社会的富を労働が生み出し、それが商品の姿に変えていく、商品の巨大な集まりが現れる。商品に頼らず生活はできない。資本が森を囲い込む、コモンへの囲い込み。資本主義は商品生産が全面化された社会。無限の富の蓄積、長時間労働・不安定雇用・低賃金・格差・貧困。人間の欲求ではなく資本を増やすことが目的、必要なもの(使用価値)より売れるもの(価値)。人間がモノに振り回される、商品になったテーブルが踊りだす、物象化。高度成長の終焉から新自由主義政策へ、規制緩和・市場自由化。民営化、私物化、コモンが奪われた状態、現代版囲い込み、利益優先への効率化。社会的富の問題:公立図書館での非常勤職員の増加は効率化とコスト削減、サービスの低下。神宮外苑再開発:地域の憩いより商業施設へ。効率化と金儲けへの時間配分:時間泥棒(エンデ)。アトム化した社会、自己責任、格差・貧困拡大。資本論の目的:資本主義社会の内在矛盾を明確にし、よりよい社会を生み出す「近道」を示そうとした
討論では、労働は自然と人間との媒介、自然に対して一方的でない。未開社会における物質代謝、動物は採取、生産ではない。民営化は私物化・現代的囲い込みであり、私物化から資本の利益へ。社会的インフラの問題。上下水道の民営化の問題、市民の手に戻す、コモンの形成、新自由主義に代わるものへ。テーブルが踊りだす:物神化、ブランド化。アーノルド・パーマーの傘マークで十倍の価格がつく。過剰生産→恐慌時価値下落→使用価値の放棄、価値を守るために使用価値を破壊する。今回のクレディスイスの問題は流動性のミスマッチ、キャピタルゲインに対しキャピタルロスはある。

*4月12日(第2週)ゼミも、午後5時半(or 45分)から8時です。

****** ゼミ日程 *******
4月12日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第2章 交換様式Bと力

4月26日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第2章 なぜ過労死は・・

5月10日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第3章 交換様式Cと力

その後 5/24, 6/14, 6/28, 7/12, 7/26 [アイクルの部屋]

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2023年3月17日号

「本物なら議員辞職」「捏造なら辞職しない」と発言。「怪文書」「捏造」から「不正確」と表現ダウン。かつて首相の辞任発言も結局うやむやだった…

[第854回ゼミ報告]
3月8日のゼミは、『柄谷行人『力と交換様式』第1部第1章「交換様式Aと力」を行いました。マルクスの「資本論」で交換に生じる物神、貨幣交換での機能の根源に物神崇拝・フェティシズムの用語を用いた。古代ローマなど氏族社会の構成原理は贈与の互酬交換である、贈与交換に霊の力をみる。人類学者モースは贈与交換が霊の力とは容認しないが、しかし交換様式Aを成り立たせるのは霊の力であり、人々の意識では交換は成り立たない。前期フロイトは快感原則と現実原則の二元的枠組みだが、後期フロイトは第1次大戦の戦争神経症患者から反復脅迫を見出して修正し、受動的振る舞いとし、さらに超自我概念を提起し人の心的構造はエスと自我と超自我の3つの領域なるとし、快感原則・現実原則を超えた自律的・自己規制的なものを見て、さらにユーモアが快感原則の彼岸にあり、そこに優しい慰めを見出している。マルクスは物神に至ったが、史的唯物論に戻ってしまった。人類社会の初期・遊動民社会から、定住で、様々な葛藤と対立が生じた。
討論では、とても独断的な論理展開だ。贈与交換と商品交換での人間の関係の違いは商品交換では収奪に至ること、物神崇拝へ。互酬とは共同体内での狩猟のように一人ではできず信頼関係が基礎。交換のない時代があり定住で交換、いや定住と移住は繰り替えされていた、焼き畑農業。生産が交換の前にある、いや交換が先にあり生産へ。ここでは労働や生産体制の問題が出てこない。互酬と物々交換の関係はどうか。“結”とは一種の脅迫観念ともいえる。柄谷は商品物神をいうが、マルクスは貨幣物神、資本物神まで述べている。

*3月22日からのテキストは斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』です。

*資本論3巻は、2016年 8月24日に始まり、2023年 2月22日に終えました。
ゼミ回数は59回で終了、各回の報告者の方、お疲れ様でした。

****** ゼミ日程 *******
3月22日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第1章 「商品」に振り回される私たち

4月12日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第2章 交換様式Bと力

4月26日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第2章 なぜ過労死はなくならないのか

その後 5/10, 5/24, 6/14, 6/28, 7/12, 7/26 [アイクルの部屋]

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2023年3月3日号

突然メールで届いた退職通知、期限内に応じると割り増し手当とも。グーグルはじめデジタル業界に吹き荒れる波、解雇規制のゆるい米国から。

[第853回ゼミ報告]
2月22日のゼミは、『資本論』第3巻、エンゲルスによる「『資本論』第三部への補足と補遺」を行いました。
「価値法則と利潤率」の節では、ローリアとゾンバルト、そしてシュミットら批判では、まず商品交換が労働量とは別の比率での交換へは、正常状態では需要と供給、価値と価格は一致するとし、価値は思考の産物とするのに対し、歴史的な過程としている。歴史的にも価値は生産価格より先行者であり、中世の農民は正確に労働時間を交換の適切な尺度とし、それは都市工業者でも同じである。また中世の商人でも商業組合内での公正な審査で価格を共同で取り決める。それは組合内部の等しい利潤率にも見ることができる。ここでは商業資本の利潤率であるが、ここに変革を起こしたのは産業資本である。すでに中世にその萌芽が、海運業・鉱山業・繊維産業で形成されていた。これが資本主義的な剰余価値形成の最初の発端、マニュファクチャから大工業への生産の革命で商品の生産費を低くしていった。「取引所」の節では、1865年以来、取引所が大きな役割を担い、生産の拡大と蓄積の拡張、強大な銀行、土地財産、海外への株式投資が行われる。
討論では、エンゲルスは価値に対して生産価格を資本主義以前としているが、資本論では価値を生産様式で完結したものとして、生産価格を規定している。歴史的には価値から価格が出てくるとして、共同体内、あるいは共同体間ではどうか。抽象的労働が問題になるは資本制生産様式になってからだ。価値法則についてバビロニアを持ち出すが、エンゲルの間違いだ、単純商品生産は存在しない。結局、商品交換であれここには労働概念、抽象的人間労働概念が問題である。それでは商品交換の基準は何か、高級な衣服や芸術絵画に対し。

*2月22日で資本論3巻まで終えました。3巻は2016年 8月24日に始まり
59回のゼミで終えました。第4週ゼミは古典をテキストですが、3月22日
からのテキストは古典を現代の視点からと、斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』
(NHK出版新書、2023年1月、1023円)に決まりました。

****** ゼミ日程 *******
3月8日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第1章 交換様式Aと力

3月22日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』第1章 商品に振り回され

4月12日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第2章 交換様式Bと力

その後 4/26, 5/10, 5/24, 6/14, 6/28, 7/12, 7/26 [アイクルの部屋]

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2023年2月17日号

「同性婚を認めると社会が変わってしまう」との発言。低賃金・長時間労働・分断・貧困・軍備へと、誰がこの国の社会を変えてしまっているのか…

[第852回ゼミ報告]
2月8日のゼミは、柄谷行人『力と交換様式』第1部「交換から来る「力」」の「予備的考察 力とは何か」を行いました。
見知らぬ者同士の交換には「力」が不可欠。ルカーチは物神崇拝を無視し霊的力を否認したが、交換は霊的力と柄谷は解釈。マルクスは交換の背後に私的労働と社会的労働の矛盾をとらえているが、柄谷は神秘化のままである。重要な論点として定住化で継続的な交換が開始されたので、それ以前の交換は臨時的である。進化心理学の仮設では集団生活維持には社交として類人猿では「毛づくろい」があるが、その後階層化し、社交を効率化・祭式・宗教で定住化が進む。柄谷は宗教的次元を心理的上部構造とし、交換様式を経済的下部構造としている。マルクスと似て非なる図式でどのような課題を論じるのか、柄谷の前著『世界史の構造』とこの本の目次を対比して、前著の「国家」がこの本では消えて、前著の「資本と国家への対抗運動の亀裂」という視点はどうなるのか、この本でのそれぞれの交換様式での「力」がどのように展開されるのか、前著との位置づけの違いはあるのか。定住化では、スコットを引用するが、定住化とともに交換が始まったというのは引用として疑問がある。
討論では、上部構造の独自性についてはどうか。交換に縛られるというのは貨幣の力を考慮する必要がある。力と情報が世界を支配する、その力を霊と結びつける、何が人間を動かしているのか。物質代謝ということではどうか。上部構造だけで世界史を説明したいということか。ミツバチは考えて行動している、クモの糸もそうなのか、人間だけが特別でなく、動物も植物も考えて行動している、といえるのでないか。

*2月22日では「エンゲルスの補遺」行います。これで1巻から3巻まで終えました。第4週ゼミは古典をテキストにしています。3月以降のテキストの候補、推薦をお願いします。これまでのテキストはHPに掲載

****** ゼミ日程 *******
2月22日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻 エンゲルスによる補遺  

3月8日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第1章 交換様式Aと力 

3月22日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
テキスト未定(古典文献を予定)

その後 4/12, 4/26, 5/10, 5/24, 6/14, 6/28

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2023年2月3日号

外ではもうマスクは付けなくてもいい、それでも付けている人のほうが多い。さてお上は5月から内外でもマスクは個人判断というが、どうなるか…

[第851回ゼミ報告]
1月25日のゼミは、マルクス『資本論』3巻7編51章「分配諸関係と生産諸関係」・52章「諸階級」を行いました。
新たな価値は三つの異なる収入形態をとって分解する。この分配関係は社会的生産の本性により現れる。資本主義以前の分配様式は自然的な分配関係であったが、資本主義では独自の歴史的規定性により生産様式を持つが、分配関係も同一であり、その裏面である。生産物は一方では資本に、他方では諸収入に分かれる。資本はある分配を前提して独特の社会的性質を与える。単なる労働力の所有者、資本の所有者、土地の所有者は近代的な三大階級を形成するが、イギリスにおいてさえ、階級的編成は純粋には表れない。階級形成は収入・収入源泉と同じであるが、しかし階級は社会的分業により無限に分裂していく。報告者からは、草稿は途中で中断しているが、マルクスは結論を出せなかったのではなく、第1部の結論である「収奪者が収奪される」は、第2部・第3部の展開を踏まえて結論を出した、と主張した。
討論では、生産手段の分配は自然的性格であるが、生産物の分配は歴史的性格である。51章の最後に生産の物質的発展と社会的形態との衝突を説くことで、未来社会論を論じていることは重要だ。注57の「競争と協同」の著作とは、草稿集「経済学批判」での抜書きだ。51章で物化と主体化、また48章で人格化と物化、ただし新書版では物件化と訳されるが、物神性・物象化との関係はどうか。52章は短い、あと何を書きたかったのか、53・54章はあるのか。階級を形成する収入とは異なる、物の収入への問題追及。階級とは何か定義されていない。52章最後の社会的分業による階級の無限の分裂を肯定してはいない。

*1月25日(第4週)ゼミの3巻51・52章で資本論3巻を終わり、2月22日は「エンゲルスの補遺」行います。これで1巻から3巻まで終えました。第4週ゼミは古典をテキストにしています。3月以降のテキストの候補、推薦をお願いします。これまでのテキストは当方のHPに掲載

****** ゼミ日程 *******
2月8日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部:予備的考察 力とは何か

2月22日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻 エンゲルスによる補遺  

3月8日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部第1章 交換様式Aと力
その後 3/22 [アイクルの部屋]: 4/12, 4/26, 5/10, 5/24, 6/14, 6/28

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2023年1月20日号

労働組合が、じゃなかった、政府が、はたまた経団連が賃上げを表明。内部留保も溜まったことだし、この際、働く人みんなに大判振舞、と行こか

[第850回ゼミ報告]
1月11日のゼミは、柄谷行人『力と交換様式』「序論」を行いました。
前著を再考し4つの交換様式を提示する。A:互酬(贈与と返礼)、B:服従と保護(略雑と再分配)、C:商品交換(貨幣と商品)、D:Aの高次元での回復。経済的決定論を批判し上部構造の自律性・力、観念的な「力」と交換様式の看過を説く。『資本論』体系はヘーゲル論理学に従い、資本制の中に一種の「精神」の活動を見出す。物神が交換から、霊的な力が働いている。ヘーゲルの弟子・マルクスは『資本論』で精霊・商品物神を持ち込んだ。貨幣の特異な「力」を解明し商品に内在する価値を超感覚的な物に転化、貨幣形態で霊が「付着」し、他の物との交換の「力」を持つ。続いて、マルクスの前期の論、後期の論を考察したのち、最後に、人間と人間との間の「交通」・「交換」と、人間と自然との「交通」との違いは、前者が観念的な力・霊的なものに対し、後者は純粋に物質的な「力」と、論じて、自然環境の破壊、工業生産・消費の廃棄物・化石燃料・大量生産・大量諸費・大量廃棄・環境危機・気候変動により、人間と自然の関係も歪めると説く。
討論では、柄谷は宇野理論の影響で歴史論理説から説いている。ヘーゲルの論理学では精神は出てこない、霊ではなく社会的権力の問題である。物象化論はどうか、疎外論との関連で、物神性との違いが問題。柄谷は物神性を論じるが、物象化論を否定している。ドイツイデオロギーでのエンゲルス評価はどうか、エンゲルスが書いたのではなくマルクスが書いたとも。物質代謝を論じていない、資本論で物神性を最初に論じ二度と出てこない、とは本当か。情報は物質かどうか、収集・処理・伝達、精神が処理、上部構造も物質から出ている。「交換」の意味、商品交換以外にも物の流れ、貸借も交換。

*1月25日(第4週)ゼミは3巻51・52章で資本論3巻を終わります。その次は「エンゲルスの補遺」を予定。その後のテキスト、乞う推薦。

****** ゼミ日程 *******
1月25日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』3巻7編51章 諸関係・52章 諸階級 

2月8日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部:予備的考察 力とは何か

2月22日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』第3巻 エンゲルスによる補遺

その後 3/8, 3/22 [アイクルの部屋]: 4/12, 4/26, 5/10, 5/24, 6/14, 6/28

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2023年1月6日号

あけましておめでとうございます。「今年こそ、いい年でありますように」と願いながらも、コロナ禍は四年目に入り、中国で再び感染拡大が…

[第849回ゼミ報告]
12月28日のゼミは、マルクス『資本論』第3巻第7編第50章「競争の外観」を行いました。
生産価格は不変資本補填部分+労賃部分+剰余価値に、剰余価値は収入形態として利潤・利子・企業者利得+地代に。労賃・利潤・地代の三つの収入形態がそれぞれの法則で規定される。3つの合計から商品の価値・生産価格が生じるのではない。3つの収入形態の限界内で変動している。諸収入に分解される価値部分は労働の分量で規定される。一般的利潤率は社会的総資本による剰余価値との比率。地代は一般的利潤率への生産価格が規制する個別の利潤率の背離に限界を持つ。労働の価格は労働者の必要生活手段で規定。競争は利潤率の不均等を均衡化するだけ、競争は利潤を作らない。産業家・商人・銀行家・俗流経済学者は商品の価値を足し算の結果と取り違える:諸収入の自立・相対:労賃の変化から、それぞれが独立的・自立的に規定して現れる。価値規定は資本家の背後で関わりない力で行われる。この章では論証展開が何度も出てくる、価値から価格への上向過程での草稿段階の限界か。報告では「真の資本主義の姿」と「競争の外観」を図で表してみた、一般的利潤率と競争による変化。
討論では、第7編全体が1巻で論じたものが現実はどうか、生産価格・社会全体から視る。個々では価値と価格の乖離から平均利潤へ。認識の転倒:太陽と地球:太陽は東から西、日の出・日の入り、地球が太陽の周りを回ることの証明:地球の自転。新書版の訳語の問題・複数表現について:生産「諸」価格など「諸」は必要か、上装版も同様、新版で見直し。競争以外に表層の問題はあるのか、現象:転倒・疎外・物心崇拝。競争が主題ではなないとの説、競争があるから外観がある。章末の未来社会論の所が報告でなかった。

*次回からのテキストは、柄谷行人『力と交換様式』岩波書店 です。

*1月25日(第4週ゼミ)は3巻51・52章で資本論3巻を終わります。その次は「エンゲルスの補遺」を予定。その後のテキスト、乞う推薦。

****** ゼミ日程 *******
1月11日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』序論:上部構造・・〜交換・・ 

1月25日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
マルクス『資本論』3巻7編51章 諸関係・52章 諸階級

2月8日(水)午後5時半〜8時 堺筋本町瓦町・アイクルの部屋
柄谷行人『力と交換様式』第1部:予備的考察・第1・1章

その後  2/22, 3/8, 3/22 [アイクルの部屋]

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